店舗マネジメント  2018-12-25

メガネスーパー再建から学ぶ星﨑社長の現場主義(後編) ~現場を知らずして企業経営なんて成り立たない!~

メガネスーパーの再建を成功させた星﨑尚彦社長のインタビューの後編
 

メガネスーパー再建から学ぶ星﨑社長の現場主義 (前編) ~眼鏡とアパレルの二社を立て続けに再建した施策とは?~


 
-クレッジというヤングレディースアパレル企業と、メガネスーパーという眼鏡小売業の両方を再建できたというのはなかなか稀有な例だと思うのですが、特別な秘訣はあるのですか?
 
―特別な秘訣はありません。ただ、私は徹底的に現場に足を運びます。メガネスーパーの場合は店です。ですから店に徹底的に足を運び、この目で確認してお客様の要望に応えるためにはどうするのかということを徹底的に考えました。先ほど話した訪問販売もその一つです。「店舗にまで物理的に行くことができない」というお客様の要望に応えるためです。社会貢献と同時に売り上げも確保できるという意義があります。
SPA型の衣料品ブランドだった「リップサービス」の場合は、店もそうですが工場の仕組みも熟知する必要がありました。ヤングレディース向けのブランドですから、私みたいなファッショナブルでもないオッサンが店頭にいても逆効果ですから(笑)、私は物作りのメカニズムを追求しました。商品のデザインやアレンジメントは専門のデザイナーに任せていますから、私は徹底的に物作りを効率化・合理化して原価率を引き下げることを追求しました。
工賃や生地値を叩く前に、工程や仕様を簡略化して原価率を引き下げたのです。リップサービスではそれまで34~35%あった原価率を17%にまで引き下げました。これは仕様を簡略化したり使用する生地を共通化したりということでコストダウンを図ったのです。
またアパレルの場合、OEM/ODM業者抜きにしては物作りができない業界構造となっていますが、着任当時は介在するこれが多すぎた。だいたい300業者くらいと取引をしていて、その300業者に連なる工場が1000くらいあったのです。介在業者が多いと中間マージンだけでもバカになりませんからこれを5業者にまで減らし、工場も集約することで各工場の生産枚数を増やす代わりに一枚当たりの製造コスト削減を狙い、10工場へと集約しました。このような無駄を省き5円・10円のコストダウンの積み上げが原価率17%につながりました。
私は新卒で入社した三井物産時代から、よく繊維・衣料品の工場に足を運んで自分で検品して段ボールを自動車に積んで帰っていましたから工場のメカニズムを追求することはむしろ楽しい作業でした。
 
 -低価格化にあえいでいる眼鏡業界にあって客単価アップを成し遂げたメガネスーパーの施策について
 
これもすでにさまざまなメディアで報じられていますが、レンズの有料化と視力検査の有料化が大きかったです。レンズ代ゼロ円・視力検査無料が標準化してしまった眼鏡業界にあって果たして有料化が支持されるのかどうかは導入当初不安がありましたが、想像以上に成功しました。それまで平均購入額が18,000円だったのが36,000円にまで跳ね上がり上々の結果を生みました。
あまり知られていないことですがメガネスーパーは以前、眼鏡に関する専門学校を運営していたことがあり、視力検査の技術は業界内でも元々高かったのです。高い技術なので有料化したわけですが、それがお客様にも評価してもらえたということだと理解しています。
 
 -現在、再び高付加価値化に取り組む段階に突入しているとのことですが、その部分も改めて聞かせてください。
メガネスーパーという社名は古くから馴染まれていますが、認知の内容が良いとは言い切れない。そこでビジョナリーホールディングスに社名変更をしました。その理由はM&Aや他社との事業提携をスムーズにするためです。メガネスーパーのままではメガネに限定されがちになりますが、ビジョナリーホールディングスでのM&Aや事業提携なら、メガネ以外の業種でもスムーズにできます。
そして、一旦私が手書きPOPやら幟(のぼり)やらによって汚しまくった店を、再び綺麗にカッコヨクして行っています。

朝令暮改だと思われているかもしれませんが、実は当初から時期が来たらカッコイイ店にすることを考えていました。しかし、最初からそれを説明すると、「法被を着て売り切るぞ」と思ってくれない社員もいたのであえて黙っていて、ひたすら売ることに徹しました。危機は脱出したので、当初から温めていた再ブランディングを仕掛けているところです。
 
 
 -最後になりますが抱負を
長らく不振で社員の給与も上がらずボーナスが出なかったメガネスーパーですが、これを小売業全体の中でもナンバーワンにまで引き上げたいと思っています。今はまだその途中です。これからもより一層、励んでいきたいと思っています。
 -長時間ありがとうございました。
 

星﨑尚彦プロフィール:1966年生まれ。早稲田大学法学部卒業後、三井物産に入社。主に繊維事業・ファッション事業に携わる。その後、スイスのビジネススクールIMDに留学、MBA取得後、スイスの宝飾ブランド「フラー・ジャコー」ジャパン社の社長に就任。次にイタリア皮革製品メーカー「ブルーノマリ」、米国スノーボード用品ブランド「バートン」のジャパン社社長を歴任。2012年「リップサービス」を展開するアパレル、クレッジの経営再建を担う。2013年からメガネスーパーの社長に就任。

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南充浩
WRITER

1970年生まれ。大学卒業後、量販店系衣料品販売チェーン店に入社、97年に繊維業界新聞記者となる。2003年退職後、Tシャツアパレルメーカーの広報、雑誌編集、大型展示会主催会社の営業、ファッション専門学校の広報を経て独立。現在、フリーランスの繊維業界ライター、広報アドバイザーなどを務める。 2010年秋から開始した「繊維業界ブログ」は現在、月間20万PVを集めるまでに読者数が増えた。2010年12月から産地生地販売会「テキスタイル・マルシェ」主催事務局。 日経ビジネスオンライン、東洋経済別冊、週刊エコノミスト、WWD、Senken-h(繊研新聞アッシュ)、モノ批評雑誌月刊monoqlo、などに寄稿 【オフィシヤルブロ(http://minamimitsuhiro.info/ )】

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1970年生まれ。大学卒業後、量販店系衣料品販売チェーン店に入社、97年に繊維業界新聞記者となる。2003年退職後、Tシャツアパレルメーカーの広報、雑誌編集、大型展示会主催会社の営業、ファッション専門学校の広報を経て独立。現在、フリーランスの繊維業界ライター、広報アドバイザーなどを務める。 2010年秋から開始した「繊維業界ブログ」は現在、月間20万PVを集めるまでに読者数が増えた。2010年12月から産地生地販売会「テキスタイル・マルシェ」主催事務局。 日経ビジネスオンライン、東洋経済別冊、週刊エコノミスト、WWD、Senken-h(繊研新聞アッシュ)、モノ批評雑誌月刊monoqlo、などに寄稿 【オフィシヤルブロ(http://minamimitsuhiro.info/ )】

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