繊維の基礎知識  2020-10-19

大手アパレルが何十個もブランドを持っている理由

今回は趣向を変えてみます。

一応、初心者向けの基礎知識という内容は変わりませんが、初心者の皆さんは、オンワード樫山やワールド、三陽商会といった百貨店向け・ファッションビル向け大手アパレルがどうして、各社30以上もブランドを持っているのか不思議に思ったことはありませんか?

現在、オンワード樫山だけでもメンズ・レディースを合わせると30強のブランドがあり、子供を合わせると40弱になります。

ブランド数の多さでいうとワールドの方が多いでしょう。

ワールドはピーク時には80くらいのブランドがありました。

 

逆に、しまむらやファーストリテイリングを思い返してください。

ブランド数は少ないでしょう。

しまむらだと、しまむら、アベイル。バースデイなど4つくらい、ファーストリテイリングには、不採算の海外ブランドが4つくらいありますが、メインのブランドは、ユニクロ、ジーユー、プラステ、セオリーとこれも4つくらいです。

 

もちろん、販路も違いますし、売り方も違います。

 

ではどうして、かつての大手はこれほどたくさんのブランドを持っていたのでしょうか。

大手のブランドリストを見てから、百貨店やファッションビルを廻ってみてください。

1つの商業施設内に、ワールドでもオンワードでも三陽商会でもTSIでも、複数のブランドの店を出店していることに気が付くはずです。

そして、各社のブランドが屋号は違うけど、商品内容やブランドのテイスト、雰囲気が似たようなものがいくつかあることに気が付きませんか?

似たような内容ならどうしてわざわざブランドを分ける必要があったのでしょうか?

 

ここが、これらの大手アパレルが数多くのブランドを持っている理由です。

商業施設と大手アパレルはこれまで「持ちつ持たれつ」で発展成長してきました。

別に「持ちつ持たれつ」が悪いわけではありません。

作り手と売り場の連携というのは重要です。

 

この「持ちつ持たれつ」の1つに、ブランド名・屋号名を変えれば、同じ施設内に複数店を出店できるというものがあります。

出店数を増やせば、経費も増えますが、会社としての売上高も増えますから、これまでは売上高を増やすことを重視してきたため、このような「同一テイスト・異屋号」という出店手法が採用されてきたのです。

この手法によって、これらの大手各社は売上高を伸ばし、2000億円企業へと成長してきたのです。

 

ですが、衣料品の総需要数は増えず、かつてトップに君臨していた百貨店やファッションビルなどの販路が衰退してくると、そこに複数店舗を持っているため、同様に衰退してしまいます。

大手アパレル各社の「大量閉店問題」はこの多店舗戦略が理由の一つでもあるのです。

 

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南充浩
WRITER

1970年生まれ。大学卒業後、量販店系衣料品販売チェーン店に入社、97年に繊維業界新聞記者となる。2003年退職後、Tシャツアパレルメーカーの広報、雑誌編集、大型展示会主催会社の営業、ファッション専門学校の広報を経て独立。現在、フリーランスの繊維業界ライター、広報アドバイザーなどを務める。 2010年秋から開始した「繊維業界ブログ」は現在、月間20万PVを集めるまでに読者数が増えた。2010年12月から産地生地販売会「テキスタイル・マルシェ」主催事務局。 日経ビジネスオンライン、東洋経済別冊、週刊エコノミスト、WWD、Senken-h(繊研新聞アッシュ)、モノ批評雑誌月刊monoqlo、などに寄稿 【オフィシヤルブロ(http://minamimitsuhiro.info/ )】

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1970年生まれ。大学卒業後、量販店系衣料品販売チェーン店に入社、97年に繊維業界新聞記者となる。2003年退職後、Tシャツアパレルメーカーの広報、雑誌編集、大型展示会主催会社の営業、ファッション専門学校の広報を経て独立。現在、フリーランスの繊維業界ライター、広報アドバイザーなどを務める。 2010年秋から開始した「繊維業界ブログ」は現在、月間20万PVを集めるまでに読者数が増えた。2010年12月から産地生地販売会「テキスタイル・マルシェ」主催事務局。 日経ビジネスオンライン、東洋経済別冊、週刊エコノミスト、WWD、Senken-h(繊研新聞アッシュ)、モノ批評雑誌月刊monoqlo、などに寄稿 【オフィシヤルブロ(http://minamimitsuhiro.info/ )】

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