ファッション全般  2019-01-19

業界のニーズと乖離し続けるファッション教育機関

効率の良い教育って何だ?


先日、こんな記事を書いたんですが、文中にあります、
 
ファッション教育、特にビジネス面は現状、現場のニーズと乖離しすぎていて学生の為になっているとは言えません。
 
という一文に対して、「具体的にどういう事ですか?」と周辺の方々から質問がありましたのでお答え致します。
 

解決されない販売員不足の原因

まずファッション専門学校の募集人員ですが、圧倒的にクリエイター系のコースの方が人数が多い上に、ビジネス系を選択したからと言っても「バイヤー」や「MD」や「スタイリスト」を目指す学生さんがほとんどです。ファッション専門学校の有名校も、文化服装学院やドレスメーカー学院などの主にクリエイターを多く育てる学校中心。入学者数の多くがクリエイターのコースにばかり入学し続けるからこそ問題が一向に解決しません。なぜなら、専門学校に寄せられる求人案件では、

販売員:その他の職種=10:1

です。労働環境と条件面もあるかとは思いますが、離職率が中々下がらないのもこのような状況を引き起こす原因になっています。大手では一部、労働環境の改善が見られますが、まだまだ多くの方の意識は「給与が低い」「労働環境が悪い」というイメージが強いのではないでしょうか。

 

多くの専門学生は「販売」を通過点に過ぎないと認識している

学生さんは入学前に専門学校側から夢に満ち溢れた事ばかり聞かされ、希望を胸に入学。そして二年生になる少し前くらいから自分の就職先は高確率で販売員である事に気づく訳です。こんな事ばかりしているせいで、二年生になる頃にはファッション業界に夢を見れなくなる学生もちらほら。二年生のみを請け負っているクラスがありますが、毎年の年度始めは愚痴ばかりが飛び交います。

有名専門学校には大体有名な卒業生が1人はいるものです。文化服装学院では山本耀司氏を始め、アンダーカバーの高橋盾氏、ファセッタズムの落合宏理氏など錚々たる面子が揃っています。VANTANにはアンリアレイジの森永邦彦氏、上田安子服飾専門学校には森川マサノリ氏などなど。

そのような人になれる可能性がゼロだとは言いません。では求人全体の9割を占める販売員の話をしているのか?どんなに夢を描いたところで90%の確率で販売員になるのですから、その対策と求人の事実を伝えなくてはなりません。その上でキャリアアップを目指す話をすればいいのです。

まあ「販売員を育てる」なんて営業トークで言っても確かに学生には刺さりにくい。そうなると入学者数も見込めないというのが大きな理由なんでしょう。

 

是正されない各専攻の募集人員

先述しました通り、専門学校各専攻の募集人員の数を見ていますと当然、販売員のコース:その他のコース=10:1の比率にはなっていません。比率がおかしいと就職の際にあぶれる人材の数が多くなります。

これではしっかりとした販売員教育を受けれず、希望する職種にも付けず、ただ就職先の確保として販売員になる人材が増えてしまいます。しかし企業によっては販売員のキャリアアップの道がちゃんと用意されており、勤務3年で本部に昇格といった事例も珍しい事ではありません。そしてそこには販売員としての実績が求められます。

更に悪い材料は、ファッション教育機関の教員はほとんどがその学校の卒業生です。若い人材を獲得すべく、キャリア2〜3年程度の卒業生に声をかけ講師を依頼する。講師を依頼された卒業生は浅いキャリアのまま講師として終身雇用。。。

つまり業界の知識・技術が無いままの講師が増える仕組みになっています。この状況では十分な教育を施す事は難しいでしょう。

 

問題の正しい理解、そして解決方法を

現場の人間ならわかると思いますが、販売員は誰でもなれる反面、誰にでもできる仕事ではありません。優れた販売員になるのは簡単な事ではないのです。だから今の市場には良い販売員なんてほとんどいません。

誰にでもできる仕事ではなく、本来の販売員のお仕事をしっかりこなせる人材を作る。そういった環境が用意されてこそ、入学者数増加を喜んでほしい。

1年後、今年入学した学生が「入学して良かった」と思える教育機関にならない限り、入学者数増加には意味は無いでしょう。そうならない為には、まず市場の正しい把握とその対策が教育機関の最重要項目ではないのでしょうか。その繰り返しが無ければファッション教育機関は今後、衰退の一途をたどるしかありません。現状を見ている限り変化の兆しは全くありませんが…。

 
 
【関連記事】

「学生の質が悪いから」なんて言い訳するくらいなら教育するの辞めてください

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深地 雅也
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