一番必要なのは「生活データ」?ZOZO SUIT賞賛記事に対して思う事

私が未来を航海するためのコンパスとして常に読み返している「創造する未来」で、これからは「サイズ」がキーになると力説されていた。ちょうど半年前にこれを読んだときはサイズの重要性にピンときていなかったが、サイズはアパレル業界が解決すべき直近の大きな課題だと最近になってようやく理解した。
その理由は

①EC化の最大のネックが「サイズ」であること
②今後「オーダーメイド」がさらに広がっていくこと
③サイズ展開と在庫の関係がグローバル化のネックになっている

ことの3つである。

知人がことごとく言及しておりますので便乗します。ZOZO SUITの件で恐らく最も反響があったであろう記事。こちらの記事では上記3点にフォーカスした内容になっており、

 

上記ツイートにて恩恵を受けるものと終わったものを分けております。トータルして、既製品は終わる方向で、今後はオーダーの時代が来るというという流れでしょうか。ここに非常に違和感がありましたのでそれを取り上げいと思います。

◯最大のネックはサイズなのか?
まずはこちら。確かにサイズ問題は購入において非常に重要です。そしてファッション業界からよく聞く声としてあと「色」の問題、そしてシルエットや素材なども問題でしょう。それらがこのZOZO SUITで全て解消される訳ではないので、店頭の試着体験の代わりになるかと言われるとやや疑問です。ですが、そもそもECでよく購入する層はそこのこだわりがあまり無いからこそリアルで購入していないのです。ショールーミング後にwebで購入する人に関してはそもそも試着する可能性も高いのでZOZO SUITすらいりませんが。。

ですのでECでよく購入する層には非常にありがたいツールになるでしょうし、ZOZOの会員の利便性は向上するでしょう。

◯全てのブランドに恩恵があるのでは?
次にこちら。今回のZOZO SUITですが全てのブランドに恩恵があるのではないでしょうか。顧客データにサイズ情報を紐付ければ、より精度の高いレコメンドが可能になります。今でもメールマガジンやLINEビジネスコネクトにてユーザーに対してワントゥワンマーケティングを実行しているでしょう。その精度が上がると顧客のLTV向上が見込め、売上と利益率は更に向上するかと。特にLINEは相性良いでしょう。チャットボットからのレコメンド→LINEペイで決済なんて流れになるとCVと利益率超高そう。で、これってオーダーだろうが既製服だろうが恩恵ありますよね。むしろ短期的に見れば、オーダーをオススメする必要もなく、今ある商品の中から各ユーザーに合った製品をレコメンドすればいいのです。ただ、ZOZOのプラットフォームへの依存度は強くなり、ブランドはますますZOZO無しでは売上を担保できなくなる恐れはありそうですが。

◯オーダーの流れが加速するのか?
これも中長期的に見れば起こりうる事です。しかし順番が違います。ユーザーは何でもいいからイージーオーダーがいいのでしょうか。それであれば、コスパ考えて全ての人はユニクロのオーダーシャツとオーダージャケットでいいんではないでしょうか。まずブランドは魅力的な製品を作り、ファンを拡大する事が第一優先です。そしてその後、ロイヤリティの高い顧客に向けてイージーオーダーサービスを展開すればいいのです。過去からラグジュアリーでもこの手のサービスはたくさんありました。しかしそのどれもが顧客向けであり、大多数のライトユーザーはそこまで求めません。

ただ近年、オーダーは低価格化しており当たり前のサービスになりつつあります。ZOZO SUITの出現というより、製造コスト低下の問題の方がオーダーが広まる理由になっているかと思います。かといって既製服の方が少なくなるなんて事は当分ありえないんではないでしょうか。ユニクロのように圧倒的な大量生産によるコスト削減にはまだまだかなわないでしょうし。

◯重視すべき事が他にもある
服を買うときに重視することは?

これまで「瞬間風速勝負のランウェイだけ見てもわからないことが多いから、展示会で実物を見て着てわかることがいっぱいある」と思っていたのですが、その先には更に「着て、生活してみないとわからないことが、もっとたくさんある」んですよね。

ここに最も重要な事が記載されています。ZOZO SUITで解決できない問題、それは「着て、生活してみないとわからない」事です。個人的にIoTの一番重要なポイントって、生活している時のデータ収集なんではないかと思っています。それは事前にSUITを着せる事ではなくて、普段着の中にセンサーを埋め込んでおかなければ解決しません。ここはgoogleとリーバイスが取り組んでいる「Project Jacquard」やH&Mとの協業である「データドレス」の方が期待感があります。

スタートトゥデイの前澤さんは靴にも言及されてますが、靴こそその最たるもので、履いて生活しているデータが最も重要です。(ご本人はもちろんおわかりの事でしょうけど。)

ここまで言っておいてなんですが、まだPBの「ZOZO」が発売もされてませんので何を言っても早計だとは思います。短絡的な賞賛は自分の信用力にも関わりますので、気をつけたいものです。

note記事はこちらです。