ECディレクターの為の教科書  2021-01-08

ECの新規獲得はどうしたらいい?

ECにおける重要な機能は「機会損失の回避」であり、まずはここを防いでいく事がコストに対して売上のインパクトが大きいというお話を以前からしてきました。そして、よく勘違いされているのが「ECを始めれば売上が伸びる」と思われている点です。

 

確かにアパレル大手の業績推移を見ていますとEC化率が右肩上がりに伸び、EC売上自体は増加傾向にあります。しかし、ブランド全体の売上推移で見ればどうでしょうか?決算書を調べてみるとよくわかりますが、既に成熟したブランドでは、EC売上が伸びているからと言って全体の売上が伸びているケースの方が稀です。これは、既存の不採算店舗を削減していきECに売上をシフトしていく事が目的であり、EC売上が伸びているのは店舗の既存顧客からの売上が中心だからです。

 

 

ECで新規獲得は難しい?

ECを生業にしている人ならよくわかるでしょうが、新規獲得はWebだけで完結しません。と言うより、Webだけを独立させて考える事に意味が無いのです。

 

ECにおける実店舗の活用法

ECにおける実店舗の活用法

 

以前こちらでも書いておりますが、認知してもらい、そこからブランドのファンになってもらうには店舗が最も効率的です。もっと言ってしまうと、商品自体に魅力が無ければそもそも新規獲得など出来ません。「物が良い」という前提があり、物を実際に見てもらう以上にファン獲得を促進する方法は今のところ存在しません。また、店舗に訪れたお客様がその後、検索行動を起こして商品を購入するかどうかは接客の影響もあるでしょう。お客様のニーズや課題に合った商品の提案によって、そのブランドの良さやブランド名自体を認知してもらえるか。接客のクオリティによってもEC売上は影響を受ける事が当然ながらあるのです。

 

 

オンライン専業ブランドはどうしているか?

こんなお話をしていますと、

「D2Cブランドは店舗が無くても成長している」

と聞こえてきそうです。昨今はソーシャルメディア(特にInstagram)を活用してファン獲得を促進し、ブランドを成長させるケースが増えてきたのも事実です。では、これらのブランドは一体どういった手法を使って新規獲得に成功したのでしょうか?

 

SNS広告

直近で最も費用対効果が良いのはSNS(Instagram)広告でしょう。見込み客の興味関心のありそうなキーワードを複数設定していくと、精度の高いターゲティングが可能です。Instagramの広告が優れているのは、見込み客に対してヴィジュアルで訴求出来る点でしょう。そもそも画像投稿のSNSなのでヴィジュアルの広告が出てきても違和感が無く、広告からブランドを認知し、購買に至るケースは若者の間でも全く特別な事では無くなりました。認知の無いブランドでも上手く広告を回せば、見込み客としてのフォロワー獲得単価は100〜200円程度で済む事もあります。AdWords広告ならECの会員獲得にその100倍はかかる事も珍しくなかったのがこれだけ安価で可能になった事で、ECの可能性を大きく広げてくれました。(会員獲得とフォロワー獲得を単純比較は出来ませんが)それでも年齢層や商品の価格帯によって、売上に直結するかはまちまちなので注意は必要です。

 

オススメは品揃え計画に沿った店頭イベントを企画しておき、そこの集客施策として広告を活用する手法ですね。目玉商品・ノベルティ・サイトコンテンツ・インフルエンサー活用などもミックスしておけば尚良いかと。

 

インフルエンサー活用

一時期はバブルのようになっていたインフルエンサーを使ったPRですが、最近はその効果もやや弱くなってきていると感じます。そもそもフォロワーの多い人に誰彼構わず依頼するのではなく、自ブランドのイメージと合う方・自ブランドを本当に良いと思ってくれている方にPRしてもらうべきでしょう。また、昨今はフォロワーを買っている「偽インフルエンサー」もいたりしますので単純なフォロワー数だけで効果が計れなくなっています。

 

商品をインフルエンサーにお渡ししてポストしてもらう、所謂「ギフティング」ですが、こちらも効果が薄くなってきていますね。あまりにもPRが溢れてきたせいか、ユーザー側にも「どうせ使ってないのに…」とバレるケースが増えてきました。

 

結果、「効果の割りに売上が伸びない」という事例が非常に多く、費用対効果が悪くなっています。筆者の計測している過去データでは、何の企画も無しだとフォロワー数の1%程度がECに流入し、購入となるとそこから更に1%程度。これで良い方です。つまり1万フォロワーいても購入に至るのは1件程度が期待値と思っておいて良いでしょう。それでも使い方次第で数字を伸ばす方法はありますので、インフルエンサー活用する場合は、

 

◯丸投げでポストしてもらうのではなく、企画を練る

◯ブランドの販促やサイトコンテンツと連動させる

◯毎回、しっかりと効果検証をする

 

上記を徹底しましょう。ECサイトのコンテンツやInstagramに投稿するヴィジュアルとして活用出来れば費用対効果も上がります。インフルエンサー本人にその内容を拡散してもらえれば認知には繋がるので、運用で上手くカバーしていくのがオススメです。最近ではインスタグラマーだけでなくYouTuberを活用したPRも増えてきていますが、こちらも同様に企画が無ければ効果は弱いでしょう。

 

このような事を書きますと、「じゃあSNS広告回しまくればいいやん」と思われそうですが、それで上手くいくなら誰も苦労しません。ブランドは「商品」「店舗」「販売員」「雑誌掲載」「SNS」など、タッチポイントでの総合力が求められます。特に商品力次第ではリピート率や顧客力が大きく変わって来るので、根幹を疎かにしていると継続的なビジネスは難しいでしょう。広告で1周目は売れたとしてもリピートに繋がらない、というD2Cブランドもたくさんあるのではないでしょうか。昨今のD2Cブランドの成功事例を見ていますと、初期フェーズに潤沢過ぎるほどの広告費を投下し成長してから回収、というケースがいくつか散見されますが博打に近い印象を受けます。在庫をとにかく積んで販促費をかけまくり見せかけの売上を積み上げ在庫過多の赤字垂れ流し、といったバイアウトありきのスキームではなく、健全なブランド運営を心がけましょう。

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深地 雅也
WRITER

株式会社StylePicks CEO。コンテンツマーケティングをメインに、ECサイト構築・運用・コンサルティング、ブランディング戦略立案、オウンドメディア構築、販促企画などをやってます。最近はODM・OEMメーカーのブランド設立支援、IT企業のアドバイザー、服飾専門学校講師、ライター業なども手がけてます。

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