MD視点での決算書の読み方  2021-02-03

決算書を読むことでMDの数字面の仕事を鍛えよう⑪

これまでの記事で、架空の組織を数字を決算書から抜き出し、OTB表を作成しました。完成した表は下記になります。

決算書を読むことでMDの数字面の仕事を鍛えよう⑩


更にこの組織の設定は、下記の通りです。

・中価格帯のメンズベーシックカジュアルショップ
・この年(このOTB表の年)は全体的に数字が良く黒字だった。しかし、秋冬商戦は売れたが在庫消化に苦戦した!

 

前回の記事で述べた

”第4半期に過度なセールを行っても、期末在庫が増える結果にしか終わらなかった。”要因がどこにあるのか?”ということを、今回の記事で述べてみます。

 

 

〇何故、在庫が増えたのか?要因を考えてみる

何故、上記のような結果に終わったのか?ということを、私が以下独断と偏見で箇条書きにしてみます。

A リードタイム(以下LT)が長い
B 第1四半期(3月~5月)第3四半期(9月~11月)の仕入原価が過度に多い。
(第1四半期32.5%。第4四半期37.3%の四半期仕入構成比)
C MD予算設計時に追加枠を設定していない?
D 在庫過多に気づくのが遅い?

 

では、これらのことを簡単に以下述べていきます。まずは。

 

A リードタイム(以下LT)が長い

このことは、現状どのアパレル小売りの組織にも当てはまることなどで、どうしようもありません。LTが長いとどうしても、平均在庫が高めに出て在庫回転が悪化します。しかしながら、仮に上記の組織のLTが2か月で、平均の商品販売期間が3か月だとしたら、MD予算設計の段階で追加枠を多少なりとも確保できることことを、読者の皆様は理解しておいてください。このことは、以下B~Dにも影響を与えます。
(MDスケジュール資料)

B 第1四半期(3月~5月)第3四半期(9月~11月)の仕入原価が過度に多い。

この組織の四半期仕入構成比を算出すると、第1四半期は32.5%。第4四半期は37.3%となります。この数字をみて感じることは、仕入の構成比のバランスが過度に悪いということです。それは、どのようなことでわかるのか?と言いますと。。。

この組織の四半期ごとの売上構成比は以下の通りです

・第1四半期(3~5月)22.7%
・第2四半期(6~8月)25.9%
・第3四半期(9~11月)23.2%
・第4四半期(12月~2月)28.1%

 

となっています。これは、Cの夏・冬特化型のMD設計?であるということを証明しています。更に言えば、夏・冬のセールに強いブランド・ショップの可能性が高いと言えます。ですから、この組織でいう実売期に入る前に仕入原価を多くし、期末在庫を充実させている!というのは、理解できますが、それでもバランスの悪さは明白です。では、バランスの悪さは明白です。では、各四半期ごとの売上構成比と仕入構成比を、1四半期ずつずらし、並列してみてみると。(LTが2か月以上あると推測されるため1四半期ごとずらして考えました)

 

◎売上構成比 ⇔◎仕入構成比

・第1四半期(3~5月)22.7%⇔第4四半期 15.8%
・第2四半期(6~8月)25.9%⇔第1四半期 32.5%
・第3四半期(9~11月)23.2%⇔第2四半期 14.5%
・第4四半期(12月~2月)28.1%⇔第3四半期 37.3%

 

以上のようになります。この数字を横で見たときに、数字がある程度イコールに近いことが理想です。LTが短かければ、理想的な数字になりやすいですが、アパレル・ファッション小売業の場合はLTが長いケースが多いので、どうしてもズレは生じます。しかしながら、今回のケースの数字のズレは、かなり大きすぎるように感じます。

この数字から見える問題点は。。。

MD予算設計が稚拙であるということです。そして、おそらくCの”MD予算設計時に追加枠を設定していない?”

 

とリンクしているように感じます。次回はこの続きから、お話をしていきます。

では、皆さん。次回もお楽しみに。

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佐藤 正臣(マサ佐藤)
WRITER

95年(株)ノーリーズにアルバイトとして物流倉庫からスタートし、店頭勤務7年(レディース)。02年より(株)ノーリーズにおいてメンズ(フレディ&グロスター・ノーリーズメンズ)立上をMDとして担当。10年よりフリーランスとして活動開始。シャツメーカーの新ブランド開発の企画サポート。その他、新規ブランドの立上マーチャンダイジング計画など、様々なフィールドで活躍したのち、14年5月末、株式会社エムズ商品計画を設立。小売り企業へのMDアドバイスや専門学校での講義・また海外での講義等。現在、多方面で活躍中。

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