ファッション全般  2020-01-08

ワークマンの商品販売サイクルが長い理由

明けましておめでとうございます。今年もよろしくお願いします。

 

何かと不景気なアパレル関連のニュースが多い中、数少ない明るいニュースの一つがワークマンの躍進です。

ですから、様々なメディアで毎日のように報じられることも納得できます。しかし、最近、ちょっと持ち上げすぎではないかと思う報道が増えました。

この世に完全無欠はありません。どんなものにも必ず欠点はあります。どんな強固なビジネスモデルでも破綻することがあります。

ワークマンも完全無欠の存在では到底ありません。一つは、フランチャイズ店の契約内容がなかなか厳しいものであることです。これはまた別の機会に論じたいと思います。

 

個人的にもう一つ懸念しているのは、商品がモデルチェンジするまでの期間の長さです。

ワークマンの商品は、通常、2~3年、長いと5年くらいかけて売り切って、そこからモデルチェンジすると言われていますし、現に、ワークマンの本部スタッフも当方にそのように説明しています。

 

好調の原動力となっている一般消費者向けの店舗「ワークマンプラス」ですが、ここも実際は本体のワークマンと同じ商品を販売しているということは広く知られています。ということは、商品がモデルチェンジするまでの長さは本体と同じだということです。おわかりでしょうか?

 

 

2019年9月30日現在で、ワークマンの全店舗は848店舗あると発表されていて、そのうち69店舗がワークマンプラスです。

今のところ目新しさがあり、店舗数も少ないため、オープン景気のようなところがあります。ですから、モデルチェンジまでの期間が2~3年あっても問題なく売れています。しかし、今後、店舗数がさらに増え、ある程度長年のリピーターが増えてきたとき、今のような長期間の販売がワークマンプラスで可能でしょうか?

もちろん、本体のワークマンならあと何十年経っても今と同じサイクルでモデルチェンジできるでしょうが、一般客向けのワークマンプラスでそれが可能でしょうか?

 

世の中には定番品を何年かおきに買い替えたいという需要があります。特に男性にはそういう需要は少なくないでしょうが、女性客にはどうでしょうか?女性客でも定番品を求める人はゼロではないでしょうが、決して多くはないでしょう。

また男性客でも毎年同じものを買い足したり買い替えたりするようなマニアがどれほど存在するでしょうか。

ですから、一般客をターゲットとしたワークマンプラスが今後も現在のような長期サイクルで商品を売り続けるのは今後難しくなるのではないかと思います。

 

ちょっと前置きが長くなりましたが、ここからは今回の本題です。

ワークマンを持ち上げすぎな報道が多い中で、ワークマンの販売期間の長さを褒めたたえる報道もあります。しかし、その長期間販売は、ワークマンが狙って実行したことでしょうか?

これはそうではありません。

ワークマンが本来属している制服業界がそういう商売サイクルだからなのです。

オフィスの制服、作業着、広義では学生服も含め、一般のカジュアルブランドやファッションブランドのように、毎シーズン新デザインの商品は投入されていません。

毎シーズンデザインが変わっているようなオフィス制服や作業着、学生服を見たことがありますか?

49年間生きてきた当方はありません。

少なくとも2~3年、長ければ5~10年くらいはデザインが変更されません。

ですから、ワークマンに限らず、制服業界ではどのメーカーもどの小売店も複数年に渡って同じ商品を売り続けるのです。

ワークマンの販売サイクルの長さは業界標準に沿っているだけということになります。

 

そのサイクルで、一般客にも好調な滑り出しを見せているところがワークマンの非凡な点ではありますが、一般客相手を今後ますます増やせば、これが通じなくなる可能性が極めて高いのではないかと見ています。

そういう背景を抜きにして、販売サイクルの長さを褒めたたえたところで、本質はつかめていません。

 

ワークマンが今後どのような舵取りを行うのか、注視したいと思います。

 

 

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南充浩
WRITER

1970年生まれ。大学卒業後、量販店系衣料品販売チェーン店に入社、97年に繊維業界新聞記者となる。2003年退職後、Tシャツアパレルメーカーの広報、雑誌編集、大型展示会主催会社の営業、ファッション専門学校の広報を経て独立。現在、フリーランスの繊維業界ライター、広報アドバイザーなどを務める。 2010年秋から開始した「繊維業界ブログ」は現在、月間20万PVを集めるまでに読者数が増えた。2010年12月から産地生地販売会「テキスタイル・マルシェ」主催事務局。 日経ビジネスオンライン、東洋経済別冊、週刊エコノミスト、WWD、Senken-h(繊研新聞アッシュ)、モノ批評雑誌月刊monoqlo、などに寄稿 【オフィシヤルブロ(http://minamimitsuhiro.info/ )】

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1970年生まれ。大学卒業後、量販店系衣料品販売チェーン店に入社、97年に繊維業界新聞記者となる。2003年退職後、Tシャツアパレルメーカーの広報、雑誌編集、大型展示会主催会社の営業、ファッション専門学校の広報を経て独立。現在、フリーランスの繊維業界ライター、広報アドバイザーなどを務める。 2010年秋から開始した「繊維業界ブログ」は現在、月間20万PVを集めるまでに読者数が増えた。2010年12月から産地生地販売会「テキスタイル・マルシェ」主催事務局。 日経ビジネスオンライン、東洋経済別冊、週刊エコノミスト、WWD、Senken-h(繊研新聞アッシュ)、モノ批評雑誌月刊monoqlo、などに寄稿 【オフィシヤルブロ(http://minamimitsuhiro.info/ )】

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