ファッション全般  2019-06-04

ステッカー1枚に1万円払い続けるオンナの心理。

 
どうしても買うのをやめられないものってありませんか?「よくそれにそれだけ払えるよね」って、周囲からあざ笑われたりなんかして。
 
趣味のひとつといえるのかもしれませんが、3年ほど前からあるブランドのステッカーにハマっています。1枚7千円〜2万円ほどする、すこしリッチな ANIYA HINDMARCH(アニヤ ハインドマーチ)のステッカーに。
 

 
アクセサリーブランドとして初めてロンドンファッションウィークへ出展し、シーズンごとのショーを実現させた第1号ブランドがアニヤ ハインドマーチ。
 
アクセサリーやバッグを中心にウェアを含むトータルファッションの展開から、2015年春夏より新たにステッカーを発表。ニコちゃん、レタリング、キャラクターなど、日常的に親しまれてきたモチーフを採用するウィットに富んだデザインと、それらを引き立てる斬新なショーが人気の秘密です。
 

2017年春夏プレタポルテコレクション/VOUGUE Japan

 
一見すると、「え?子どもっぽい?」と思われるようなモチーフの数々なのですが、とびきり上質な素材で仕立て、余計な装飾を廃除したクリーンな佇まいは、どう見ても大人のための超一流品。他にはない新たな価値観で歩みを進めるアニヤの魅力に落ち、故ダイアナ妃やキャサリン妃が愛用していたのも有名な話です。
 
 
さてまだ20そこそこの私は、冒頭でも述べた「ステッカー」に楽しみを見出しています。
 
実はこの収集にハマったのは、モノがとんでもなくかわいいことは言わずもがな、「店頭で受けた接客」と「家に帰って感動したこと」の2つのフェーズで心を掴まれたからなんです。
 
 

 
ちょうどパックマンのステッカーを購入した際のこと。
店頭のアイテムに触れていくなか、ショーケースに並べられたステッカーの前で足を止めていると、一人のスタッフさんが声をかけてきます。「かわいいですよね…… どの子がタイプですか?
 
“どの子”!??!!!
咄嗟に「こっ…この子です……!」とグリーンのパックマンに手を向けました。
 
驚きました。接客でよく聞く“こちらのアイテム”などはおっしゃられず、キャラクターであるパックマンのことを“あの子”と呼んで紹介してくれたから。
 

 
アニヤは“ゆめかわいい”ファンシーな世界観ではないので、モノを単純に擬人化して呼んでいるわけではありません。ブランドとデザインひとつひとつのムードを尊重し、最終販売者である自らがブランドの顔であることに責任を持っていること、そしてお客様がアニヤのどのようなところに惹かれ、なにを求めているかをきちんと理解して接客されていることが、この些細なひとことで悟れました。
 
アニヤのことを本当に愛し、敬意を持ってここに立っている、そんなスタッフさんから「買いたい」と思ったのです。
 
人見知りの呪縛から解放された私は、スタッフさんと各々の絶妙な表情やカラーリングの違いを談笑しながら楽しくお買い物を完結。当初そういや買うか買わないかで悩んでいたよなと後から気づくほど、それはそれは自然なことでした。
 

 
ウチに帰って箱をあけると、カードが4枚。
品番が記載されたブランドタグや取り扱いの注意書きとともに、同封されたメッセージ。
 

 
「大事にしてね。大事にするから。」
 
まるでパックマンからのメッセージとも取れる愛おしさ。「ああ、買ってよかった」2回目の感動でした。
 

 
昨今、エシカルの観点から“タグはいらない”と廃止するブランドが増えてきています。その中のデザイナーの方に話を聞くと、どうせ捨てられるものだし、凝ったものにすることでお洋服の価格が上がるのは良くないと。確かにそれは一理あります。
 
しかし不必要なものをそのまま切り捨てず、必要にする作業はできます。今回のように紙切れ一枚でお買い物の体験価値が底上げされることもありますし、このメッセージひとつで“大切にしよう”とモノに対しての愛着も湧きます。ボロボロになるまで使おう、どうしようもなくなったらまた買いに行こう。
反対にこれがもしなかったら、店頭で覚えた感動もいつか忘れ去る日がきていたかもしれないですし、“貼って満足”なんてこともあったかもしれない。そんなことを思うと、絶対不必要なものとはいえなくなってくるのではないでしょうか。タグだけでなく、ハンガーやショッパーも同じです。
 

 
私はこの約1枚1万円のステッカーに、モノだけじゃなくすばらしい体験への感謝の意も込めてお金を払っています。もちろん高くないとは強がりでもいえませんが、それだけを払えるだけの価値があるから何度だって手にしたいし、何度だってアニヤの世界に浸りたいとショップに向かってしまう。
 
無論、ステッカーはすべて本革なのでチープな印象はさらさらありません。iPhoneケースに貼ったり、ポーチに貼ったり、手帳に貼ったり万能なので、アクセサリーと思ってしまってもいいかもしれません。
 
ケースバイケースではありますが、大それたおもてなしや知識よりも時に大切なことがあるということ、本当に必要なものと不必要なものをブランドとして見極めること。あら探しよりも良いところ探しをしているほうが、良い人・こと・モノを提供できるのかもしれませんね。
 

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松本寧音
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