MD視点での決算書の読み方  2021-06-23

決算書を読むことでMDの数字面の仕事を鍛えよう㉙

前回の記事から、違う視点でIRから見える売上・客数・客単価を考察していこう!ということを試みています。

決算書を読むことでMDの数字面の仕事を鍛えよう㉘


その際に注意すべき点として、以下の項目を掲げました。

① 既存店でみる
② 過去5年の数字は追う
③ 基準年を設定する

 

そして、前回の記事では、ある組織A・Bの既存店の過去5年の数字(売上・客数・客単価)を、その組織のIRで調べた数字を図にしました。

上記した組織の売上の昨対をみると、2018年・2019年ともに、Bの組織の方が前年比をクリアしているので、一見すると、Bの組織が称賛されるべきかもしれません。ですが、ここでBの称賛記事を書くマスコミや識者ほど、もの見方を間違っている!ということを指摘し、Aの組織の方が良い兆候があるのでは?ということを述べました。今回の記事では、そのことを考察していきます。

 

 

〇2015年を基準年にして数字を算出しなおすと

改めてになりますが、企業のIRの売上・客数・客単価を見る際に注意すべき点として、下記の3項目を掲げました。

① 既存店でみる
② 過去5年の数字は追う
③ 基準年を設定する

 

①②のことは、上記の図での表現されていますが、実は③のことが表現されておらず、放置されたままです。ということで。このA・Bの組織の各数字を2015年を基準として、表を作り変えてみました。下記がその図になりますので、皆様方ご覧になってください。
(2015年を基準年として、1(100%)と設定。但し、厳密に言いますと、既存店の店舗数は毎年変動しますので、必ずしもこの手法で算出された数字が正しいわけではないが、上場企業の場合は店舗数が多いので、かなり実態に近い場合が多い)


この数字をご覧になって、皆様方はどう思いますか?

まずは、ここ数年売上が昨対割れしているAの組織から見てみましょう。Aは、この図①でいう、ここ2年の売上の昨対(2018年・2019年)を下げていて、かなり厳しい状況であるように思われます。

しかしながら、2015年を基準年として、2019年の売上の対比を見れば、実は2015年の売上に対して、まだ2019年の方が良い!(101%)ということに、皆様お気づきになられたのではないでしょうか?確かに、喫緊2年をみれば売上は減少傾向にありますが、それでも2015年をベースで売上を見れば、まだ売上は上回っています。ですから、2年続けて昨対を割ったからといって、そこまで厳しい状況とは言えないのです。

 

 

〇Aの組織は自ら過ちに気づいた?

また、この組織はおそらく過去の失敗に2019年の段階で気づき修正している!ということも、この数字から見ることができます。それは、客数と客単価の数字を見れば明らかです。

この組織Aは、2017年を売上のピークとして、2018年・2019年と売上が減少し、組織として何らかの失敗をしたのでは?と考えられますが、その兆候は、実は売上がピークだった2017年に出ています。まず、2015年基準に対して、2017年から客数の減少が始まっています(98%)。更に言えば、客単価が2015年ベースに対して108%となっています。上場するような企業が、SET率の大幅アップで客単価が上がった!とは、考えにくいので、おそらく商品の値上げを断行した筈です。その傾向は、2018年まで続き、2018年は客単価が、2015年ベースで115.7%となっており、客数は88.2%まで減少することで、売上は前年割れ、2015年ベースでみても売上は減少に転じています。

ですが、2019年の数字をみると、この組織Aには良い兆候が見て取れます。それは、どの指標に見えるのか?そして、組織Bについての考察を次回の記事で行っていきます。
では、皆さん。次回もお楽しみに。

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佐藤 正臣(マサ佐藤)
WRITER

(株)エムズ商品計画オフィシャルサイト】(株)エムズ商品計画代表取締役。大分県大分市出身。リテールMDアドバイザー。繊研新聞社より「数学嫌いでも算数ならできる筈〜算数で極めるMDへの道」出版。大手アパレルからライフスタイルブランド・スーパーマーケットなど、あらゆる分野のマーチャンダイジング改善に従事。仕事依頼は上記弊社ウェブサイトリンクよりお願いします。唯一の趣味は古着収集。

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