アパレルの問題点を「若者は弱者」にすり替えないでください

ギャル向けアパレル福袋は「サービス残業」で生み出される

ギャル向けアパレルショップの初売りといえば、新年の恒例行事だ。参加したことはなくても、十代の少女たちがお年玉を握りしめて全力疾走し、目当てのショップの福袋をゲット、袋の中身を交換する光景を知る人は多いだろう。彼女たちが憧れるブランドで働く人たちは、きらきらしい見た目と裏腹に、年々、過酷な労働環境に追いやられている。ライターの森鷹久氏が、華やかなギャルファッションに身を包み働く彼女たちの実態に迫った。

アパレルの福袋作業に伴う労働環境問題にフォーカスしており、確かにごく一部ではこのような状況はあるようです。勤務後の長時間のミーティングなどを含む残業時の給与が発生しなかったり、勤務する商業施設によっては元旦から営業も当たり前で、営業時間も長かったり。しかし、記事中にあるような低賃金や劣悪な労働環境はかなり改善傾向にあり、これが当たり前のような書き方はいかがなものかと思います。

◯アパレル販売は慢性的に人手不足

劣悪な環境なのは間違いないが、「おしゃれ」「かっこいい」というイメージが先行し、スタッフが辞めてもすぐに新しい人が入ってきて、人材が常に供給されるという状況。

まず一番大きな間違いはここです。若者に認知の無いアパレルだと、大手すら求人に困るのが実情です。事実、専門学校には多くの有名アパレルが求人票を送るだけでなく、学校に人事部が来て説明会までやってくれます。人手が足らない企業は人材派遣会社で人を担保していたりもしています。ですからこの記事のような劣悪な労働環境が真実なら転職活動をすれば簡単に次の行き先は決まります。販売職のイメージは先述の通りあまり良いものでは無く、離職率もまだまだ高いので慢性的に人手不足という状況なのです。(一部報道ではアパレル販売の新卒離職率は5割近いのだとか。)

◯給与水準は改善傾向にある
そうなると認知が低いブランドには一層、応募が無くなり、給与水準を上げざるを得ません。以前、SCに出店しているブランドの人事の方がアルバイトの求人票をお持ちされましたが、学生が未経験で時給1100円でした。理由を聞きますと、これくらいの水準にしないと人が来てくれないからとの事。感覚ではありますが、新卒採用では僕たちが学生時代の頃より月給の水準が約2万円ほど上がっています。当時の大手アパレルの新卒初任給は大体が17万円前後。今では20万円を超える企業も珍しくありません。大手企業でも他業界に流れてしまう優秀な若者を採用すべく給与水準を上げているのです。業界トップの新卒初任給はTOKYOBASEの25万円。渋谷に住めば、渋谷手当を付けてくれるようでプラス3万円です。初任給28万円はIT系の大企業とも遜色無いレベル。それ以外にもストライプインターナショナルでは23万5千円と、その水準はどんどん上がっていっています。(それでもまだ低いと言われそうですが。)

◯離職率の原因は労働環境だけど…
問題は「何故慢性的に人手不足なのか?」という点です。営業時間や営業日数も問題ですが、個人的に一番環境を悪化させている原因はブランドの多店舗展開ではないかと見ています。多店舗展開すると一番必要になるのが店長の頭数です。しかし、1店舗をマネジメントする店長がそんな簡単に育成できるなら誰も困りません。結局は未熟な人材でも店長に据えるしかなく、未熟な店長が配属される店舗がたくさん出てきます。そうすると売上低下だけでなく、販売員にとって働きにくい環境を作り上げてしまうのです。具体的な問題は下記をご参照ください。

「店長が原因で退職」を撲滅するリスト

卒業生を含む販売員からの相談で一番多いのが「店長の愚痴」です。ていうかこれしかほとんど聞いた事がありません。(もちろん全ての店長が未熟な訳ではありませんが。)自分の進む未来に希望が持てるなら多少の厳しさは我慢できるのでしょうけど、それを指し示してくれる一番身近な存在が自分の邪魔にしかならないのであれば離職する原因にもなるでしょう。

◯問題の正しい理解を
ここを見誤ると改善しなければならないポイントがずれてきます。労働環境にものを申すのも必要な事です。しかし誤った情報を不特定多数の方に拡散したところで、余計にアパレルに人が集まらず、環境が悪化する要因になりかねません。若者を弱者に仕立て上げたいのかどうか知りませんが、ミスリードで業界にとって不利益になるような話は控えてもらいたく思います。

note記事はこちらです。

@fukaji

投稿者: @fukaji

ラグジュアリーブランドのリテール管理と全国セレクトショップへのホールセール担当を経て、起業。高級衣料品、ミセス、ヤングカジュアル、などの経験を基に、ECサイト構築・運用・コンサルティング、リテールのソリューション事業を中心に活動。

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