繊維の基礎知識  2020-12-15

「リサイクルコットン」と「リサイクルポリエステル」の違い

衣料品業界ではエコ、サステナブル、エシカルが大流行りですが、仕掛ける側が思っているほど、国内の消費者はそれらに興味を持っていないように感じます。

ちなみに自分はまったく興味がありません。(笑)

 

最近、この手の商品紹介で気になる事柄がありますので、ご紹介したいと思います。

素材をリサイクルして使用するというのは、エコの第1歩だということは、エコ嫌いの自分にも異論のないところです。

ペットボトルを溶かしてポリエステルへと再加工したのが「リサイクルポリエステル」です。

ユニクロは「ユニクロU」で中に詰められているダウン(羽毛)を再度使用したリサイクルダウンジャケットを今秋新発売しました。

これらの商品や素材は、使われた物を再加工したものという意味で「リサイクル」が使われています。

 

しかし、同じリサイクルでも「リサイクルコットン」はこれらとは元来の内容が異なるのです。

元々業界で「リサイクルコットン」と呼ばれていた素材は、綿花の落ち綿を集めて再度紡績した物だったのです。

細かい工程は省略しますが、綿花を採取し、原綿としたものを紡いで綿糸にします。

この綿糸に紡ぐ作業を「紡績」と呼びます。

ワタを紡ぐ際に絶対に幾何かのワタが紡がれずに床に落ちます。このこぼれたワタが「落ち綿」なのです。それを再度収集して紡いで綿糸にしたものを「リサイクルコットン」と呼んでいたのです。

 

ですから、同じエコ素材と言っても「リサイクルコットン」と「リサイクルダウン」・「リサイクルポリエステル」とは異なり、一度使用された物を再加工して再利用するのではないのです。

言ってみれば、廃材を集めて再度製品化したみたいな話なのです。

ですので、だいぶと内容が異なるということは理解していただけたのではないかと思います。

 

個人的にはエコと言われればエコだとは思いますが、再利用・再加工・再生などとはちょっと概念が違うのではないかと感じます。

しかし、最近のメディアでは「リサイクルコットン」を使い古された綿製品を砕いて生地に再加工するかのように説明しているものが散見されますし、逆にそういう商品を「リサイクルコットン」と呼んでいるブランドや企業も現れています。

残念ながらそれらのメディアの認識は間違っていますし、企業やブランドは呼称の選択を誤ったのではないかと感じます。

砕いて生地に戻すという工程は、実は新しい物ではなく、以前から業界には存在するのです。

それが、ウール製品や綿製品を砕いてウール生地や綿生地に再加工する「反毛(はんもう)」という工程です。一部のブランドが「リサイクルコットン」と呼んでいるのは、以前からある「はんもう」という手法で再生した綿製品だということになります。

 

個人的には消費者や業界が混乱するので「リサイクルコットン」という言葉に新しい意味を与えるのは否定的で、それよりも「はんもう」という元から存在する言葉を普及させた方が余計なトラブルが減るのではないかと思いますがどうでしょうか。

 

 

 

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StylePicks編集部
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    k

    2020年12月23日

    pre consumer/post consumer という表記が海外のブランドでは明記されています。
    また大手では必ずGRSやROCの表記がされているリサイクル製品がありますが、日本のブランドではかなり少ないです。

    pre consumer/post consumer という表記が海外のブランドでは明記されています。
    また大手では必ずGRSやROCの表記がされているリサイクル製品がありますが、日本のブランドではかなり少ないです。

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