ブランド・ビジネス  2019-04-15

創設3年で流通店舗300店を突破したジーンズブランドの快進撃の裏側

ワークマン vs デカトロン 2019年春の「西宮戦争」
先月、高機能商材を取り扱う2つのショップが西宮にオープンしました。1つはフランスのアウトドア・スポーツ用品メーカー「デカトロン」が西宮ガーデンズに、もう一つは現場作業や工場作業向けの作業服・関連用品の専門店「ワークマン」の新業態「ワークマンプラス」がららぽーと甲子園にそれぞれ出店しています。商圏がやや違うので「西宮戦争」という風になるのかは微妙ですが、どちらも兵庫県の西宮に出店した事もあり話題になっています。
 
高機能商材を取り扱うブランドが日常着の市場に打って出る事例はここ最近よく見られる潮流で、「機能」というわかりやすい訴求ポイントが受けており話題にもなっています。

(西宮のワークマンプラスはオープン初日に入場制限がかかっており、2時間待ちの行列が出来たそうです。。)
 
一つ視点を変えれば新たな市場でチャンスが眠っていえると言えますが、ファッションを逆にワーク市場にもちこみ「ワーキングカジュアル」(通称:ワーカジ)を提唱しているジーンズブランドが存在します。

https://www.bmc-tokyo.com/
 
Blue monster clothing(ブルーモンスタークロージング)はエドウィン出身の青野社長が立ち上げたジーンズブランドで、ワーク市場を中心に急拡大しており、創設3年にして現在卸先は300店舗を超えるという流通量を誇っています。先日もクラウドファンディングに挑戦し、2連続でサクセスしています。
 

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ジーンズ馬鹿達が【スマホ生活を最適化するチノパン】を大真面目に作りました!
 
チノパンは現在もプロジェクト継続中で、ユーザーの生活に寄り添った提案が受けているのか、あっという間に300%を達成しています。何故、こんな短期間でブランドとして急拡大できたのかご本人にいくつか質問してみました。
 
 
Q.創業とブランドを始めた理由は?

A.前職の国内ジーンズメーカーが倒産の危機に陥った際に、総合商社の事業会社として生き残りました。当時は企画生産に所属しており、総合商社の事業会社として2年程勤務しましたが…。口先ではカッコイイ事を言うけど、お金にしか興味のない総合商社に嫌悪感があった為、この人たちの下で働くのは嫌だなと正直思いました。
また、倒産危機に陥った際に、当時の(組織在籍期間のみ長い)上長の移りみの速さにも嫌気がさしていました。オーナー企業から総合商社の事業会社へ移行した途端に、掌返しの保身好きな人達でした。こういった方々みたいにはなりたくないと言う思いもありました。
決定的だったのは、自分のキャリアにおける絶対的恩師との別れでした。新卒採用され、天狗になり飛び出し、復職した際も、何も変わらず全てを受け止め、もの作りを叩き込んで下さった方から耳がタコになるくらい言われ続けた「お客さんが喜ぶものつくり・小売さんが喜ぶものつくり・サプライヤーさんが喜ぶものつくり」を自分の解釈で行う為には、脱サラをし50万円の資本金で起業するしかなかったって感じです。ちなみに、この教えは、弊社の社是になっています。
ジーンズ業界において、恩師の教えを守り続けるのは自分しかいない!と個人的な思い込みや勘違いも含めて起業しました。今思えばアホな決断です。しかし、それを今まで愚直に守り実行しています。
上述の経緯と弊社の社是において、ビジネスを行い食っていく為に、ジーンズブランドを作ろうと思いました。それがBLUE MONSTER CLOTHING(以下BMC)です。
「価格以上の商品価値、毎日使ってもらえる価値」というのは、サラリーマン時代から変わらず持ち続けている僕自身の開発コンセプトです。それを「衝撃的価値」と表現しているのがBMCになります。

 
 
