「ファストファッションを買わない」が問題を解決しない理由

どんなに貧乏でも、私が決して「ファストファッション」に手を出さない理由(http://tabi-labo.com/223953/cheap-clothes/

「エシカルファッション」「フェアファッション」という言葉をよく目にします。内容としては上記の記事のようなものが中心です。

が、僕はここに非常に違和感を感じております。

大量生産・低価格化がもたらした「劣悪な労働環境」

トレンドである「ファストファッション」の背景には劣悪な労働環境で働かされ、薄給により生活が困窮している人々がいます。特に東南アジアの縫製工場で働く人たちの事ですね。その解決策として、現地の人たちが生活できるよう低価格での販売をやめ、環境に負荷のかからない素材を使い、持続可能なサプラチェーンを築きましょうというのが主な主張でしょう。

縫製工場での問題点は「低賃金」「労働環境」「公害」

記事中で紹介されています、映画「トゥルーコスト」は僕も見にいきましたがその問題点が集約されていました。

tabi-laboの記事から一部抜粋します。

価格の差は品質の差によるものではありません。これは基本的人権に関わる問題なのです。

私たちはそんな過酷な状況で作られた衣類を低価格で購入しているのです。これらすべてが、あなたがわずか8ドル(約970円)でジーンズを購入するために起こっていること。

まずは、量よりも質を重視して購入することです。

では僕の感じる違和感の原因は何なのか?

ファストファッションを求めたのは顧客

そもそも前提としてファストファッションがここまで拡大したのは、「顧客がそれを求めた」という背景があります。トレンドのファッションを低価格で手に入れる事ができるファストファッションはファッションの大衆化を実現しました。大量に売れる=大量に買う人が存在する。個人的に思うのは、ファストファッションほど顧客視点なブランドも少ないという事です。例えばZARAは、「お客が店頭で試着したが買わなかった商品」情報を集めて商品開発に活かします。店頭でサイズが無かったがっかり感を無くすため、店頭からサイズ欠けしている商品を抜きます。そこまでの努力をしている店も少ないでしょう。(「人気店はバーゲンセールに頼らない」齊藤 孝浩 (著)に記載があります。)

エシカルファッションは不買運動?

誰もが気軽にエシカルファッションを楽しめるアプリ「Good on You」とは?(http://www.fashionsnap.com/the-posts/2016-01-02/good-on-you/

オーストラリアの慈善団体がエシカル度をチェックできるサイトを構築したとニュースがありました。これはブランドのサプライチェーンを可視化できる取り組みのようです。先ほど紹介した記事もそうですが、これってただの不買運動を促している印象を受けます。エシカル度(倫理度?)の基準もわかりません。企業の利益が上がれば雇用を更に生み出し、納税額も上がります。

じゃあ「ファストファッションを買わない」が本当の解決策なんでしょうか。

「ファストファッションを買わない」は何も問題が解決しない

一部の人がファストファッションを買わなくなったとしても、H&Mは年間400店舗出店していますし、大量生産は止まらないでしょう。そしてZARAやH&MなどのグローバルSPAに限らず低価格帯商品は市場に様々あります。

それではこの「エシカルファッション」に引っかかってくるのはどのブランドなのでしょうか?

GU?earth music&ecology?WE GO?その他GMSの衣料品も似たような価格。

グローバルSPAに限らずSCに出店しているようなブランドやODMの商材も低価格で大量に生産されています。(生産量の桁はもちろん違いますが)どの価格帯のブランドの商品の生産がどれくらい抑制されれば縫製工場で働く人たちの環境が向上するのか?仮に影響があってファストファッションの出店が止まったとしても、それは縫製工場で働く人や店頭で働く人の仕事が減るという事ではないのでしょうか。これでは何の解決にもなりません。

劣悪な労働環境と低賃金はファストファッションの責任なのか?

ファストファッションはほとんどが自社工場で製造していません。提携工場に製造を委託しています。労働環境の改善は工場側の責任なのではないでしょうか。もちろん工賃が安いという理由もあるでしょう。それではその仕事を受けないという選択肢はないのでしょうか。ZARAは創業時は製造業でしたが、下請けの限界を感じ小売を始めたという経緯があります。日本でもOEMから始まったブランドがありますし、下請けから抜け出していない工場はどこも工賃は叩かれるようです。

国内工場に1枚200円でTシャツを縫わせる大手セレクト(http://minamimitsuhiro.info/archives/4571060.html

これは東南アジアに限らず日本でも一緒のようですね。

人権を侵害しているのは誰?

問題提起となっている三点。まずは「低賃金」の問題。記事中にもありますが、最低賃金の引き上げが徐々に実現しています。でもこれ国の制度の問題でしょう。でしたら解決策は不買運動ではなくロビイングじゃないのでしょうか。それをファストファッションを悪者にしても意味がないと感じます。最低賃金が上がらないまま、仮にファストファッションが工賃を上げたとして、工場側が賃金を上げるという保証はどこにあるのでしょうか。

「労働環境」にしても同じです。適正な工賃が支払われれば、工場が労働環境に投資するという保証をしてもらったのでしょうか。ここも国内の法規制の問題でしょう。

環境に与える負荷の問題

長く着れる高額品を全ての人が着ればいいのでしょうか。それこそ低賃金の人たちにとって不可能でしょう。オーガニックコットンをいくら使用してもゴミは大量に出ます。これエシカルファッションで解決するのでしょうか。

問題解決はテクノロジーの進化?

大量生産はプレタポルテが生まれてから既定路線だったはずです。ディオールがライセンス商法を始めファッションは大衆化へ進みました。製造コストが下がり、低価格でトレンドファッションを享受できるようになった事をわざわざ「買わない」と選択する人がどの程度いるのでしょうか。キレイ事を言うなという訳ではありませんが、自己満足になっていては問題は解決しないと思います。

スウェーデンでゴミの99%を有効利用する「リサイクル革命」が起きている(動画)(http://www.huffingtonpost.jp/2014/09/10/99-per-cent-of-swedens-garbage-is-now-recycled_n_5795356.html

このような内容のものの方が問題を解決するのではないのでしょうか。見識のせまい僕にはわかりません。誰かこの手の専門の方に教えて頂きたいです。

テクノロジーに関しては専門家ではありませんが、それ以外にも3Dプリンティングの技術向上。現在の技術では、3Dプリンターでゼロベースから服の完成まで数時間、費用は2ドル程度で作成可能だそうです。(wiredより※試作段階ではありますが。)こういった取り組みの方がエシカルファッションよりも問題を解決するんではないでしょうか。