フルフィルメント  2019-02-15

フルフィルメントの内製化はアパレル企業のトレンドになるのか?

UAの自社EC ゾゾとは違うサービスで共存共栄狙う

体制変更後は昨年5月にできた千葉県流山の物流拠点から自社ECの商品を発送するようになる。ECサイトの更新・変更なども自社の要望に応じて新たに組むパートナー企業が担う。ゾゾ側に委託していたECに関する顧客サポートも自社の窓口と一本化する。
 

年末から自社ECの開発業務をZOZOから別の業者に変更するというニュースが流れていたユナイテッドアローズ(以下、UA)ですが、to C向けのZOZOTOWNへの出品は継続との事。UAはZOZO内でもトップレベルの売上なので、さすがにZOZO内での販売停止は難しいでしょう。売上が大きいと料率も低くしてもらってるでしょうから、ちゃんと利益出てそうですし。(デフォルトは売上に対する35%がZOZOに支払う料率ですが、恐らく20%切っているのでは?と推測します。)ただ、ちょっと気になるのが上記の抜粋部分。ライトオンがZOZO離脱という記事にもありましたが、ささげ業務や物流など、いわゆる「フルフィルメント」の領域を内製化する動きが目立ってきております。
 

◯フルフィルメントが内製化されると…

当然ですが、フルフィルメントが内製化されると、自前で全ての業務が完結する訳ですからZOZOへの交渉力は増します。筆者のお知り合いのブランドでフルフィルメントを外注しているブランドは、料率の交渉等で不利になっていて、代わりを見つけたいけど物流含めて全部握られていると、そこのスイッチングコストが高くつく事を恐れて中々動く事ができていません。
 
内製化の事例では、アーバンリサーチなんかは早い段階から実行していました。同社のささげ業務のアルバイト採用見てもらったらわかりますが、撮影部隊の時給は950円です。つまりアルバイトに撮影を任せている訳ですね。プロのカメラマンに依頼すると、1時間1万円でもまだ安い方です。既に顧客がついてるブランドであれば、写真のクオリティが多少低くても売れるんでしょうけど、中々の安さで驚愕しました。やり方次第ですが、コストカットにも繋がる可能性もあるようです。(このやり方はあまり賛同できませんが…。)長らくZOZOの商品ページを観測していますが、ここのクオリティも年々下がってきているように思います。コストカットの為なのかどうかはわかりませんが、取引先各社の評判はあまり良くありません。
 
物流も自社で内製化されると、在庫をいちいちモール側へ預けなくてよくなります。在庫を預けるという事は、客注対応にとっても時間がかかってしまうという事。例えば店頭にてお客さんが欲しいという商品が他社モールにしか在庫が置いてない場合、取り寄せるのに時間が1、2週間かかったりするという事です。そうなると機会損失する可能性が高い。店頭の事を考えると、自社物流拠点でWeb在庫があるというのは機会損失を防ぐメリットがあります。
 
 

◯ECの内訳は?

UAのECの状況はと言いますと、決算書に詳細が記載されていますので確認しておきます。質疑応答のところにて、現在のEC売上の割合が記載されていますが、
 

主要サイトではユナイテッドアローズ(UA) オンラインストアが約 130%(撤退事業を除く 約 139%)、構成比約 27%(前年から約4pt 増)、ゾゾタウンが約 94%(撤退事業を除く 約 104%)、構成比 約 50%(前年から約 8pt 減)、楽天ブランドアベニューが約 211%(撤退事業を除く 約 224%)、構成比約 12%(前年から約 6pt 増)、アマゾンが約 128%(撤退事業を除く 約 132%)、構成比約 3%強(前年から微 増)です。
 


第三QまでのEC売上で185億8900万円。で上記内訳で分けますと、
 
自社   50億1900万円(130%)
ZOZO   92億9450万円(94%)
楽天   22億3000万円(211%)
Amazon  5億5700万円(128%)

 
という状況ですかね。冒頭でも触れていますが、ZOZO比率がどんどん下がっているものの、まだまだ売上高が大きいので直近で離脱という事はまだ無さそうです。しかし、ZOZO依存度を下げていく方向性はどの企業も同様ですね。自社比率高くなってくると、モールへの交渉力も高まりますし、何より顧客リストを自社でしっかり獲得できます。「新ブランド出します!」ってなっても、顧客にリーチできなかったら意味ないですからね。
 
他社モールの比率をどんどん上げていっているのも気になります。楽天は最近、家賃をめっちゃ下げてきているので利益が出やすくなったという声もよく聞きます。一時は楽天離れするブランドが多々見られたのですが、やや回帰が見られるのが面白いですね。ビームスやライトオンは取り組み強化していっていますし。
 
自社EC比率を高めるのも、フルフィルメントの内製化も、結局は外部への交渉力を高めるのに必要な項目と言えそうです。逆にモール側は、to Bをもうちょっと強化しておかないと、出店側への交渉力がどんどん弱まってくるのではないでしょうか。

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深地 雅也
WRITER

株式会社StylePicks CEO。コンテンツマーケティングをメインに、ECサイト構築・運用・コンサルティング、ブランディング戦略立案、オウンドメディア構築、販促企画などをやってます。最近はODM・OEMメーカーのブランド設立支援、IT企業のアドバイザー、服飾専門学校講師、ライター業なども手がけてます。

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