Q. BMCで何を実現したいのか?

A. ズバリ!BMCが日本の国民服になればと思います!弊社の目標は、日本一のジーンズメーカーです。国民服になれれば日本一のジーンズメーカーと名乗っても大丈夫だろうと思っています。何を持って日本一とするのかは、定量的・非定量的な要素が様々あります。
ただ、上述にもある様に、価格以上の商品価値、毎日使ってもらえる価値を表現し続けるジーンズがBMCだと思います。現在、カジュアル市場・ワーキング市場と2つの市場の重なる部分で展開しています。
概念的なことで言えば、弊社の三位一体の社是(「お客さんが喜ぶものつくり・小売さんが喜ぶものつくり・サプライヤーさんが喜ぶものつくり」)を具現化し続けたいと強く思います。これは僕個人の意地でもありますが、現在のアパレル製造において、BMC製造に関わる全てが利益を得て事業を継続できる仕組みには、この三位一体の継続性が最も重要だからです。
そして、真の国民服を目指すのであれば、嗜好財としての要素の強いジーンズではなく、消費財としての要素の強いジーンズを目指したいですね。一部語弊はありますが、いわゆる消耗品としての要素が強いジーンズを目指したいです。その中にファッション要素を取り入れて、着用する方の満足度を上げていければと思います。
結局は、価格以上の商品価値、毎日使ってもらえる価値を追求していくと、消費財として着用され、それが国民服へと変貌することを狙いたいと思います。

 
 
Q. 現在の流通店舗数と物量は?

A. BMC納品店舗数は320店舗を超えています。2019年秋には400店舗を目指しています。国民服になる為に!物量は、年間10万点を超える規模にまで大きくなってきました。BMC立ち上げの時は、超無理して数百本しか生産できなかったのに・・・ラッキーパンチは恐ろしいですね(笑)

 
 
Q. なぜそこまでの流通量が増えたのか?

A. 確実に他力で増えました。BMCの実力で増えたのではなく、巡り合わせや提携先の流通戦略で増えています。
流通量の経緯を記すと…、ブランド1年目は飛び込み営業でカジュアルショップ30店舗ほどでした。ブランド2年目でワーキング関連の小売さんとの接点を頂き、ワーキング市場での流通が始まりました。ここでカジュアル・ワーキングショップで合計100店舗になりました。ブランド3年目(現在)で良きご縁を頂き、ホームセンターへ流通が広がり、本日現在320店舗になっています。
本当に、本当に、ご縁を頂き、他人に伸ばして頂いたという、ラッキーパンチ野郎なんですよね。ただ、”自分の目標を達成する為”と”流通しないとブランドではない”という考え、”アパレルは売れて何ンボ精神”をずっと持っていたので(特段ファッションヲタクではないので)、カジュアルからスキップしながらワーキング市場に飛び込んだ事がキッカケで流通量が増えたというのは結果論として事実ですね。
あっ、後、BMCを一から支えて下さるカジュアルショップを除いては、基本的にバイヤーさんとは商談しない!ってのを行なっています。オーナーもしくは決定権のある方と商談をさせて頂いてるというのも早期で流通量が増えた要因ですね。

 
 
Q.ワーク業界からもかなり注目されているようですが、その理由は?

注目はされてないですよ。これはマジで。今でも、ワーキング業界の古い商習慣やブランド?メーカー?さんもよく知りませんしね(笑)うちはカジュアルなんですみません的に商売してるから、悪い意味ではマークされてると思います。あっ、後、在庫が瞬殺で切れて欠品祭りだからですかね…。これも悪い意味ですね(笑)
ただ、ワーキング業界のメーカーさんがカジュアルダウンしようと頑張って市場を作ってこられたところに、他の市場から、突然こんにちはって参入したから注目されてるんですかね…。これも悪い意味ですね。
ワーキング業界の方達がいくらカジュアル化だといっても、それは作業服から脱しません。なぜならワーキング業界でしか流通してないからです。売り方も見せ方もワーキングです。見た目はなんとなくカジュアル化されても作業服です。
BMCは、カジュアル要素が90%です。ただ、10%は作業着として使って頂ける機能がありますよって感じです。カジュアル店舗でBMCを購入すれば、そのBMCはカジュアル目的とした衣料品に。ワーキング店舗でBMCを購入すれば、そのBMCはワーキング目的とした衣料に。1つで2度美味しいやつです(笑)だからワーカジって言えるし、ファション性やカジュアル性をワーキング市場で謳ったら、BMCが一番消費者への説得力があるのは確実です。

