繊維の基礎知識  2020-11-02

ウール糸には梳毛と紡毛がある

ようやく猛暑もおさまり、まだ例年よりも気温は高めですが、秋めいてきました。

もうすぐ冬がきますが今のままなら年内は暖冬で終わるのではないかと思われます。

冬になると、ウール生地の服が増えます。セーター、コート、などなど。

 

 

ここの読者なら、セーターは編み物で、コート生地は特別な断りがない限りは織物です。

で、一口にウールと言っても、その風合いにはさまざまあることに気が付いておられるでしょうか?

ホワホワした表面感の物もあれば、つるっとした表面感の物もあります。

 

あれらは単に織り方や編み方が異なるだけではありません。ウールの糸そのものも異なるのです。

糸の太さ以外に、ウールでは「梳毛」と「紡毛」という2種類の糸があります。これは製法の違いなのです。

 

一般的に、紡毛の方が梳毛よりも糸の値段が安くなります。

羊から採った毛を糸にするには、紡績という工程を経るのですが、それを事細かには書きません。

ざっくりとした梳毛と紡毛の違いについてまとめたいと思います。販売員や初心者にはそれで十分だからです。

 

梳毛の「梳」とは「くしけずる」という意味があります。

コーマーと呼ばれる道具(櫛みたいなイメージ)でくしけずりながら、繊維を引き延ばすという作業を繰り返します。これによって毛羽の少ない均一な太さの糸になります。

そのため、梳毛で織られたり編まれたりした生地はツルっとした表面感になります。

またこの工程があるため、その分、工賃が上乗せされ、糸の値段は紡毛よりも高くなります。

 

余談ですが、羊毛以外の獣毛でも梳毛と紡毛はあります。

もちろんカシミヤにもあります。

 

しかし、洋服の低価格化で、生地も低価格が求められるため、現在ではカシミヤの梳毛はほとんど国内では使われなくなったと言われています。

カシミヤセーターやカシミヤコートに使われているのは、紡毛がほとんどです。

梳毛カシミヤを使った衣服は恐らくは軽く10万円を越える値段になると考えられます。

 

紡毛はこの「くしけずる」という工程はないため、繊維の長さもそろっておらず、毛羽だった糸になります。

その毛羽が温かみを醸し出すことにもなるのですが、糸の値段としては安価になります。ですから、毛羽だったウールセーターや毛羽だったウール織物はほぼ紡毛糸を使われていると考えて間違いはありません。

 

ちなみに梳毛のことをウーステッド、紡毛のことをウーレンとも業界では呼びます。

ですから、紡績のオジサンや生地工場のオジサンが、ウーステッドと言っていれば梳毛のこと、ウーレンと言っていれば紡毛のことだと理解してください。

 

製品の販売価格が低価格志向になっているため、原料の価格も抑えられる傾向にあります。そのため、梳毛ウールが使われる製品は15年前と比べると減ってますし、梳毛カシミヤはもっと減っています。

低価格志向が一概に悪だとは思いませんが、こういう部分にも影響が出るということは知っておく必要があります。

 

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