繊維の基礎知識  2020-08-03

Tシャツもセーターも「編み物(ニット)」って知ってた?

お久しぶりです。

 

ちょっと期間が開いてしまいまして申し訳ありません。

 

 

 

 

洋服というものは、みんな必ず毎日着ている物ですが、ほとんどの人はあまり知識を持っていないと感じます。というのは、先日、「Tシャツ風半袖サマーセーター」を「このTシャツ、実はニットなんです」と書いている人がいて、「馬から落ちて落馬した」みたいな表現だと思いました。

 

なぜなら、ニット、knitとは編んだ生地すべての総称だからです。

 

今のような暑い時期には欠かせない衣服であるTシャツですが、生地は編まれてできています。ですから、Tシャツはもともとがニットなのです。

 

そのため、「このTシャツはニットである」というのは極めて当たり前のことなのです。

 

 

 

 

 

 

 

しかし、一般の方々、また生地にあまり詳しくないファッション業界の川下の方は、「Tシャツとニットは別物」と思っている人が珍しくないようで、逆にこちらが驚きました。

 

この人たちは「ニット」というと、冬に着るセーターを思い浮かべるらしいのです。

 

そのため、Tシャツとニットは別物という考え方になり、もしかすると国民全体の割合からするとこちらの方が多数派なのかもしれないとまで感じさせられました。

 

 

 

 

たしかに、Tシャツとセーターでは生地の見た感じが随分と違うので、同じとは思えないのかもしれません。

 

しかし、一口に「編む」と言ったところで、さまざまな編み方があります。また使用する糸やその原料の違いによっても生地の出来上がりは大きく異なって見えます。

 

 

 

 

まず、Tシャツの生地ですが、大きくまとめると「丸編み」という編み方で編まれています。丸く筒状に生地を編むため「丸編み」と呼ばれています。

 

そして、Tシャツによく使用される丸編みの生地には

 

1、天竺

 

2、フライス

 

3、スムース

 

という3種類があります。

 

Tシャツ用に最も定番的に使われるのは「天竺」で、横方向への伸縮性はあるものの、縦方向への伸縮性はほとんどないところに特徴があります。

 

 

 

 

 

 

 

一方、セーターは「横編み」という編み方で編まれています。

 

昔、女の子向けのおもちゃでも売られていましたが、家庭用編み機というのがあります。これは取っ手を横方向へ往復させることで生地を編み上げていきます。セーターの「横編み」の原理はこれとまったく同じです。ですから「横編み」と呼ばれます。

 

 

 

 

 

 

 

このため、Tシャツ生地とセーターの生地では編み目の見た目がまったく異なっていて、同じ「編み物」ではないように見えてしまうのです。

 

 

 

 

一般消費者のままでいるのであれば「このTシャツ、実はニットなんです」と話していてもさほど問題はありません。しかし、衣料品の仕事をするのであれば、例え川下に位置する販売員やスタイリストでもTシャツもセーターも同じ編み物であるということくらいは知っておいた方がよいでしょう。

 

そしてもし、自身の立場で商品企画を手掛ける際になると、必然的に製造関係者へ指示を下さなくてはならなくなります。その時に「このTシャツをニットで作ってくれ」なんて指示を出してしまうと、製造関係者は「???? 当たり前のことだが???」となってしまいます。くれぐれもお気を付けください。

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南充浩
WRITER

1970年生まれ。大学卒業後、量販店系衣料品販売チェーン店に入社、97年に繊維業界新聞記者となる。2003年退職後、Tシャツアパレルメーカーの広報、雑誌編集、大型展示会主催会社の営業、ファッション専門学校の広報を経て独立。現在、フリーランスの繊維業界ライター、広報アドバイザーなどを務める。 2010年秋から開始した「繊維業界ブログ」は現在、月間20万PVを集めるまでに読者数が増えた。2010年12月から産地生地販売会「テキスタイル・マルシェ」主催事務局。 日経ビジネスオンライン、東洋経済別冊、週刊エコノミスト、WWD、Senken-h(繊研新聞アッシュ)、モノ批評雑誌月刊monoqlo、などに寄稿 【オフィシヤルブロ(http://minamimitsuhiro.info/ )】

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1970年生まれ。大学卒業後、量販店系衣料品販売チェーン店に入社、97年に繊維業界新聞記者となる。2003年退職後、Tシャツアパレルメーカーの広報、雑誌編集、大型展示会主催会社の営業、ファッション専門学校の広報を経て独立。現在、フリーランスの繊維業界ライター、広報アドバイザーなどを務める。 2010年秋から開始した「繊維業界ブログ」は現在、月間20万PVを集めるまでに読者数が増えた。2010年12月から産地生地販売会「テキスタイル・マルシェ」主催事務局。 日経ビジネスオンライン、東洋経済別冊、週刊エコノミスト、WWD、Senken-h(繊研新聞アッシュ)、モノ批評雑誌月刊monoqlo、などに寄稿 【オフィシヤルブロ(http://minamimitsuhiro.info/ )】

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