アパレルMDの為の教科書  2019-02-14

5適とは?④~適格。影のコンセプト~

・”適格”を考えてみよう

前回は”適量”の話。4回に渡って続けてきた”5適”の話もいよいよ大トリとなりました。今回は、”適格”の話をさせて頂きます。

5適とは?③~適時・適量~


”適格”を考える・実行するということはどういうことなのか?
今回も、おにぎり🍙屋さんの例で考えます。皆さんも一緒に考えてみてください。

① おにぎり🍙1個の値段をいくらにする?どのくらいの値段ならOLさんに多く買ってもらえる
② 高い商品・安い商品と。価格に差をつける?それともワンプライスにする??
③ おにぎり🍙1個でどのくらいの材料費(原価)がかかり、売れればどのくらい利益(粗利益)が出るの?

このようなことが、考えられるでしょうか?

・価格決定は、ブランド・ショップコンセプトを意識すること

まずは、①の件です。MDにとって価格(元売価)を決定するということは重要な行為です。この連載の2回目でブランドコンセプトが大事。という話をさせて頂きました。

コンセプトは、ショップの命運を左右する?


このブランドコンセプトを決定する際に、価格のコンセプトを決めておくということも、実は重要なことなのです。そして、そのことが、元のブランド・ショップコンセプトと整合性のとれるものでなくてはなりません。それは、何故か?顧客が商品を購入する際に、気にすることの上位にくるのが、価格だからです。

・どのくらいの価格で商品を買えるのか?顧客に連想させることが重要!

次は②の件です。これは、実は③の件とリンクします。
まずの②の件ですが、顧客からみて、価格が連想できる、ショップ・ブランドは解りやすいということです。
例えば、アパレル・ファッション業界で一番有名なのは、UNIQLOですが、3,000円握りしめて買い物に行けば、かなりの良い商品が買えるということが、誰でも連想できる筈です。

また、鎌倉シャツは、4,900円(今はその価格ではない)というワンプライスで、日本製の最高のビジネスシャツが買える。ということを顧客に連想させることに成功しました。そして、一時は生産が追い付かないくらいの大人気ショップとなりました。
今、アパレル・ファッション業界で人気があり、継続するショップ・ブランドは、その殆どが、商品に対しての価格を顧客に連想させています。
皆様も是非、そのことを意識して、気になるショップ・ブランドをリサーチしてみてください。

・なぜ、アパレル・ファッション業界で価格を顧客に連想させるブランド・ショップが少ないのか?

しかしながら、何故アパレル・ファッション業界では、価格をイメージできないブランド・ショップが多いのか?
それは、③の件に付随します。

例えば、おにぎり🍙屋さんの例で言えば、普通の明太子と博多の高級からし明太子では、仕入の値段(原価)が大きく違います。今回は、普通の明太子のおにぎり🍙が20円の原価。高級からし明太子のおにぎり🍙が80円の原価になるとしましょう。

そして、おにぎり🍙屋さんの原価率は20%でなければならない!と予め決められているとしたら?

→(普通の明太子)20円÷20%(原価率)=100円(元売価)
→(高級明太子)80円÷20%(原価率)=400円(元売価)

と言う風に、価格に大きな差がついてきます。
これが当初決められた、ショップコンセプトに適うのであれば、それで良いのですが、仕事で忙しいOLさんが、気軽食べられる、安くておいしい!おにぎり🍙をコンセプトとしているのに、そのようなことが通用するでしょうか??また、見た目・味で、違いがすぐに判断できるほどの違いがあるのでしょうか?

これ、アパレル・ファッション業界で言うと、実は多くの組織で行われていることなのです。
例えば、イギリスの高級生地を使ったシャツと中国で量産されているシャツ生地で、同じデザインのシャツを作った。価格は倍以上差がある。
どうでしょうか?元のブランドコンセプトで、そういう嗜好品に強い人が顧客ターゲットであれば問題ありません。(だが、自ずとマーケットは劇的に小さくなる。)しかしながら、長年アパレル・ファッション業界の仕事に携わった私でも、実はこの違いはそう簡単に見極められるものではないのです。
にも関わらず、一般のお客様がそれを受け入れて納得してくれるでしょうか?多くの人はそうではない筈です。

このような価格の決め方をしていると、プライスゾーンが広くなります。

例えば、シャツで5,000円~25,000円の品揃えしている!という風になります。これで、顧客がその店の価格が連想できるでしょうか?買い物することに安心感があるでしょうか?世界中のシャツを品揃えしているショップであれば、このことは通用するかもしれません。しかしながら、一つのブランド・ショップとして顧客に認知してほしい!考えるのであれば、このことに安心感を感じ買い物する顧客は、殆どいない筈です。

当然のことながら、組織として利益を上げ、永続させるには、ある一定の仕入原価率ターゲットは必要です。しかしながら、そのことを杓子定規に守っていては、上記のようなことが起こります。その際には、組織で予め設定した仕入原価率と、ブランド・ショップコンセプトから浮彫になる顧客像を鑑みながら、慎重に価格を決めなければならない!ということです。

・価格を決めることは、ブランド・ショップコンセプトを決めることと同じ

MDにとって、価格を決める!ということは、影のブランド・ショップコンセプトとも言え、最重要の仕事の一つでもあります。
だからこそ、価格以上に魅力のある商品を考え・実践し、顧客に提供する!ということも併せて意識するようにしてみること。そのことが実行できれば、顧客が喜ぶことが増え、顧客の数も自ずと増えていくことでしょう。そして、ショップ・ブランドの仕事に関わる皆がハッピーになっていく可能性が高まる筈です。

これまで、4回にわたって”5適”のことを述べてまいりましたが、皆さん何か気づいたことはないですか??
では、次回は5適から見える、マーチャンダイザーの仕事ということを改めて考えていきます。
では皆様。次回をお楽しみに。

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佐藤 正臣(マサ佐藤)
WRITER

(株)エムズ商品計画オフィシャルサイト】(株)エムズ商品計画代表取締役。大分県大分市出身。リテールMDアドバイザー。繊研新聞社より「数学嫌いでも算数ならできる筈〜算数で極めるMDへの道」出版。大手アパレルからライフスタイルブランド・スーパーマーケットなど、あらゆる分野のマーチャンダイジング改善に従事。仕事依頼は上記弊社ウェブサイトリンクよりお願いします。唯一の趣味は古着収集。

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