ファッション全般  2019-12-16

ウールのセーターを洗濯すると縮みやすい理由

先日、ツイッターでウールのセーターが縮んだときのことが話題になったことがある。

世の中にはいろんな人がいると痛感したのだが、その際「セーターを洗って縮めることなんてよくあることだから煽るな」という謎のリプがあって、「え?セーターを洗うことなんてよくあるのか?」と逆に驚かされた。

綿やアクリル、ポリエステルのセーターは洗う。

自然乾燥させれば(乾燥機を使うと別)縮まないからである。しかし、ウールのセーターを洗濯することはなかなか難しいと感じている人が多い。洋服に少しでも詳しい人は特にそうだ。

どうしてウールのセーターを洗濯することに躊躇するのかというと、下手をすると縮んでしまうからである。

だから、ドライクリーニングに出すという人も少なくはない。

 

今回は誠に初歩的な話だが、ウールを洗うとどうして縮んでしまうのかについてである。

知っている人は読む必要はない。時間の無駄である。

 

ウールは羊の毛である。我々人間の頭髪を拡大すると表面はキューティクルに覆われている。実は羊の毛も同様にキューティクルに覆われていて、これを「スケイル(スケール)」と呼ぶ。

「スケールが大きい」のスケールではなく、鱗という意味である。

聖闘士星矢の海皇ポセイドン編に海闘士(マリーナ)が登場するが、彼らの着けている鎧は「鱗衣(スケイル)」であり、その「鱗」と同じである。

で、人間の髪の毛は洗髪すると、トリートメントをしなければ傷む。これは濡れるとキューティクルが開いて、中の栄養分が流出してしまうからである。

それを補うためにトリートメントをして、リンスでコーティングする。

 

羊の毛も濡れると人間同様にスケイルが開く。

セーター類だと毛が密集している状態と同様であるので、この開いたスケイル同士が隣近所で絡み合う。

そして乾燥させるとスケイルは閉じるからその際に縮んでしまうということになる。

 

10年くらい前から発売されるようになったウォッシャブルウールセーターというのは、使用している羊毛に何らかの加工を施し、スケイルを開かない、または開きにくくしたウールセーターである。

 

一方、あまり知られていないがカシミヤセーターは水洗いが可能である。

カシミヤは羊ではなく、カシミヤ山羊の毛だが、羊の毛と異なりスケイルが少ない。このため、濡れても隣近所と絡まり合うことが少ない。

だから水で手洗いが可能なのである。

逆にカシミヤは水洗いした方が風合いが良くなると言われている。

水洗いを繰り返すと、洗髪と同様に毛が傷むことがある。その際は漬けている水にリンスやトリートメントを入れてしばらく置くと風合いが戻る。

 

まあ、そんなわけでTシャツやジーンズと同じように考えて洗濯機に放り込むということは、ウールセーター類に関してはやめた方が良いということである。

 

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南充浩
WRITER

1970年生まれ。大学卒業後、量販店系衣料品販売チェーン店に入社、97年に繊維業界新聞記者となる。2003年退職後、Tシャツアパレルメーカーの広報、雑誌編集、大型展示会主催会社の営業、ファッション専門学校の広報を経て独立。現在、フリーランスの繊維業界ライター、広報アドバイザーなどを務める。 2010年秋から開始した「繊維業界ブログ」は現在、月間20万PVを集めるまでに読者数が増えた。2010年12月から産地生地販売会「テキスタイル・マルシェ」主催事務局。 日経ビジネスオンライン、東洋経済別冊、週刊エコノミスト、WWD、Senken-h(繊研新聞アッシュ)、モノ批評雑誌月刊monoqlo、などに寄稿 【オフィシヤルブロ(http://minamimitsuhiro.info/ )】

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1970年生まれ。大学卒業後、量販店系衣料品販売チェーン店に入社、97年に繊維業界新聞記者となる。2003年退職後、Tシャツアパレルメーカーの広報、雑誌編集、大型展示会主催会社の営業、ファッション専門学校の広報を経て独立。現在、フリーランスの繊維業界ライター、広報アドバイザーなどを務める。 2010年秋から開始した「繊維業界ブログ」は現在、月間20万PVを集めるまでに読者数が増えた。2010年12月から産地生地販売会「テキスタイル・マルシェ」主催事務局。 日経ビジネスオンライン、東洋経済別冊、週刊エコノミスト、WWD、Senken-h(繊研新聞アッシュ)、モノ批評雑誌月刊monoqlo、などに寄稿 【オフィシヤルブロ(http://minamimitsuhiro.info/ )】

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