ファッション全般  2019-06-25

「服を書く人」のお買い物のしかた。

 
「服を書く人」の職業病といえば、「ここをこう記事にしたらおもしろい!」というショップの長所や特徴を、思い描きながらお買い物することかもしれません。
 
ひとことにファッション業界といってもさまざまな職種がありますが、プライベートのお買い物であろうと服を見ている間に自然と自分の分野で情報収拾をしていたり、ミステリーショッパーまがいなチェックをしてしまっていたりと、意識とは裏腹にファッションと一心同体になっている方が多く見受けられます。だってみなさん、やっぱり服が好きですから。
 
ファッションが趣味から仕事へ変わる時、「おしゃれをする」「欲しいものを買う」こと以上の楽しみや奥深さを知ります。今回はもの書きとして気をつけている、ショッピングの極意をご紹介します。
 
 

VPは立ち止まってしっかりチェックすべし!

 
VP(ビジュアルプレゼンテーション)とは、ショップの特徴、その時期に提案しているテーマやスタイルを表現するためにメインとなるディスプレイのこと。路面店でしたらウィンドウディスプレー、ショッピングモールだとエスカレーター前のディスプレーなどがそれにあたります。
 
もっとも目に入りやすいアイキャッチのような場所なのにさらりと見逃しがちですが、ここがどんなショップなのかを理解するためにはVPを見るほうが断然早いです。記事でいうところの、ここがタイトル。
 
どこに注視してチェックすれば良いのかをあらかじめ予想して入店できると、ポイントがスピーディーに掴みやすいです。
 
 

什器の材質、オブジェ、照明、BGMなど、空間デザインを見落とさぬべし!

 
ライターはどんなショップであるかを言語化しなくてはなりません。ただ概要を端的に示すだけでなく、「行きたい」と連想させる情報の飾りつけが必要です。
 
たとえば世界観を服だけで伝えるのはむずかしいですよね。コンクリート打ちっ放しの薄暗い空間に、鉄製の什器、石のオブジェの隣に一輪の花が添えてあって、静かにBGMが流れている…… こんな情報でもあればショップの雰囲気は思い浮かびますし、服の空気感はかなり伝わります。
 
ファッションのショップだからといって、アイテムだけ確認するのは不十分だと個人的には思っています。伝える必要があるかどうかは別の話として、ショップの空気感を要素として知っておくことは大切です。その空気感にあわせて、言葉選びもできます。服を引き立てるものにもデザイナーやショップのこだわりがかならずありますので、こだわりのカケラをひとつでも救い損ねないように注意します。
 
 

イヤホンを外して、ラフにスタッフと会話を広げるべし!

 
近年極めてイヤホンを耳に挿したまま入店するお客様が増えています。それは声かけ不要バッグが出てくるほど、“声をかけるなアピール”のひとつだともとらえられます。もちろんアパレルの立場としてはとてもかなしいのですが、それでこそ人それぞれに個性がありますから否定するつもりはありません。
 
とりわけファッションワーカーの方ならそんな方は少ないと思いますが(信じていますが)、店頭スタッフからしか得られないアイテムやブランドの魅力、思い、秘密、コツ、知識がたくさんあります。
 
以前、こんなことがありました。
 
MAISON SPECIAL に行った際……
ブランドネームが刻まれた織りネームの下に、それぞれ違う色でつけられたリボンテープが……。ウィメンズだけ見渡しても7種類ほど。なんだろうと目を凝らしていると店員さんが、それぞれどのディティールにこだわって作った服なのかを色で分けていると教えてくれました。上質な素材で作るライン=赤、機能性に富んだライン=水色など。それを意識しながら身につけることでアイテムの付加価値を体感することができるのだと、ふつうのおしゃれ着プラスの“買う意味”をもたらしてくれたのです。これはなぜかもったいないことに後から公式サイトを見ても掲載がなく、店頭できちんと耳を傾けたからこそ得られた情報でした。
 
こんなふうに、もの書きとして気になった情報を引き出すことは当たり前ですが、お客様としても聞いてよかったと思えるお話しをくれるのが接客です。もちろん誰と話すかで変わりますが、サイトには載っていないものが多くあります。「面倒くさい」「人見知り」という理由で着けているいるイヤホンは、耳だけじゃなく自らの首をも締めているのかもしれませんね。
 
 
普段のお買い物からたくさんのことを考えていると100%のリラックスはできませんが、これもクセづけ。わざわざ店頭リサーチと題して行ったり大それた取材に出向かなくとも、こんな意識を3つするだけで少なくとも私は時短に情報収拾できています。
 

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松本寧音
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