ファッション全般  2020-03-30

裏毛と裏起毛の違いがわかりますか?

のっけから何ですが、業界内での仕事で使う用語は正確に使われるべきだし、統一されるべきだと考えています。

例えば、デニムという生地に似た生地ではダンガリーとシャンブレーがあります。

デニムは、紺色(場合によっては黒)を経糸に、染められていない緯糸に使って織られた綾織りです。

ダンガリーはこれの経糸と緯糸を逆にした綾織りで、デニムとはほとんど見分けがつきません。当方ごときの目では見分けられません。

シャンブレー、特にブルーのシャンブレーは色落ちさせたデニム生地と似ていますが、綾織りではなく平織りです。

 

綾織りというのは、複数本の経糸に対して緯糸1本が交差するという構造ですが、平織りは経糸1本に対して緯糸1本が交差する構造で、生地の織り目は綾織りのような斜線は走りません。

 

しかし、これを正確に覚えていない人が業界にも多いのが実情です。大したことではないように感じられるかもしれませんが、一般消費者なら問題ありませんが、業界内の人が正確に覚えていないのは、業務上支障をきたします。逆によくこれまで大きなトラブルが表面化しなかったものだと感心します。アパレル業界のベンダーは極めて優秀です。

 

どういうことかというと、企画担当者がOEM屋さんに「デニムと似た生地でシャツを作って」と曖昧な指示を出した(実際にこういう指示はよくある)とします。これがダンガリーなのか青いシャンブレーなのか、OEM屋さんには判断ができないのです。

さらに、ダンガリーとシャンブレーを逆に覚えていたりすると、思っていた製品とは異なる物が出来上がってしまいます。

実際にOEM屋さんからはこの手のトラブルをよく聞かされました。

ですから用語は正確に覚える必要がありますし、影響力のある人やメディア、メディアに登場する人は用語を正確に使う必要があります。

 

「今まで興味の無かった人に興味を持たせるのだから、少々不正確でもいいだろ」

 

という意見を見ますが、それなら正確に使った上で興味を持たせるのが正解です。

某オリエンタルラジオの人の政治経済解説動画をそのように擁護するのはまったく賛成できません。

 

ちょっと前置きが長くなりましたが、スエット(トレーナー)で使われる素材の「裏毛」と「裏起毛」の区別はできますでしょうか?

基本中の基本なので「そんなこと知ってるわ」という人は読み飛ばしてください。

知らんかったわ~という人は、ちょっとだけ見てください。

 

裏毛という漢字からすると、裏側にかなり「毛」が生えているように感じられます。しかし、実際はループ状の糸が出ています。

 

 

 

一方、裏起毛というのは文字通り、裏側がワタみたいに起毛されています。しかし、どちらかというとこちらのほうが「毛」に近いと感じられるのは当方だけでしょうか。

 

 

 

 

 

日本人はこれまで「裏毛」のスエット類が大好きでした。一方、アメリカでは裏毛よりも「裏起毛」の方が主流でした。理由はいろいろと考えられるのですが、裏毛は「綿100%」であることが多いため、天然素材信仰の強い日本人はこちらが好きだったと考えられます。また、ビンテージブームのころの名残で、旧型の吊り編み機で編まれた裏毛スエットへの信仰もあったと考えられます。

 

一方、裏起毛はポリエステル混である場合が多く、裏側の起毛で保温感があります。ウールのセーターに比べて洗濯しやすく、洗濯しても速乾性があるので、機能性が好きなアメリカ人はこちらが好きなのだろうと考えられます。まあ、フリースみたいな感じで扱われているのではないかと思われます。裏毛スエットは見た目と重量の割にあまり暖かくないので。

 

しかし、2018年秋冬ごろから日本でも裏起毛のスエット類がジーユーやウィゴーなど若者向けブランドから多く発売されるようになりました。

もしかしたら暖冬傾向であるため、ウールのセーターでは暑すぎるからとか、分厚くないダウンの下に着るためとか、そのような理由なのかもしれません。

それとも若者を中心に日本人の嗜好が変わりつつあるのかもしれません。

 

 

裏起毛のコンバースのスエットパーカをどうぞ~

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南充浩
WRITER

1970年生まれ。大学卒業後、量販店系衣料品販売チェーン店に入社、97年に繊維業界新聞記者となる。2003年退職後、Tシャツアパレルメーカーの広報、雑誌編集、大型展示会主催会社の営業、ファッション専門学校の広報を経て独立。現在、フリーランスの繊維業界ライター、広報アドバイザーなどを務める。 2010年秋から開始した「繊維業界ブログ」は現在、月間20万PVを集めるまでに読者数が増えた。2010年12月から産地生地販売会「テキスタイル・マルシェ」主催事務局。 日経ビジネスオンライン、東洋経済別冊、週刊エコノミスト、WWD、Senken-h(繊研新聞アッシュ)、モノ批評雑誌月刊monoqlo、などに寄稿 【オフィシヤルブロ(http://minamimitsuhiro.info/ )】

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1970年生まれ。大学卒業後、量販店系衣料品販売チェーン店に入社、97年に繊維業界新聞記者となる。2003年退職後、Tシャツアパレルメーカーの広報、雑誌編集、大型展示会主催会社の営業、ファッション専門学校の広報を経て独立。現在、フリーランスの繊維業界ライター、広報アドバイザーなどを務める。 2010年秋から開始した「繊維業界ブログ」は現在、月間20万PVを集めるまでに読者数が増えた。2010年12月から産地生地販売会「テキスタイル・マルシェ」主催事務局。 日経ビジネスオンライン、東洋経済別冊、週刊エコノミスト、WWD、Senken-h(繊研新聞アッシュ)、モノ批評雑誌月刊monoqlo、などに寄稿 【オフィシヤルブロ(http://minamimitsuhiro.info/ )】

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