その他  2019-10-21

企画が会議で通らないのは「根回し」が足りないから

開催前の予想に反して、ラグビーワールドカップは大いに盛り上がった。

残念ながら日本代表はベスト8で敗退してしまった。

 

ワールドカップ開催前には、ワールドカップの放送権がないTBSが池井戸潤さん原作のドラマ「ノーサイド・ゲーム」を放映した。このドラマはラグビーの企業チームを題材としている。

 

池井戸潤さんの原作で大ヒットしたドラマに「半沢直樹」がある。

半沢直樹の人気の理由の一つには、主人公の半沢直樹の見事な逆転劇が挙げられるだろう。ピンチに追い込まれた半沢直樹は、会議やプレゼンの席上で、相手がぐうの音も出ないような資料を提出してやり込める。そのカタルシスがマス層に受けたといえる。

今回のノーサイド・ゲームでも最終回近くで、主人公が黒幕を経営者会議でやり込めるシーンが、半沢直樹よりも短いが挿入されていた。

しかし、これらはあくまでも小説でありテレビドラマであり、フィクションの産物である。

 

 

先日、某苦戦中の大手チェーン店の内部の人と話す機会があった。

苦戦中なので、創業者がことさらに出張ってくるケースが増えて、現場スタッフは辟易しているのだという。とくに創業者が、商品内容の最終決定権を手放さないことがやりにくくて仕方がないらしい。

それはそうだろう。

自分達でせっかく商品を決めても創業者の鶴の一声でひっくり返されるなら、たまったものではない。

さらにその後日、そのチェーン店でその昔、企画としてかかわっていた人と話す機会があり、雑談の1つの話題としてそのことを伝えた。

そうすると、その企画マンは

 

「現場スタッフの気持ちはわからないではないですが、僕らが企画を担当していたときは、創業者に反対されないように資料を全部そろえて、詳細に説明して根回しをしていましたよ。それから、各エリアの有力店の店長にも事前にプレゼンして非公式ながら賛同を取り付けていました。今のスタッフはそれをやっていないんじゃないですか?」

 

と疑問を呈した。

彼らの企画は確かに優れていたが、同時に根回し上手でもあったということである。

 

有名コンサルタントの河合拓さんが最近どうやら動画に力を入れておられる。

見せ方としては正直なところ、ちょっと微妙な回もあるが、この動画は9分くらいしかないから、見やすく聞きやすい。

内容というのは「欧米人も必ず根回しをする」ということである。いや、逆に「欧米人こそ根回しをする」と言った方が正確だろう。

動画から抜粋すると要点は以下のようになる。

 

欧米の会社は根回せず会議の場で直接議論して決めると言われますが、それは嘘です。

根回しは極めて日本的と言われますがそんなことはないです。世界共通です。

企画を通したいなら、会議の前に反対しそうな人たちに個別でそれぞれ意見を聞く。

会議で決まったらそれをホワイトボードに書いて写真を撮ってメールで回覧してダメ押しをする。

 

結局のところ、半沢直樹よろしく、会議の席上で議論を持って反対派をやり込めるということは日本でも不可能だし、欧米でも不可能で、さらにいえば世界中どこでも不可能だということである。

 

このスタイルピックスは、ファッション業界で働く人に役立つという目標を掲げている。

どうだろうか?もし、自ら立てた企画や方針が、会議でことごとく否決されるような方はおられないだろうか?それは企画や方針の中身が悪いのではなく、もしかすると「根回し」が足りないのではないだろうか?

 

期せずして、某チェーン店の企画担当者と、河合拓さんが異口同音に「根回しの重要性」を説いている。

次回の会議には万全の根回しをしてから臨んでみてはどうだろうか?

 

 

 

ノーサイド・ゲームの原作小説をどうぞ~

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南充浩
WRITER

1970年生まれ。大学卒業後、量販店系衣料品販売チェーン店に入社、97年に繊維業界新聞記者となる。2003年退職後、Tシャツアパレルメーカーの広報、雑誌編集、大型展示会主催会社の営業、ファッション専門学校の広報を経て独立。現在、フリーランスの繊維業界ライター、広報アドバイザーなどを務める。 2010年秋から開始した「繊維業界ブログ」は現在、月間20万PVを集めるまでに読者数が増えた。2010年12月から産地生地販売会「テキスタイル・マルシェ」主催事務局。 日経ビジネスオンライン、東洋経済別冊、週刊エコノミスト、WWD、Senken-h(繊研新聞アッシュ)、モノ批評雑誌月刊monoqlo、などに寄稿 【オフィシヤルブロ(http://minamimitsuhiro.info/ )】

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1970年生まれ。大学卒業後、量販店系衣料品販売チェーン店に入社、97年に繊維業界新聞記者となる。2003年退職後、Tシャツアパレルメーカーの広報、雑誌編集、大型展示会主催会社の営業、ファッション専門学校の広報を経て独立。現在、フリーランスの繊維業界ライター、広報アドバイザーなどを務める。 2010年秋から開始した「繊維業界ブログ」は現在、月間20万PVを集めるまでに読者数が増えた。2010年12月から産地生地販売会「テキスタイル・マルシェ」主催事務局。 日経ビジネスオンライン、東洋経済別冊、週刊エコノミスト、WWD、Senken-h(繊研新聞アッシュ)、モノ批評雑誌月刊monoqlo、などに寄稿 【オフィシヤルブロ(http://minamimitsuhiro.info/ )】

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