店舗マネジメント  2018-07-03

しまむらがZOZOに出店したらECのノウハウを得られるのか、EC担当をしてる人に聞いてみた


しまむらの「ZOZOTOWN」出店は「自社EC展開を見据えノウハウを学ぶ」ため

「ZOZOTOWN」への出店は、店舗がない地域や、店舗に来店できない顧客に商品を販売するのが目的。また、ECに関するノウハウを獲得することや、新たな顧客層を開拓する狙いもある。 しまむらは2020年2月期までに自社ECサイトの開設を計画している。まずは ECモールに出店することで、「自社ECサイトを運営するためのノウハウを獲得したい」(しまむら・企画室)と言う。
 

しまむらがECを始めるというお話は以前からも出ていたニュースですが、この度ゾゾタウンへの出店が決まったようです。理由はモールに出店する事でECサイト運営のノウハウを獲得するという事なのですが、、、
 
EC業界で日々お仕事をしている身としては、モール出店で自社ECのノウハウが得られるかは疑問な点がいくつかあります。もちろん全く役に立たないかと言われるとそうでもないので、「役に立つ・役に立たない」を実際に某ブランドのECを担当している方に聞いてみました。(そのブランドはZOZO、Amazon、自社ECで出店中です。)
 
 

○モール出店での担当者の役割

まず、モールに出店する場合、ブランド側の業務としてはざっくりと下記になります。(モールによって業務内容もまちまちなので。。)
 
・EC用商品のオーダー
・自社商品に関わるささげ業務(撮影・採寸・原稿)
・モールへの商品アップ作業
・モールとの交渉(料率・販促企画・クーポンやセールなど)
・モールとの在庫のやり取り(客注や返品対応など)
・SEO対策

 
ざっとこんな感じになります。モールで楽なのは、集客は自分たちでやる必要が無い事です。ただ、モールも巨大化してくるとどんどんと埋もれてきますから、モールの中で露出する必要が出てきます。それがモール内での広告出稿やクーポンになります。これをやらないだけでZOZO上で昨対50%にまで下がったブランドもあるくらいです。しかし問題はどれだけ粗利を出せるかですから、売上減になってもクーポンやセールで利益削りまくって蓋をあけたら利益率が下がった、、、という結末が最悪です。クーポンのご利用は計画的に。
 
そして実はとっても大変なのがモールとの交渉。料率(売上に対して支払うモールへの報酬のパーセンテージ)やクーポンをどれだけ発行するのか?など、何かにつけてモール側へ承認を取らなければなりません。
 
またモール自体の成長率も重要です。成長がストップしているモールに出店するという事は、モール内の他ブランドからお客を取らなければ自店の売上が伸びる事はありません。このあたりは百貨店などの商業施設に出店するのと同様ですね。
 
 

○自社ECでの担当者の役割

では今度は自社ECにおける担当者の役割ですが、
 
・EC用商品のオーダー
・自社商品に関わるささげ業務(撮影・採寸・原稿)
・自社ECへの商品アップ作業
・自社ECの集客施策(コンテンツ更新・ソーシャル運用・web広告施策)
・CRM
・店頭との連携

 
オーダーやささげ業務はどちらも共通して発生する業務ですから、ここはノウハウが得られるでしょう。しかし自社ECを売っていくにあたって一番重要なのが「集客」の部分。
 
たとえば自社サイトの更新頻度を上げて集客する場合、ブログや特集などのコンテンツを更新する訳ですが、記事制作の為の企画、ライティング、撮影が発生してきます。店頭があるブランドは一部をショップに振っていますね。ベンダーに外注する事になるかもしれませんが、品質管理をしなければならないです。ソーシャル運用も自前でやる事になると、撮影や日々の投稿が業務として発生します。そして一番難しいのは、これらはただ闇雲に発信すればいいのではなくて、ブランドのブランディングプランに沿って実行しなければならないのです。恐らくここが最もハードルが高い。モールは「いかに使いやすいか、いかに品揃えがいいか」が争点になってきますが、自社ECは「自分たちのブランドのファンをどれだけ獲得できるか」が重要になります。だからこそブランディングに注力することこそ、自社ECで売上アップを実現する手段になるのです。
 
あとは、昨今必須になってきている店頭との連携。いわゆるオムニチャネルです。在庫・ポイント連動は当たり前で、商品の店頭受け取りやキャンペーン実施まで店頭を絡めるケースが増えておりますので、ここもEC担当者の業務が増える項目になっています。
 
 

○しまむらにモール出店は必要か?

しまむらは日本に店舗数が1400もあり知名度も非常に高いですから、自社ECを始めても集客にはそれほど困らないと思います。ただ、webでもお客に欲しいと思ってもらうにはブランディングプランは必須です。過去、GUがGU TimeLineという施策を実行したことがありますが、この時も目的は集客ではなく、製品の付加価値を上げる事でした。大手のブランドは資金力・知名度が共にあり、多店舗展開もしているから集客はそれほど難しくないはずです。販促費も潤沢に使っているでしょうし。
 
逆にZOZO側からしたら、今どうしても増やしたいのがSKU数。ブランド数、SKU数が増えれば、セッションも売上も上げやすくなります。そうなると流通総額が増え、決算書も良く見えます。プチプラブランドの横行するモールになっても、クーポンが毎日ばらまかれても、数字として成長していれば株価も上がるでしょうし。
 
個人的な感想は、しまむらにはあまりメリットが無いように見えますがZOZOにはとってもメリットがある。ただ、ブランドによって出店の条件もまちまちでしょうから、しまむらには破格の出店条件が提示されたのかもしれませんが。。
 
良かったらこちらもご参考までに。
しまむらのECは成功するのかどうか考察してみた!

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深地 雅也
WRITER

株式会社StylePicks CEO。コンテンツマーケティングをメインに、ECサイト構築・運用・コンサルティング、ブランディング戦略立案、オウンドメディア構築、販促企画などをやってます。最近はODM・OEMメーカーのブランド設立支援、IT企業のアドバイザー、服飾専門学校講師、ライター業なども手がけてます。

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