ファッション全般  2020-06-23

生地の織り方は3種類しかない 平織り・綾織り・繻子織り

以前に別のサイトでも書いたのですが、生地には織物と編み物の2つがあります。

織物は布帛とも呼ばれ、いわゆる「ナンタラ織り」という生地はすべて織物になります。

そして、現在の洋服に使われる織物の織り方はたったの3種類しかありません。

よほどに特殊な織物を除けば、すべて3種類の織り方で織られた生地を使っています。

 

1、平織り

2、綾織り

3、繻子織り(朱子織りとも表記)

 

です。

1の平織りは経糸と緯糸が1本ずつ交差する最も基本的な織り方です。

2の綾織りは経糸複数本に対して緯糸1本という割合で織る織り方です。

3の繻子織りは経糸と緯糸の交差点をできるだけ目立たないようにする織り方で経糸もしくは緯糸のどちらかを長く浮かせて織ります。

 

しかし、世の中には生地の種類がたくさんあります。

ブロード、シャンブレー、ダンガリー、デニム、フランネル、シフォン、サテン、ツイル、カツラギなどなど。

どういうことなのでしょうか?

 

織り方は3つしかありませんが、使う材質や糸の太さ、染色加工、その他二次加工によって生地の呼び名が変わってくるのです。

 

ブロード、シャンブレーは平織り

 

ダンガリー、デニム、カツラギ、ツイルは綾織り

 

サテンは繻子織り

 

という具合です。

 

某人気ファッションブロガー氏が「綾織りにはデニムと似た綾目が生地の表面にある」というような意味のことを先日書いていましたが、認識として根本から間違っています。

そもそもデニムは綾織りの1種なのです。

経糸にインディゴ染めした綿糸を用い、緯糸に染色していない糸を用い、経糸3本に緯糸1本の割合で織った綾織りをデニムと呼ぶのです。

お分かりでしょうか?綾織りがデニムに似ているのではなく、デニムはそもそも綾織りなのです。平織りのデニムとか繻子織りのデニムなんて生地は存在しません。

平織りだとシャンブレー、繻子織りだとサテンになります。

 

基本をしっかりと抑えないからこういう意味のわからない解説をしてしまうことになるのです。

 

業界でもこんな人は数多くいます。特にスタイリストやファッショニスタ、販売員に多い印象を受けます。あと最近では嘆かわしいことにデザイナーなんかにも見受けられます。

一時期「ニットデニム」というものが流行りました。ちょうどジョグジーンズが流行したころでしょうか。

ジョグジーンズには二種類存在しました。

 

・ニットのように伸縮性が強いデニム生地

・インディゴ染めした糸で編んだニット(裏毛なども含む)

 

の2種類です。

 

現在、ジョグジーンズやジャージージーンズのほとんどは「ニットのように伸縮性が強いデニム生地」にほぼ統一されました。

インディゴ染めしたニット生地は競り負けたといえるでしょう。

理由はさまざまありますが、ニット生地だと洗い加工を施したときに、本物のデニムのようなシワに沿ったヒゲやアタリが出にくいこと、クラッシュ加工を施せないこと(穴を開けるとそこからどんどんほつれて穴が広がるから)、などが挙げられると思います。

 

 

そして、このインディゴ染めした糸で編んだニットを「ニットデニム」と呼ぶことが業界では多かったのですが、本来は「デニムっぽいニット」という意味であったのに、デニム生地の定義や織物と編み物の違いを理解していない業界人たちが、インディゴ糸で編んだから「ニットデニム」などといい加減な定義を作ってしまいました。

インディゴ染めした糸で編んでもデニム生地ではありません。それは単に「インディゴ染めした糸で編んだニット」に過ぎません。

 

売るために新しい名称を付与することはテクニックの一つですが、定義をきちんとしておかないと、こと素材や糸に関していえば「川下」にいる人たちが無茶苦茶な使い方をしがちになります。そして用語の使い方が無茶苦茶になると生産に支障をきたすようになるのです。

ですから「川下」の人たちは、生地や糸についての解説はくれぐれもご注意ください。

 

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南充浩
WRITER

1970年生まれ。大学卒業後、量販店系衣料品販売チェーン店に入社、97年に繊維業界新聞記者となる。2003年退職後、Tシャツアパレルメーカーの広報、雑誌編集、大型展示会主催会社の営業、ファッション専門学校の広報を経て独立。現在、フリーランスの繊維業界ライター、広報アドバイザーなどを務める。 2010年秋から開始した「繊維業界ブログ」は現在、月間20万PVを集めるまでに読者数が増えた。2010年12月から産地生地販売会「テキスタイル・マルシェ」主催事務局。 日経ビジネスオンライン、東洋経済別冊、週刊エコノミスト、WWD、Senken-h(繊研新聞アッシュ)、モノ批評雑誌月刊monoqlo、などに寄稿 【オフィシヤルブロ(http://minamimitsuhiro.info/ )】

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1970年生まれ。大学卒業後、量販店系衣料品販売チェーン店に入社、97年に繊維業界新聞記者となる。2003年退職後、Tシャツアパレルメーカーの広報、雑誌編集、大型展示会主催会社の営業、ファッション専門学校の広報を経て独立。現在、フリーランスの繊維業界ライター、広報アドバイザーなどを務める。 2010年秋から開始した「繊維業界ブログ」は現在、月間20万PVを集めるまでに読者数が増えた。2010年12月から産地生地販売会「テキスタイル・マルシェ」主催事務局。 日経ビジネスオンライン、東洋経済別冊、週刊エコノミスト、WWD、Senken-h(繊研新聞アッシュ)、モノ批評雑誌月刊monoqlo、などに寄稿 【オフィシヤルブロ(http://minamimitsuhiro.info/ )】

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