ブランド・ビジネス  2019-09-01

コラム:アパレルビジネスは難しいのか

先日、フォーエバー21が破産申請の準備に入ったとの報道があった。
 
昨年のH&M銀座店の閉店から考えられる『ファストファッションの終焉』については本当なのだろうか。
 
ただ、いずれも事実であり議題に上ることは必然である。
 
また、ファストファッションのみならず、多くのアパレル企業は頭打ちであり、先日、大手のレナウンも『自主退職を募る』という、なんともショッキングなニュースが飛び交った。
 
 

ECサイトへとシフトする消費者の購買習慣の変化により、客足の鈍るショッピングモールを中心に展開していた〈Forever 21〉は急激な売上減少と共に資金難に苦しんでいた模様。さらに激化していくネット通販競争も背景にあるという。

 
 
こちらは先のフォーエバー21の報道になるが、確かにいう通りであろう。『消費者の購買習慣の変化』や『ネット通販競争』に関しては売上に大きな影響をもたらしているには言うまでもない。アパレル各社は維持を張ることなく、否応でも世の中の購買習慣に適応するという道を歩まねばならない。
 
 

この世に生き残る生き物は、最も力の強いものか。
そうではない。
最も頭のいいものか。
そうでもない。
それは、変化に対応できる生き物だ。
 


 
ダーウィンが進化論にて説いた有名な一節である。
 
圧倒的な売上を誇る企業でもブランドでもなければ、知的な経営者が経営する企業、ブランドでもなく、ただただ『適応』こそがファッションビジネスを展開する上での成功要因であることに間違いない。
『遅れ』はもはや死を意味する。
 
 
ファッション=流行
 
流行とは非常にサイクルの早い概念である。
 
しかし、『購買習慣の変化』については気になる点がある。
必ずしも「ECサイトへシフトしている」という購買手段を意味している訳ではない。
購買のタイミングがブランドサイドと消費者の間に一定の差異が感じられるのである。
 

 
基本的にアパレルブランドは各シーズン(春・夏・秋・冬)でほとんど等間隔の期間で販売期間があると考えて企画、発注に落とし込んでいく。打ち出し、販売の期間は記載したような形であるがどうだろう。
 
しかし、筆者としては3月の頭に春物を買うことはほとんどない。
3月も全然寒いので厚手の装いのことだって結構ある。そして気がつくと夏用のリネンJKやTシャツなどを買っているケースが多いのである。
これは意外と大きの人に当てはまることではないだろうか。
 
実際の消費者の購買のタイミングは下記のように夏と冬の2つのシーズンで1年のうちのほとんどをカバーしてしまっているような状態になっているのが実態であることは考えやすい。
 

 
 
『アパレルサバイバル』の著者、齋藤孝浩は

 
気温が次のシーズンへと移り変わってしまった途端に、どんな人気商品であったとしても、前のシーズンの服は着用されなくなってしまう。したがって全く売れなくなってしまうところ

 
と、気温による在庫のロスへの注意喚起を促しているのである。
 
結局のところ、アパレルビジネスの肝は在庫である。
在庫を残さず、欲を言うとプロパーでの販売を行なっていくことでしか勝機はない。
 
今回のフォーエバー21の件も含め、アパレルビジネスにおいて、再度商品企画の全体設計や、実際の市場における購買動向には目を向けるべきであるようだ。各社共に『遅れ』ることなく商品構成を見直してみるのも良いのかもしれない。
理論では簡単であっても、なかなか思い通りにいかないアパレルビジネスには難しさがある。
しかし、各シーズン、人々の人生を彩るお手伝いができるビジネスであることには変わりはない。

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高木智史
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