ブランド・ビジネス  2019-12-09

ラグジュアリーブランドが生まれにくい社会とは

日本国内には様々な洋服ブランドがあります。低価格ゾーンから高価格帯までありますが、欧州に見られるようなラグジュアリーと呼ばれる超高級ブランドはありません。

コム・デ・ギャルソンやヨウジヤマモト、イッセイミヤケ、ケンゾーなどの世界的に知られたデザイナーズブランドはありますが、ラグジュアリーブランドは存在しません。

それにはいろいろな理由が考えられますが、まず、洋服の歴史が浅いことがあります。現存しているブランドでもっとも古いのはレナウンでしょうが、1923年から「レナウン」の商標が使われ始めたとされていますが、それでも100年には届きません。

もともと和服で暮らしていた我が国ですから、これは仕方がありません。

 

もう一つは、現在の我が国は欧州に見られるような階層制社会ではないことが挙げられます。もちろん、貧富の格差は我が国にもありますが、それは社会階層ではありません。

金持ちであろうが、貧民であろうが同じ店で買い物をします。

欧州のような「上流階級」は存在しません。

 

ちなみに、当方の知り合いに旧華族の跡継ぎの方がおられますが、資産は当方よりはお持ちでしょうが、生活スタイルはまったく当方と変わりません。

普通に会社に勤めて、チェーン店の居酒屋でお酒を飲んでおられます。

御実家のことを話さなければ、旧華族の方だとは誰も気が付かれないでしょう。

 

欧州には確固とした社会階層があります。

例えば、イギリスだと話す言葉も違うのです。もちろん同じ英語ですが、発音が異なります。その昔、オードリー・ヘップバーン主演の「マイフェアレディ―」という映画がありました。

貧しい下層階級で育った娘が上流階級の家に引き取られて教育されるという話ですが、字幕を見ていると、オードリー演じるこの娘は「ヘンリー」という男性の名前を「エンリー」と発音するのです。

下層階級の人は「H」を発音できない、または発音しないという喋り方になるということです。

ヘンリーはアルファベットではHenryと書きますので、Hを発音しないとエンリーとなります。

 

我が国でも地方によっては方言で特定の文字の発音が標準語と大きく異なるケースがあります。

古くからの江戸っ子は「ひ」が「し」になります。

当方の知り合いに「やすひろ」という名前の男性がおられるのですが、お祖父さんが生粋の江戸っ子だそうで、いつも「やすしろ」と発音されていて、そのうちに、文字で書くときにまで「やすしろ」と書かれるようになったといいます。

また、和歌山の人は「ぞ」が発音できずに「ど」になります。

和歌山の某産地の人と話すと、いつも「二浴染め」を「二浴どめ」になります。最初に聞いた時には、色止めをしたのかと思いました。

 

しかし、これらは方言であり、社会階層によって発音が異なるというわけではありません。

 

今後も我が国では、貧富の格差が拡大することはあっても階級制社会になることはないでしょう。

ですから、ラグジュアリーブランドは我が国では今後も生まれない・生み出せないのではないかと思います。不得意な物を生み出す必要はないのではないかと思いますが、みなさんはどうお考えになるでしょうか。

SHARE

  • FacebookFacebook
  • TwitterTwitter
  • Google+Google+
  • LINELINE
南充浩
WRITER

1970年生まれ。大学卒業後、量販店系衣料品販売チェーン店に入社、97年に繊維業界新聞記者となる。2003年退職後、Tシャツアパレルメーカーの広報、雑誌編集、大型展示会主催会社の営業、ファッション専門学校の広報を経て独立。現在、フリーランスの繊維業界ライター、広報アドバイザーなどを務める。 2010年秋から開始した「繊維業界ブログ」は現在、月間20万PVを集めるまでに読者数が増えた。2010年12月から産地生地販売会「テキスタイル・マルシェ」主催事務局。 日経ビジネスオンライン、東洋経済別冊、週刊エコノミスト、WWD、Senken-h(繊研新聞アッシュ)、モノ批評雑誌月刊monoqlo、などに寄稿 【オフィシヤルブロ(http://minamimitsuhiro.info/ )】

FOLLOW
FOLLOW

1970年生まれ。大学卒業後、量販店系衣料品販売チェーン店に入社、97年に繊維業界新聞記者となる。2003年退職後、Tシャツアパレルメーカーの広報、雑誌編集、大型展示会主催会社の営業、ファッション専門学校の広報を経て独立。現在、フリーランスの繊維業界ライター、広報アドバイザーなどを務める。 2010年秋から開始した「繊維業界ブログ」は現在、月間20万PVを集めるまでに読者数が増えた。2010年12月から産地生地販売会「テキスタイル・マルシェ」主催事務局。 日経ビジネスオンライン、東洋経済別冊、週刊エコノミスト、WWD、Senken-h(繊研新聞アッシュ)、モノ批評雑誌月刊monoqlo、などに寄稿 【オフィシヤルブロ(http://minamimitsuhiro.info/ )】

COMMUNICATION

Leave a Comment

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です

RECENT ENTRIES

  • ワークマンの商品販売サイクルが長い理由

    2020-01-08  ファッション全般

    明けましておめでとうございます。今年もよろしくお願いします。   何かと不景気なアパレル関連のニュースが多い中、数少ない明るいニュースの一つがワークマンの躍進です。 ですから、様々なメディア […]

  • 梳毛と紡毛について

    2019-12-23  ファッション全般

    前回、ウール(羊毛)の特性を踏まえて、なぜウール製品を洗濯すると縮んでしまうのかについて手短にまとめてみましたが、今回は梳毛と紡毛についてです。 羊毛を除いて、動物の毛を衣料品業界では「獣毛(じゅうも […]

  • ウールのセーターを洗濯すると縮みやすい理由

    2019-12-16  ファッション全般

    先日、ツイッターでウールのセーターが縮んだときのことが話題になったことがある。 世の中にはいろんな人がいると痛感したのだが、その際「セーターを洗って縮めることなんてよくあることだから煽るな」という謎の […]

RECENT ENTRIES

  • 商品分析について考えてみよう③

    2020-01-23  ブランド・ビジネス

    では、今回からいよいよ本題の、商品の売れ筋等を見極める際に使用されるような帳票をベースに、 商品分析についての話をしていきます。   ・前回の振り返り その前に前回の振り返りを致しますと。。 […]

  • タキシードを着るのは非日常か?メンズブライダルが日本市場に根付かない理由

    2020-01-21  ブランド・ビジネス

    既婚者であるなら、タキシードに袖を通した経験は多くの方があるでしょう。   しかし”タキシードを今も継続的に着用している”という方は日本にはほとんどいないのではないでしょうか。そんなタキシー […]

  • 商品分析について考えてみよう②

    2020-01-16  ブランド・ビジネス

    ・前回の記事の振り返り 前回から、週や月等の会議やMTで行われていると思われる、商品分析について取り上げて います。 商品分析について考えてみよう① そもそもの、会議やMTの本来の目的は、 ”(結果が […]

SPECIAL 
JOURNALS

BY UP&COMING EDITOR

MORE

CHIEF 
EDITOR’S

BY CHIEF EDITOR

MORE

ランキング