 
 
Q. 今のファッション市場についてどう思う?

A. ん…、難しい質問ですね。ファッション市場でいうと、属性の壁(=市場の壁)がなくなってきたなぁと思います。消費者もそれを認識していて、各市場の提案ではなく、自分で情報を消化し、自分で賢く買い物をするようになってきたなと思います。
消費における費用対効果を求め始めているので、1度で2度おいしいという感覚や、どのシーンでも使用できるファッションアイテムを求めていると思います。この傾向は、右へ倣えの大きなトレンドがなく、価格で区別してきたファッション市場の製品クオリティーの崩壊に起因していると思います。
資金を調達できれば起業しやすく、各市場における参入障壁が高いアパレル業界でしたが…。感性という理解不能な感覚値ではなく、より実用性が求められるようになってきているので、機能・着まわし等の消費者優位の提案ができれば、市場の壁がなくなりつつあるので、各市場へは提案力と勇気があれば参入しやすくなってると思います。

 
 
A. すごいと思うブランドはあるか?

Q. 基本的にファッションやブランドには疎いので・・・見当違いな回答にはなりますが、ユニクロ、グンゼは素直に凄いと思います。開発力はもちろんですが、国民服に一番近いブランド・メーカーだと思います。
後、業界は異なりますが、乃がみですね。食パンの開発力とその価値の伝え方や、販売方法は、見習う事が多々あります。一人でも多くの消費者が購入できる価格、価格以上の価値、流通網、販売方法など、見習う事は多いです。量を売る事は、難しいです。その量の商売の中で、価格以上の価値を生む開発力で、少しでも価格を上げる努力をしようとしている姿勢は敬服しています。

 
 
Q.次なる施策は?

A. BMCにおいては、ワーカジを400店舗以上での展開。そして、クラウドファンディングにおける実流通ではアプローチできない層への開発商品の提案です。クラファンは、ビジカジアイテムですが。実流通のワーカジと、クラファンでのビジカジを結びつけてBMCというブランドをあらゆる層に認知してもらい、着用してもらうというブランドの伝え方や見せ方を考えないとなぁと思っています。
と同時に・・・ワーカジ対応のBMCレディースを立ち上げる予定です。ここは、市場的にはニッチですが、ここをBMCの開発力で取りに行こうと思っています。楽しみにして下さい。そうきたかぁ!っていう開発を行なっています。後は、クラファンでのビジカジ BMCを実流通に落とし込むようにも動いています。いかに量を求めるかをいつも考えています。アパレルビジネスは、商売なので(笑)

 
 

○ブランド運営はキレイ事だけではできない

お話を聞いていまして、BMC急拡大の要因は「ワーク市場への早い段階でのターゲティング」と、そこで実行した「流通戦略」。そして青野社長ご自身の「アパレル市場の捉え方と美意識」が揃ったからこその結果なのだと感じました。
 
ファッション業界では「エシカル」や「サステナビリティ」というワードが蔓延っており、キレイ事を言わないといけない空気が漂う中、「流通量」「売上」「規模」といった点にしきりにフォーカスされる姿勢は、泥臭くブランドを1から築き上げてきた経験から導き出されたものでしょう。このあたりの強いメッセージ性がBMCというブランドにも強く現れています。
 
そして、今ある実績も全て「周りのおかげ」という謙虚な姿勢を崩さないながらも、築き上げてきたものからくるであろう自信も見え隠れしていました。「高機能」という訴求ポイントだけでなく、「ファッション性」も担保するBMCがワーク・カジュアル市場を席巻するのも、そう遠くない未来の事なのかもしれません。

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深地 雅也
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