付加価値の高い販売員しか生き残れない時代が来る

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The Flagイシュー「ファッション業界マネー事情」(https://theflag.jp/blog/73

一部企業の平均年収が載せられていますが、こちらのデータだけで業界の給与の実態を計るのは不十分ではないでしょうか。大手企業に限定されているという事もありますが、ファッション業界において従事者の割合は販売員が多くを占めます。以前、The Flagの調査でもありました資料を参考にしますと業界の約54%強が小売業に従事。そしてその多くが販売員である事が推測されます。

ファッション業界の中でも販売員の給与水準は低い

【DATA3】ファッション業界 主要企業20社の従業員数は過去5年間でどう変わったのか?160122allworkwerそして「アパレルの給与が低い」とか「就職先として人気が無い」というのはこの「販売員」の条件の問題が一番イメージとして強いからではないかと考えています。ですから目指すべくは「アパレル業界の地位向上」に加えて、

「販売員の地位向上」

を目指さない限りはイメージ払拭は難しいでしょう。そして販売員の母数が多いのですから、その企業の平均値だけでは実態が正確に把握できません。ファッション業界職種別、年代別の平均年収で見てみますと、、

ファッション業界の職種別平均年収ランキング

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このような状況。やはり予想通り販売員の給与が最下位という結果に。しかも伸び率も低いので30代後半でも平均年収が350万円を切っています。これが「入り口は少ないけど頑張れば給与が伸びる職業」なんであればまだ夢を見る事はできます。つまり販売員はキャリアアップと共に年収アップも見込めないところも非常に問題なのです。

そして同じ業界の中ですら「販売員」と「MD・バイヤー」では130万円程度の格差(35~39歳)があります。これではまず販売員を選択しづらいですし、仮に選択したとしても通過点としてしか考えていませんから努力が足りず実績が伴わない。そしてコストパフォーマンスの悪さから早い段階で離職という循環に陥っているのが現状な訳です。その対策として企業側では「社内公募制」という制度を引き、販売員から内勤に上がる制度設計をしています。しかし内勤の人員などそこまで多くありませんから、社内公募制をいくら謳ってもあぶれる人員がほとんど。という事は現場での販売期間が長期に渡る可能性が高いのです。

販売員は構造的に給与が上がりにくい

この状況では就職の選択肢にしろという方が難しい。特に優秀な人材の獲得となると更にハードルが上がる訳です。もちろん一部企業では販売員でも売上によってはしっかりした給与を払う企業もございます。

例えばユナイテッドアローズでは「ES制度」というものがあり、先輩社員が新人をしっかり教育すると共に販売員の階級のようなものが定められています。そして高いパフォーマンスを発揮する販売員のスペシャリストには「セールスマスター」という称号が与えられます。平均年収こそ比較的高い水準では無いですが、販売員の明確なキャリアプランと年収アップが可視化された制度と言えるでしょう。

しかし多くの企業では販売員になるのに資格が必要な訳では無く、最悪高卒でもなれる職業です。入り口が広い分、付加価値の高い販売員は割合としては非常に少なく感じます。
「いらっしゃいませ。よかったらご試着…」なんていうありきたりで一言で完結してしまうファーストアプローチしかしない販売員が付加価値が高いとは思いませんし、高い給与が支払われるべきだとも思いません。

オンラインで接客が可能な時代に

ECではオンライン接客という言葉がバズワードになっております。文字通り、EC上で接客のようなサービスがうけれるのですが、具体的な内容はと言いますと、

チャット形式で販売員さんとやり取り可能になったり、、

オススメのコーディネートが表示されたり、、

ページを離脱しそうになればクーポンが表示されたり、、

などなど。こうなってくると店頭で決まりきったお声がけしかできない販売員さんはオンライン接客より付加価値が無くなってしまいます。企業としてはEC比率が上がれば店頭の数もそれだけいらなくなりますし、なるべく優秀な販売員だけを残して他は徐々に削っていく…、なんてことになりかねません。ランニングコストを抑える為にEC比率を上げようとするインセンティブが働きますし、これが進めば進むほど店舗数、販売員数が減少するでしょう。

こうなるとこれから参入障壁はどんどん上がって付加価値の高い販売員だけが残ります。ECで代替されるような販売員を雇うメリットが企業側にはもう無くなってくるからです。そうなれば今後はキャリアアップも収入アップも見込める、本当の意味で憧れられる職業になる可能性があります。過去、ハウスマヌカンと呼ばれ「華やかさだけで実態の無かった憧れ」とは違う、付加価値の高い販売員だけが残れる、それこそが今後のファッション業界を盛り上げる1つのファクターなのかもしれません。