MD視点での決算書の読み方  2021-02-10

決算書を読むことでMDの数字面の仕事を鍛えよう⑫

これまでの記事で、架空の組織を数字を決算書から抜き出し、OTB表を作成しました。完成した表は下記になります。

決算書を読むことでMDの数字面の仕事を鍛えよう⑪


更にこの組織の設定は、下記の通りです。

・中価格帯のメンズベーシックカジュアルショップ
・この年(このOTB表の年)は全体的に数字が良く黒字だった。しかし、秋冬商戦は売れたが在庫消化に苦戦した!

 

また、これまでの記事で述べた”第4半期に過度なセールを行っても、期末在庫が増える結果にしか終わらなかった。要因がどこにあるのか?”ということを、前回の記事に4項目掲げました。その項目は以下の通りです。

A リードタイム(以下LT)が長い
B 第1四半期(3月~5月)第3四半期(9月~11月)の仕入原価が過度に多い。
(第1四半期32.5%。第4四半期37.3%の四半期仕入構成比)
C MD予算設計時に追加枠を設定していない?
D 在庫過多に気づくのが遅い?

 

前回の記事でA・Bの件について触れましたので、今回はCの”MD予算設計時に追加枠を設定していない?”この件について考察していきます。

 

 

〇予算の段階で商品の追加枠の設定を行っていない?

今回取り上げている架空の組織は、中価格帯のメンズカジュアルショップです。以下メンズベーシックカジュアルショップの特徴を以下記しておくと。。。

・販売期間の長い商品が多い
・特に年間継続して売っている年間定番商品なども混在する
・サイズ展開が多い

 

このような特徴があります。これらの理由で、上記のような特徴をもつ組織は、在庫回転率が悪くなりがちです。事実、この架空の組織の推定在庫回転率は、2.7です。しかしながら、販売期間の長い商品が多いということは、商品の追加枠を取ることで、在庫回転率を向上させる!という施策をとることができます。ですが、今回取り上げている架空の組織は、この追加枠の設定をMD予算設計段階で行っていない!可能性が大といえます。

その理由は、前回の記事で述べたように、この組織は第1四半期と第3四半期の仕入構成比が、だいぶ高い状態です。(第1四半期32.5%。第3四半期37.3%)

例えば、この組織のリードタイムが2か月で平均の商品販売期間が3か月だとすれば、初回発注で売上の3か月分を発注する必要はありません。極論を言えば、初回発注は売上の2か月分だけを発注して、残りの1か月の売上分は、仕入枠だけをとっておき、初回に発注する必要がない!ということです。

更に言えば、仮に商品が予定通りに売れなければ、その追加枠分は発注しなければ良いので、そのことで在庫過多に陥ることを防ぐこともできます。

しかし、上記の組織の第1四半期と第3四半期の仕入構成比が、第2四半期と第4四半期の売上構成比に比べて高すぎるということは、商品の追加枠を設定せずに、初回発注で販売期間分の売上をすべて発注しているように見えます。

このような状況になれば、当然第1四半期と第4四半期の仕入構成比が高すぎるという結果になるわけです。すると、平均在庫金額も上がり在庫回転率が更に悪化するばかりか、初回発注で外した商品の在庫は多く残ることになりますので、当然のことながら、想定以上の在庫消化施策が必要となり、売上。特に粗利の低下を招くことになります。そのことが、特に第4四半期の粗利率低下を招いているのではないでしょうか?

このような状態に陥らないためには、組織の特徴に沿ったMD予算設計の手法を、具体的に確立する必要があるでしょう。

次回の記事は、Dの

 

”在庫過多に気づくの遅い?”

という件を、これまでしてきた考察を交えながら述べていきます。
では、皆さん。次回もお楽しみに。

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佐藤 正臣(マサ佐藤)
WRITER

(株)エムズ商品計画オフィシャルサイト】(株)エムズ商品計画代表取締役。大分県大分市出身。リテールMDアドバイザー。繊研新聞社より「数学嫌いでも算数ならできる筈〜算数で極めるMDへの道」出版。大手アパレルからライフスタイルブランド・スーパーマーケットなど、あらゆる分野のマーチャンダイジング改善に従事。仕事依頼は上記弊社ウェブサイトリンクよりお願いします。唯一の趣味は古着収集。

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