繊維の基礎知識  2020-11-16

メルトンをめぐる表記の混乱

ファッション雑誌やネット通販の商品説明というものは、本来はプロが書いているはずなのですが、最近はド素人みたいな書き手も多いらしく、めちゃくちゃな説明が珍しくありません。

またアパレルやブランド側の企画担当者やメディア担当も商品や素材の知識に乏しい人が珍しくないため、めちゃくちゃな説明が訂正されないままに掲載されてしまいます。

その中でも最も気になるのが、「メルトン」という生地の説明です。

 

メルトンとはどのような生地なのか見ていきましょう。

https://fashion-guide.jp/fiber-fabric/melton.html

 

主に紡毛糸を平織りまたは綾織りし、縮絨してフェルト状にしたのち、

メルトン仕上げ(起毛して光沢感を出す工程)をした、フェルト的な厚手の毛織物。

*縮絨(しゅくじゅう)=毛織物の組織を緻密にするため、石鹸溶液などに湿らせて毛同志を絡ませてフェルト状のする仕上げ工程のこと。

 

とのことです。

基本的にメルトンとはフェルト化させた毛織物のことです。どうしてフェルト化させるかというと、糸と糸の隙間を潰して保温性を高め、防風性を実現するためです。

糸と糸の隙間が大きければ大きいほど風を通します。セーターが風を通しやすいことを考えてみればすぐに理解できるはずです。

このため、メルトンとはウール100%もしくはウール高混率でなければなりません。

 

ウール100%だと重くなってしまうので、何%かポリエステルやナイロンを混ぜて軽量化することがあります。もちろん、これは古い時代にはなかった手法で近世になってから確立された手法であることは言うまでもありません。

 

しかし、毎年ウールの価格が上昇していることもあって、低価格ブランド・中価格ブランドは年々ウールを使わなくなってきました。価格を維持するためには使えないのです。

そこで、ポリエステルやナイロンと言った合繊主体のメルトン風素材を使用した防寒アウター類が多数世の中にだされているわけですが、問題は少なからぬブランドが説明文に「メルトン」と書いているところです。

ポリエステル100%で「メルトン」と表記しているブランドも決して珍しくありません。

 

これについてはいかがなものかと感じます。

物を知らずに書いているなら、その無知は酷いと言わねばなりませんし、知っていてメルトン表記をしているのなら、詐欺にも等しい行為だといえます。

 

 

合繊が60%以上入っている、とか、ポリエステル100%とかそういう生地は本来であれば「メルトン」ではなく「フェイクメルトン」とか「メルトン調」とか「メルトンライク」とか「テックメルトン」とかそのように表記すべきなのです。

「何を固いことを」と感じる人もいるかもしれませんが、ものすごくしなやかで柔らかいアクリルを使ったアクリル100%のセーターが「カシミアタッチセーター」でなく「カシミヤセーター」として表記されて売られていたらどうでしょう?それは違うのではないかという話になりませんか?

メルトンもそれと同じです。

 

買う側の方もメルトン製品を買う場合、組成に十分に気を付けて選んでください。世の中には偽メルトンが溢れています。

 

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南充浩
WRITER

1970年生まれ。大学卒業後、量販店系衣料品販売チェーン店に入社、97年に繊維業界新聞記者となる。2003年退職後、Tシャツアパレルメーカーの広報、雑誌編集、大型展示会主催会社の営業、ファッション専門学校の広報を経て独立。現在、フリーランスの繊維業界ライター、広報アドバイザーなどを務める。 2010年秋から開始した「繊維業界ブログ」は現在、月間20万PVを集めるまでに読者数が増えた。2010年12月から産地生地販売会「テキスタイル・マルシェ」主催事務局。 日経ビジネスオンライン、東洋経済別冊、週刊エコノミスト、WWD、Senken-h(繊研新聞アッシュ)、モノ批評雑誌月刊monoqlo、などに寄稿 【オフィシヤルブロ(http://minamimitsuhiro.info/ )】

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1970年生まれ。大学卒業後、量販店系衣料品販売チェーン店に入社、97年に繊維業界新聞記者となる。2003年退職後、Tシャツアパレルメーカーの広報、雑誌編集、大型展示会主催会社の営業、ファッション専門学校の広報を経て独立。現在、フリーランスの繊維業界ライター、広報アドバイザーなどを務める。 2010年秋から開始した「繊維業界ブログ」は現在、月間20万PVを集めるまでに読者数が増えた。2010年12月から産地生地販売会「テキスタイル・マルシェ」主催事務局。 日経ビジネスオンライン、東洋経済別冊、週刊エコノミスト、WWD、Senken-h(繊研新聞アッシュ)、モノ批評雑誌月刊monoqlo、などに寄稿 【オフィシヤルブロ(http://minamimitsuhiro.info/ )】

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