
セールス 2019-05-03
フィリピン人がどうやってECで洋服を買っているのかについての考察
フィリピンではECで洋服を買うということは『安く洋服を買える』という意味を持っています。現地の人間がよく使う2大ECサイトがありますので、特徴やどのように使い分けているのか等を考察してみました。
✔︎2大ECサイトはこれだ!
1.LAZADA
東南アジアのECサイト。2012年にRocket Internetという会社が設立。現在は中国のAlibabaに買収されてオーナーが変わりました。
フィリピンのほかにも、マレーシア・シンガポール・タイ・ベトナムに展開しています。
https://www.lazada.com.ph/
2.Shopee
東南アジア&台湾のECサイト。2009年にシンガポールのForrest Liさんによって設立されました。しかし実際にECサイトとして稼働したのは2015年のシンガポール。のちにマレーシア・タイ・台湾・インドネシア・ベトネム・フィリピンに展開しています。現在はSEAという会社がオーナーです。
https://shopee.ph/
どちらも『東南アジア最大のECサイト』という文言が目立つので少し調べてみました。
■Lazada
Alibabaの決算書を見たのですが、Lazada単体の数字はありませんでした。。
Shopeeと比較できる数字を1つ見つけました。
2015年GMV(総流通取引額) 13億6000万ドル(約1510億円)
※1ドル=111円で換算
■Shopee
1)取引オーダー数
2017年4Q 98.3Millions(約9800万件)
2018年4Q 206.9Millions(約2億600万件)
YoY +111%
2)GMV(総流通総額)
2017年4Q 1578.6Millions(約1750億円)
2018年4Q 3425.2Mioolions(約3800億円)
YoY +117%
すごい勢いで成長しています。ただ、決算書には売り上げや利益の記載はありません。というのも、まだマネタイズのフェーズではなく顧客を囲い込むフェーズだからです。プラットフォーム利用料や広告料は取らずにまずは『業者&顧客数を増やす!』ことが目的ですね。
上記の数字は正確に比較できるものではありませんが少しは規模感がわかると思います。(フィリピン以外の国も含んだ数字です。)
どちらもマーケットプレイス型(楽天)の形をとっています。
✔︎フィリピン人はどうやって使い分けているのか?
ガジェット系を買うならLAZADA、洋服などを買うならShopeeと使い分けている人が多いそうです。日用品等に関しては、スーパーで買うので使わないとのこと。私が住んでいるのはセブなのでマニラの人は少し違うかもしれません。(感覚ですが、マニラは東京・セブは沖縄的な差を感じます。)
✔︎洋服を買うときはどうやって検索しているの?
お気に入りのセラー(出品業者)をフォローしており、そこから探すパターンが多いそうです。ブランド名検索はしません。というのも『EC=安い洋服を買う』『ブランド服=高くて買えない』という式があるので、ECでブランド物を買うという行動は取らないようです。
✔︎人気のセラーは?どうやってお気に入りのセラーを見つける?
どのセラーで買うかは下記2つを条件に見ています。
①評価
②フォロワー数
では上記を参考に人気ショップを見て見ましょう。(Shopee)
1)RRX OnlineShop
①4.6星
②43,972フォロワー
300ペソ(約660円)
250ペソ(約550円)
私が初めて見たときの感想は『やっすぅい!』でしたが、フィリピン人の給料から考えると良いお値段。最低日給が386ペソ(約890円)のお国。気軽にポチれる感じではありません。
2)tintedbygermaine
①4.9
②15,557フォロワー
205ペソ(約450円)
こちらはスイムウェアが得意なショップです。水着がワンコイン(500円)で買えるなんて・・・
3)YAZI FASHION ACCESSORIES INC.
①4.9
②318,726フォロワー
79ペソ(約175円)
カバンが得意なショップです。フォロワー数も31万と桁違い・・・
しかしトートバックが175円はやばい。安すぎます。
✔︎つぎに同じ商品をLazadaとShopeeで比べてみましょう。
■Laraza
■Shopee
Lazada
元値530ペソ 割引後268ペソ
Shopee
元値450ペソ 割引後200ペソ
Shopeeの方が断然お得です!
✔︎支払い方法は?
もっとも多いのは『代引き』です。理由はクレジットカード&銀行口座を持っていないフィリピン人がマジョリティだからです!いまだにお給料は手渡しのところが多いです。
また、ガジェットなどの大きい買い物をするときは必ず代引きにするのだとか。
『1万円の携帯電話を買って、中身を開けたら石が入っていた。』という話はフィリピンでは有名です。代引きにして、中身を確認後に配達員にお金を渡します。1万円というと平均月収ぐらい。月収分つぎこんで、石が入っていたら発狂しますね。
では2つのサイトに支払い方に差はあるのでしょうか?
■Lazada
・Lazada wallet
・クレカ/デビット
・G cach
・BOD credit card
・Cash on delivery(代引き)
上記より、選択可能です。
■Shopee
・Cash on delivery(代引き)
・Remittance/Payment center(支払い専用の窓口)
・Over the counter(銀行窓口)
・Online Payment(ネットバンキングやG cash)
・Bank transfer(銀行間送金)
Shoppeの方が支払い方法が多様です。
でも何度トライしてもG cashでは支払いできませんでした・・・
G cashとはLine payやPaypayみたいなものです。
✔︎配送料は?無料?
どこのセラーでも○○円以上は送料無料という形が多いです。送料がかかったとしても50-150ペソ(約110-330円)ぐらいです。
✔︎配送期間は?翌日配達は可能?
7000の島から構成されてるフィリピンはメインの輸送手段は船です。
マニラからセブ行きのコンテナが満タンになると出発するとかしないとか・・・
日本のように翌日配達なんてありません。
だいたい5日~10日で到着します。
遅いものだと1ヶ月近くかかったり・・・
✔︎フィリピン版ZOZOタウンはこれだ!
ZALORA
こちらは完全にアパレルしか扱っていない、ECサイトです。
所謂、ZOZOタウンです。ただ、ハイブランド系(といってもファストファッションやNikeなどです。)を扱っているので5000ペソの商品があったり・・・日本の金銭感覚でいうと10万円ぐらいの商品です。
なので、ローカルの人たちは使っていません。
香港・台湾・シンガポール・インドネシア・マレーシア・フィリピンで展開している感度高めのECです。
若い世代だと、意外にもECで洋服を買うことに抵抗はないようです。大型モール等に比べると安く洋服が買えるので買い物は『EC or 中古品』というフィリピン人が多かったです。
また中には、サイズがわからないからECでは買わない。という層も一定数いました。
ECで仕入れて小さな路面店で販売をしているお店もたくさんあります。(価格は倍ぐらいしますが・・・)
路面店でいいなと思ったものをECで買う、ショールーミング的な行動もしています。
『代引き』だから安心して買えるフィリピンのEC事情でした!
COMMUNICATION
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