ファッション全般  2020-03-16

デニム生地のオンス数は元々は生地の分厚さを表す単位ではない

 

 

デニム生地やTシャツの生地を表す単位として「オンス」があります。

6オンスのTシャツとか、14オンスのデニム、なんていう風に使います。

生地に詳しい人はとっくにご存知ですが、そうではない人、業界では主に「ファッション系」と呼ばれる人たちは、この「オンス」を生地の厚さと思っている節があります。

結果的に「厚さ」を表すことになるのですが、それはあくまでも結果です。

オンスとは「厚さ」を表す単位ではなく、「重さ」を表す単位なのです。

 

1オンスとは、1平方ヤードあたりの重さのことです。

グラムに直すと約28・35グラムになります。

オンスの大事なところは「1平方ヤード」という面積が基準になっているところです。

では1平方ヤードとはどれくらいの広さかというと、0・84平方メートルで、1平方メートルよりもわずかに小さいサイズとなっています。

 

10オンスなら283・5グラム、14オンスなら14×28.35グラム=約396.9グラム ということになります。

ですから、オンス数が少なければ少ないほど軽い生地、多ければ多いほど重い生地ということになります。

 

ここまでは大丈夫でしょうか?

重い生地ということは分厚い、軽い生地ということは薄い、ということに結果的になりやすいということです。

 

ですから重さが転じて分厚さを指すようになったということです。

 

ですが、あくまでも「重さの単位」でしかないので、オンス数が大きいから必ずしも分厚いとは限らないということもあるのです。

某人気ファッションブロガーが、「13オンスくらいのデニム生地に見えるけど実際は11オンスしかない」と書いていますが、これは恐らく「定番デニム生地(13~14・5オンス)くらいの分厚さに見えるが、実際は11オンスとジーンズとしては薄めの生地」ということを説明したかったのだと思いますが、そのままの表現だと生地屋や生地工場には真意はまったく伝わらないと思います。

 

どういうことかというと、重さなので、例えば太い糸で密度を甘く織ると、分厚い割に軽い生地が出来上がります。

太い糸はそれだけ綿が使われているので重量は重くなりますが、織るときに密度を低くすれば、生地を構成する糸の本数が少なくなるのでそれだけ軽くなります。

逆に細い糸でもガチガチの高密度に織れば、生地は薄いのに重い生地が出来上がります。

 

ですから13オンスみたいに見えるのに、実際は11オンスという生地は、太い糸を使って比較的低い密度で織られていると考えられます。

ポリエステルやナイロンなどの合成繊維は綿糸よりも軽いので、これらが混じっているとまた話は変わってきますが、今回はデニムだったので綿糸で構成されていると考えられます。そして綿100%とか綿90何%という組成であるなら、太い糸を使って定番デニムよりも糸の密度を低くしたのではないでしょうか。

 

何が言いたいのかというと、オンスを「分厚さ」という単位だと考えているとこういう意味の分からない言い回しをせざるを得なくなるのです。

オンスは重さであるということがキチンと理解できていれば、生地の分厚さや薄さに惑わされることはないのです。

 

今回は重箱の隅をつつくようなトピックスでしたが、物事というのは、原理原則を知っておく必要があるということです。

特に「ファッション系」の人は、生地や製造の基本的なことを知っておく必要があると個人的には考えます。そうでなかったからこれまで、生地や糸に関して様々な「嘘の神話」がド素人同然の人たちによって作られてきたのです。

嘘の神話が出来上がることで、産業としての衣料品の実態が曲げて認識されてしまったことも少なくありません。

 

そういうことを減らせるように、今後は正しい知識が広く普及されることを切に願います。

 

 

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南充浩
WRITER

1970年生まれ。大学卒業後、量販店系衣料品販売チェーン店に入社、97年に繊維業界新聞記者となる。2003年退職後、Tシャツアパレルメーカーの広報、雑誌編集、大型展示会主催会社の営業、ファッション専門学校の広報を経て独立。現在、フリーランスの繊維業界ライター、広報アドバイザーなどを務める。 2010年秋から開始した「繊維業界ブログ」は現在、月間20万PVを集めるまでに読者数が増えた。2010年12月から産地生地販売会「テキスタイル・マルシェ」主催事務局。 日経ビジネスオンライン、東洋経済別冊、週刊エコノミスト、WWD、Senken-h(繊研新聞アッシュ)、モノ批評雑誌月刊monoqlo、などに寄稿 【オフィシヤルブロ(http://minamimitsuhiro.info/ )】

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1970年生まれ。大学卒業後、量販店系衣料品販売チェーン店に入社、97年に繊維業界新聞記者となる。2003年退職後、Tシャツアパレルメーカーの広報、雑誌編集、大型展示会主催会社の営業、ファッション専門学校の広報を経て独立。現在、フリーランスの繊維業界ライター、広報アドバイザーなどを務める。 2010年秋から開始した「繊維業界ブログ」は現在、月間20万PVを集めるまでに読者数が増えた。2010年12月から産地生地販売会「テキスタイル・マルシェ」主催事務局。 日経ビジネスオンライン、東洋経済別冊、週刊エコノミスト、WWD、Senken-h(繊研新聞アッシュ)、モノ批評雑誌月刊monoqlo、などに寄稿 【オフィシヤルブロ(http://minamimitsuhiro.info/ )】

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