フルフィルメント  2019-02-09

ZOZOARIGATO(ゾゾアリガト)はゾゾタウン史上最悪の核兵器

アパレル業界全体をにぎわせているZOZO ARIGATO(ゾゾアリガト)という名の大型ディスカウントイベント。カスタマーにとっては極めてお得感を感じさせるイベントで、12月下旬からスタートし、現在も好調な推移をたどっているようだ。

 
周知のとおり、これが引き金でオンワード、ミキハウス、4℃等有名ブランドが去り、、あれよあれよと40店舗程度がゾゾでの展開を休止した。しかしながら、決算短信での発表では、これらの離脱が業績において非常に軽微なものだという。
 

オンワード樫山がZOZOTOWNから離脱した理由とは(訂正)


(離脱したブランド一覧はこちらご参考までに。)
 
たしかに数字で言えば軽微だし、実際に全体の売上高は上がっており、新規獲得数も当然伸びているため成功ではある。
 
しかし問題はそこではなく、これによって各メーカーがゾゾに対して抱いていた「夢や希望」が確実に崩壊したということが浮き彫りとなった。
 
 

【ゾゾタウンは希望の星だった】

15年ほど前に開設されたゾゾタウン。当初は、元ミュージシャンで面白い青年が立ち上げたサイトとして業界ではちょっとしたうわさになる程度だったが、その後ユナイテッドアローズ、ビームスなどの大手セレクトやブランドの展開に成功することで一気に加速。ファッション分野におけるEコマースの代表格となった。
 
当時はまだ、Eコマースという業態自体が胡散臭さ満開で、アパレル業界はまだまだ百貨店至上主義真っ只中。当時でも楽天市場、ヤフーショッピングがアパレル商材を扱っていたが、商品の見え方がチープでブランドの世界観なんて微塵も感じないようなものばかりだったため、Eコマース自体に胡散臭さが先行していた。
 
ところがゾゾタウンは違った。
 
インターネット上で仮想空間を作り出し、世界中のどこよりもクールな街を作り上げた。当時は扱うブランドやアイテムはもちろん、バーチャルで映し出すストアのグラフィックデザインなども打ち合わせし、できるだけブランドのイメージと近い形で表現してくれていた。また特集ページのルックや商品ページのルック、使うアイテムからも綿密に打ち合わせをし、世界観に沿うようなブランド露出を第一に考えてくれていた。
 
一方で、当時はメーカーにとっては神様のような(ように扱わなければならない)存在の百貨店がブランドの世界観などは無視し、共通什器、坪効率に伴う売り場縮小、海外ビッグブランド第一優先主義等など横暴を繰り広げていた。
 
しかしながらメーカーにとっては、百貨店からの撤退はブランドの死を意味するほどの風潮があり、世界観を壊されたぐらいで出て行くようなメーカーはほぼ無かった。ただ、百貨店に対しての不満は相当あったはず。
 
そこで現れた新進気鋭の集団スタートトゥデイ。ファッションを表現するに値するかっこいいサイト作りを第一に考え、若く、とにかくファッション好きのスタッフ達と共に試行錯誤の上に作り上げ表現される世界。ブランドが生まれた頃の感覚がよみがえり、ゾゾタウンに忘れかけていた「夢と希望」を再び感じた各メーカー社長、担当者が多かったように思う。
 
その後もWEAR及び独自に設計・製造した「ボタン型ビーコン」などファッション業界の活性化という言葉にふさわしい施策を次々にローンチ。
 
 

【ここまでが頂点だった】

その後は周年記念と銘打ってのメーカー負担のディスカウントクーポン、その後なぜか常態化し、毎日365日クーポン発行。
 
ふと気づいたらコーディネートもモデルもポージングも画一的。画像は極力メーカーが用意する風潮。
 
話題のゾゾスーツの発表。PBへのシフト。
 
まさにメーカー側としては10年単位での壮大な「うまく使われた・・」感が芽生える展開となってきた。
 
で、最後のとどめ。
 
「ZOZOARIGATOメンバーなら今すぐ30%OFF」
 
・・・・・もはや完全崩壊。
 
上場を為し、利益を優先しなければいけない状況になったことは分かる。この流れが悪いという言い方もしない。が、これにより大きく失望しているメーカーは多いだろう。何せ、新作がアップされた瞬間からメンバーでなくともオフ率表示されてしまう。店頭の販売員からしたらたまったもんじゃない。
 
しかしもう離脱することもない。百貨店からの離脱もなかったように。
 
時代は繰り返される。
 
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【追記】2019年2月26日
「ゾゾアリガトー」特典価格の表示パターンを出店ショップ側で選択できる機能を追加

ZOZOが2月26日、ファッション通販サイト「ゾゾタウン(ZOZOTOWN)」での有料会員制の割引サービス「ゾゾアリガトー(ZOZOARIGATO)メンバーシップ」の未加入者向けの価格表示について、各企業の判断で出店ショップごとに表示パターンを選択できる機能を追加した。

年明けから撤退が相次いだ為、対応措置としてZOZOARIGATOの表示方法が変更された。しかし、出店側の判断として一番選択されたのは、上記画像の向かって左側。商品一覧→商品ページに遷移するとオフ表示がすぐ見える仕様だ。(商品一覧には「メンバー入会で今すぐ全品10%OFF」というバナーが表示される。)問答無用で30%OFFの表示をしていた以前の仕様よりは、若干ソフトになったとは言え、ディスカウントを強く印象付けるものに変わりはない。ブランド側にヒアリングしても、オフ表示を弱めたところが売上を落としているようだ。
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