MD視点での決算書の読み方  2021-02-17

決算書を読むことでMDの数字面の仕事を鍛えよう⑬

これまでの記事で、架空の組織を数字を決算書から抜き出し、OTB表を作成しました。完成した表は下記になります。

決算書を読むことでMDの数字面の仕事を鍛えよう⑫


更にこの組織の設定は、下記の通りです。

・中価格帯のメンズベーシックカジュアルショップ
・この年(このOTB表の年)は全体的に数字が良く黒字だった。しかし、秋冬商戦は売れたが在庫消化に苦戦した!

 

これまでの記事で述べた”第4半期に過度なセールを行っても、期末在庫が増える結果にしか終わらなかった。要因がどこにあるのか?”ということを、以前の記事で4項目掲げました。その項目は以下の通りです。

A リードタイム(以下LT)が長い
B 第1四半期(3月~5月)第3四半期(9月~11月)の仕入原価が過度に多い。
(第1四半期32.5%。第4四半期37.3%の四半期仕入構成比)
C MD予算設計時に追加枠を設定していない?
D 在庫過多に気づくのが遅い?

 

今回は、Dの在庫過多に気づくのが遅い?ということを考察していきます。

 

 

〇在庫過多に気づくのが遅い?というのは、どの指標からみてとれるのか?

Dの在庫過多に気づくのが遅い?というのは、上記のOTB表のどの指標から見て取れるのか?ということを、独断と偏見で簡単に以下記載しますと。。。

 

❶ (1年での)売上原価÷(1年での)仕入原価→消化率
❷ 粗利率の推移

 

ここから見て取れます。

まずは、❶をみてみましょう。

この組織の1年での消化率(売上原価÷仕入原価)を見てみますと。。。

→49.9億円÷51.4億円=97.1%

 

となります。一見、消化率が高いから全く問題ないじゃないか!という方が多くおられると思いますが、これは大問題です。

決算書は、組織全体の数字が噓偽りなく記載されています。ということは、仕入が発生しないであろうアウトレット事業やファミリーセール等の消化施策の数字。更に言えば、在庫過多でバッタ屋さんに売ってしまった数字や廃棄した商品の数字も加味されます。(廃棄した商品は売上原価に計上)ということは、新規出店を大幅に増やした!という理由以外で、上記でいう消化率が100%近辺に着地しない場合は、危険水域と捉えることができます。(実際、各社の決算関連書類を見ると、新規出店が多くない限りは、限りなく100%に近い数字になっている)

事実、この組織は。

→51.4億円-49.9億円=1.5億円

 

で、1年で在庫が1.5億円増加しています。

昨年同時期よりも1.5億円の在庫原価が増加するということは、仮にこの組織の元売価平均8,000円。仕入原価率が40%であれば???

→1.5億円÷(8,000円×40%)=31,250点

 

となり、昨年同時期よりも店頭・倉庫に3万点以上の商品が増えた!ということになります。
皆様、この量を想像してみてください。どのように感じますか?結構な量が増えたなぁ~ということが一目でわかるはずです。おそらく、店頭や物流倉庫の現場レベルでは、在庫増加に早い段階から気づいていたと推測されます。しかも、上述したように、この決算書の数字には、新たな仕入が必要のないアウトレット事業・ファミリーセール・バッタ屋に商品を売る・廃棄ロス等も含まれている筈ですから、この組織が如何に在庫過多に気が付くのが、遅かったと言えるのではないでしょうか。

次回の記事では、

❷ 粗利率の推移

から、この組織が如何に在庫過多に気づくのが遅いのか?その要因はどのようなことが考えられるのか?ということを考察していきます。
では、皆さん。次回もお楽しみに。

(次回、筆者所要の為連載をお休みします。次回の記事は3月3日(水)にアップ致します。)

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佐藤 正臣(マサ佐藤)
WRITER

(株)エムズ商品計画オフィシャルサイト】(株)エムズ商品計画代表取締役。大分県大分市出身。リテールMDアドバイザー。繊研新聞社より「数学嫌いでも算数ならできる筈〜算数で極めるMDへの道」出版。大手アパレルからライフスタイルブランド・スーパーマーケットなど、あらゆる分野のマーチャンダイジング改善に従事。仕事依頼は上記弊社ウェブサイトリンクよりお願いします。唯一の趣味は古着収集。

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