繊維の基礎知識  2020-10-26

ベーシックなダウンジャケットが水洗いできる理由

今冬はラニーニャ現象のせいで、久しぶりに厳寒になると言われていますが、11月10日ごろまでの長期予報を見ていると、最高気温20度前後が続いており、当分、防寒アウターの出番はなさそうです。

厳寒になるとしても、12月下旬か来年1月からではないかと思われます。

来年1月から厳寒になるなら、2018年1月・2月の再現ということになります。この厳寒のおかげで2018年1月・2月はバーゲンで値下がりした防寒アウターがほとんど完売しました。さて今回はどうなることやら。

 

さて、防寒アウターの目玉というと、ダウンジャケットがあります。

昔はメルトン素材のコートが防寒アウターの代表でしたが、ダウンジャケットが流行してから、重いメルトンは軽くて暖かいダウンにすっかり取って代わられてしまいました。

もちろん、毎年ダウンでは飽きるので、たまにウールコートへの注目が高まるのですが、軽さと暖かさという2点で劣りますから、結局ダウンに戻ってくることがほとんどです。

 

さて、ダウンジャケットといえば、毎年、いずれかのブランドが発売するのが「洗えるダウン」です。

 

洗えるということはクリーニングに出す必要がありませんから、クリーニング代が節約できるとともに、自宅で済ませられるのでお手軽でもあります。

 

しかし、基本的に「洗える」とか「ウォッシャブル」とか名付けなくても、ダウンジャケットというのは本来洗えるのです。少なくとも水洗いは可能なのです。

洗うことを避けた方が良いダウンというのは、

1、表側の素材が本革である場合

2、表側の素材がウール、またはウール混である場合

の2つくらいです。

通常のポリエステルやナイロンのダウンジャケットはもともとが水洗い可能なのです。

 

ではどうして、ダウンジャケットは水洗いが可能なのか考えてみましょう。

ダウンというのは鳥の羽毛です。

使われる羽毛は、ガチョウ(グース)、アヒル(ダック)、そして水鳥です。

水鳥はもちろんのこと、ガチョウやアヒルも池や湖で泳ぎます。

泳ぐということは水に強いということです。泳ぐ生き物が水に弱い物質を体表に生やすはずがありません。

 

そして、ポリエステルやナイロンはもともと水に強く、速乾性があります。

水に強い羽毛を水に強いポリエステルやナイロンなどの素材で包むのですから、水に弱いはずがありません。

ですから、いろいろなブランドが「洗える」とか「ウォッシャブル」とかをわざわざ開発せずともダウンジャケットというのは基本的に少なくとも水洗いは可能なのです。

 

逆にダウンジャケットが水に弱いと言われるようになったのは、どういうきっかけがあったのでしょうか。完全に市民権を得ていますから、一体どういう経緯でそういう情報が広まったのか非常に興味があります。

 

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南充浩
WRITER

1970年生まれ。大学卒業後、量販店系衣料品販売チェーン店に入社、97年に繊維業界新聞記者となる。2003年退職後、Tシャツアパレルメーカーの広報、雑誌編集、大型展示会主催会社の営業、ファッション専門学校の広報を経て独立。現在、フリーランスの繊維業界ライター、広報アドバイザーなどを務める。 2010年秋から開始した「繊維業界ブログ」は現在、月間20万PVを集めるまでに読者数が増えた。2010年12月から産地生地販売会「テキスタイル・マルシェ」主催事務局。 日経ビジネスオンライン、東洋経済別冊、週刊エコノミスト、WWD、Senken-h(繊研新聞アッシュ)、モノ批評雑誌月刊monoqlo、などに寄稿 【オフィシヤルブロ(http://minamimitsuhiro.info/ )】

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1970年生まれ。大学卒業後、量販店系衣料品販売チェーン店に入社、97年に繊維業界新聞記者となる。2003年退職後、Tシャツアパレルメーカーの広報、雑誌編集、大型展示会主催会社の営業、ファッション専門学校の広報を経て独立。現在、フリーランスの繊維業界ライター、広報アドバイザーなどを務める。 2010年秋から開始した「繊維業界ブログ」は現在、月間20万PVを集めるまでに読者数が増えた。2010年12月から産地生地販売会「テキスタイル・マルシェ」主催事務局。 日経ビジネスオンライン、東洋経済別冊、週刊エコノミスト、WWD、Senken-h(繊研新聞アッシュ)、モノ批評雑誌月刊monoqlo、などに寄稿 【オフィシヤルブロ(http://minamimitsuhiro.info/ )】

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