MD視点での決算書の読み方  2021-06-02

決算書を読むことでMDの数字面の仕事を鍛えよう㉖

前回の記事では、売上・客数・客単価がどのような状態になっていれば、MDとして是なのか?非なのか?ということを、問題形式でA~Fの例を出しました。今回の記事では、それぞれのケースを考察していきます。

決算書を読むことでMDの数字面の仕事を鍛えよう㉕

Aのケース

A
・売上アップ
・客数アップ
・客単価アップ

 

これは当然のことながら、MDにとっては好ましいケースですし、このケースだと売上は跳ね上がっていることでしょう。しかしながら、このケースで気になるのは、客単価のUPです。客単価のアップは、組織にとって好ましいことではありますが、客単価を分解した際に(1点単価×SET率)、1点単価が上昇して客単価が上がっている場合には、注意が必要です。

特に10%を超えるような1点単価のアップは、お客様からみた価格のイメージは、前述したように、”(このショップ・ブランド)は、価格がだいぶ上がったな?”とも捉えることができるので、客数の伸びが微増で、客単価が大幅に上がっていた場合などは、今後の客数低下による売上の減少を招く可能性が高いとも言えます。ですが、商品の値上げをお客様に事前告知していた場合は、値上げをお客様に認知してもらえた!と捉えることが出来ますので、その場合は安心しても良いでしょう。

 

 

Bのケース

B
・売上アップ
・客数アップ
・客単価ダウン

 

このケースは、客数のアップで売上が伸びていますから、好ましいことだと言えます。

特に1点単価はキープで、SET率がダウンであれば問題はありません。SET率は販売現場のスキルに大きく左右される指標ですが、(SET率ダウンは)見方を変えればSET率が上がると、更に売上がUPするという伸びしろがあるので、MD自身の仕事としては、あまり問題視する必要はないでしょう。

ですが、1点単価が10%以上ダウンしている状況で、このケースに着地したならば注意をする必要があります。その際に、注意すべき指標は”粗利率”です。粗利率が過去と比べかなり下がって出ているようでしたら、いつもよりもセール施策を大々的に行っている可能性が高く、その影響で客数が伸びた!と考えることができるからです。そのような場合は、MDの特に”適品””適量”の精度を上げるように、今後修正が必要になります。

また、1点単価のダウンがセールでなく、自然とそう着地したのならば、”(このショップ・ブランド)は、だいぶ買いやすい価格になったな?”と、1点単価アップのケースとは、逆に捉えることができるので、良いことであるかもしれません。

しかしながら、元々のブランドコンセプトに基づいて決めた”適格”があるのですから、そのこと反して、ステルス値下げをして得られたこの結果は、あまり良いものとは言えないでしょう。何故ならば、”価格を下げればお客様に支持される!”ということが、常態化すれば、その先に何も良い影響はあたえないからです。

最後に、客数の増減というものは、外的要因に大きく左右されることになります。わかりやすい例としては、2020年の新型コロナウィルスの件です。そのような外的要因で客数が影響を受けた場合は、ディベロッパー情報や競合他社の数字などを確認して、どのくらい外的要因に左右されたのか?ということを、数値化してしっかりと見極めるようにしましょう。また、客数の増減で大事なのは、自分たち自身の問題に影響される内的要因を具体的に見極めることが重要です。この内的要因をしっかりと分析した上で、今後の施策へと繋げていきましょう。

次回の記事では、C~Fのケースを考察していきます。
では、皆さん。次回もお楽しみに。

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佐藤 正臣(マサ佐藤)
WRITER

(株)エムズ商品計画オフィシャルサイト】(株)エムズ商品計画代表取締役。大分県大分市出身。リテールMDアドバイザー。繊研新聞社より「数学嫌いでも算数ならできる筈〜算数で極めるMDへの道」出版。大手アパレルからライフスタイルブランド・スーパーマーケットなど、あらゆる分野のマーチャンダイジング改善に従事。仕事依頼は上記弊社ウェブサイトリンクよりお願いします。唯一の趣味は古着収集。

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