
店舗マネジメント 2019-09-14
『欲しい』を作るには②
こんにちは!
本日は先週の続きになります。
『ニーズ喚起』を抑えた上で、どういった施策や販促方法が考えられるのか。考察していきたいと思います。
まずは、前回記載したニーズ喚起の4大要素を振り返ってみます。
今回、施策や販促を検討していきますが、こちらの要素は日頃の販売・営業活動にものすごく使える型です。
では、アパレル施策で上記の要素を当てはめていってみましょう。
■2BUY more○○%OFF
よく見かける販売施策です。売上低迷している月の特効薬としてや、クリアランスも終了間際で在庫を捌けるための施策として使われるケースが多いかと思います。
この施策は複数商材をお客さんに購入していただき、セット率・客単価を底上げすることにあり、本質は、1点のみの購入に留まるお客さんに「お得やし、ついでに買っておこう」を引き出すものです。
この場合のニーズ喚起は②の効用になります。お客さんにとってプラスに働く側面の強調に成功しています。また、同施策期間の設定が短ければ短いほど④の緊急性を誘発することができ、より大きな効果が期待できると考えらます。
■カード入会キャンペーン
ショッピングセンターや百貨店など、購入するブランドが入っている館のハウスカードや、店舗独自でもたまに行われています。『○○カードに入会すれば購入商品2000円引き』などの謳い文句で会員になることを促します。
こちらはあくまで、企業(ブランド)が顧客情報を獲得し中長期視点でお客さんとの接点を拡大していく作戦です。筆者も現在利用しているクレジットカードは、この謳い文句に魅せられ入会したものでした(笑)
この場合は、やはり②効用の訴求が大きいですが、③実現可能性も少なからず含まれています。「会員になるだけで商品がお得になる」という心理です。
例えば、キャンペーン適用なしの場合は購入に渋っているがキャンペーンが適用されることで「お得になる」という効用がちらつき、しかもそのプロセスが簡易であればあるほど購入に対する心理的ハードルが下がります。
■福袋
年始のセールにて、各社挙って展開するのが福袋です(最近は福袋を行わないケースも多いが・・・)。企業サイドとしては「ほぼ利益なし」のお客さんからすると超お得プラン。こちらは2BUY施策同様、お得という側面で②の効用が訴求され、個数限定という④緊急性もしっかり訴求されております。※福袋の場合は、何が入っているかわからないというゲーム性も含まれていますね。
■ZOZOスーツ
先日退任されたZOZOの前澤社長が力を入れていたZOZOスーツ。説明は不要だと思いますが、こちらは『服が人に合わせる』というコンセプトの元作られましたが、ECにおける購買の障壁である『試着』をクリアするべくして考案されたことが原点です。「買って入らなかったらどうしよう・・・」「丈が思ったよりも長かったらどうしよう・・・」といったEC購入における不安解消を行う、つまり、①の必然性を狙った施策でありました。
しかし、ZOZOスーツの無料配布に終始してしまうケースが多かったとされていますが、顧客心理としては③実現可能性に問題があったようです。実際に計測をされた方はお分かりだと思いますが、着用をして細かな角度でスマホで写真をとって計測をしないといけません。これが『面倒』だとされて計測を行わなかったという人も多いと考えられます。
例を記載していきましたが、ファッションビジネスにおける施策では特に②の効用を訴求するケースが比較的多いように考えられます。
また、ニーズ喚起の要素を2つ以上用いて訴求することで、より強固な施策が完成するようです。一方で、ZOZOスーツのようにニーズ喚起の要素の1つを極端に削いでしまうと、施策がうまく噛み合わないケースも出てきそうです。
次回はこれに基づいて、考えを論じていこうと思います。
アパレルにおいてお客さんの『欲しい』を作れる施策はあるのか?
本日もお読みいただきありがとうございました。
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