MD視点での決算書の読み方  2021-06-30

決算書を読むことでMDの数字面の仕事を鍛えよう(最終回)

前回の記事では、ある組織A・Bの既存店の過去5年の数字(売上・客数・客単価)を、その組織のIRで調べた数字を図にし、組織Aの考察をしていきました。今回の記事では、組織Aには実は良い兆候が見える!という兆候と、組織Bの考察です。

決算書を読むことでMDの数字面の仕事を鍛えよう㉙

 

〇組織Aの良い兆候は、どの数字に表れているのか?

組織Aの良い兆候は、前回使用した図②にみてとれます。前回使用した図②は下記をご覧ください。


前回の記事で、この組織Aは2017年の大幅な値上げから、客数を下げ2018年より売上が低下し続けていると考察をしました。しかしながら、更に売上が下がった2019年に、この組織Aは値上げの過ちに気づき、策を講じているように見えます。それは、2019年から商品の価格を2016年あたりの水準にまで戻したことです。ですが、客単価の低下によって、売上は更に低下していまいましたが、客数はアップへと転じ、2015年の客数の数字に対して、97%まで回復しています。(2018年ベースでは110%に向上)これが、上記の図から組織Aが良い兆候が見える!といった理由です。

 

 

〇組織Bは値上げに頼っている?

続けて、組織Bの考察です。

図①を見れば、組織Bは2018年2019年と売上をアップさせており、この部分を切り取って数字を見れば、この組織は頑張っている!ように見えます。


しかしながら、図②を見ると、売上は2015年ベースで見ると99.5%で、組織Aのように100%を超えているわけではありません。

また、特にこの組織Bの危うさを感じる部分は、客数の低下と客単価の大幅アップです。

Bの組織の客数の数字は、2015年からずっと低下し続けています。2019年に至っては、2015年の客数の数字の80%程度しかとれていません。私は、常々MDにとって(既存店)客数の数字は大事!売上が良くても、客数が低下した場合は、危険信号が灯っている!ということを良く口にしています。その視点からみると、この客数の低下はかなり深刻です。更に言えば、この客数の低下を客単価の伸びでカバーしていたことが決定的な悪手に見えます。客単価は、対2015年の数字に対して120%以上もアップしている。これは、一見良いことに見えるかもしれません。しかしながら、上場するように組織が、大幅なSET率のUPで客単価がこの数字になっているとは、考えられませんので、この伸びは商品の値上げによるものでしょう。

ということは?このBという組織は、MDでいうところの”適格”がブレブレで、徐々にファンが離れていっている!という状況に見え、現場(店頭)の頑張りが、今以上にあったとしても、今後、値上げによる更なるファン離れを引き起こすことは明白で、今後の売上の低下は避けられない!というのは、間違いのないところでは?というのが、私の考察です。

 

 

〇またどこかでお会いしましょう(@^^)/~~~

常々、私は昨対という指標だけで、物事の良し悪しを判断することの危険性を訴えています。今回の記事で、その愚を読者の皆様方に知っていただければ嬉しく思います。また、今回、私が行ったような数字の見方はMDの実務にも応用できるものです。

今回のこの”決算書を読むことでMDの数字面の仕事を鍛えよう!”という連載が、少しでも皆様のお役に立っていれば嬉しく思います。今回のこの連載は、これで終了になります。次回からの連載は、まだ未定となっておりますが、皆様のお役に立つような新しいネタが出来ましたら、連載を再開しようと思います。長い間。連載をご覧いただきありがとうございました。また、お会いできるのを楽しみにしております(@^^)/~~~

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佐藤 正臣(マサ佐藤)
WRITER

(株)エムズ商品計画オフィシャルサイト】(株)エムズ商品計画代表取締役。大分県大分市出身。リテールMDアドバイザー。繊研新聞社より「数学嫌いでも算数ならできる筈〜算数で極めるMDへの道」出版。大手アパレルからライフスタイルブランド・スーパーマーケットなど、あらゆる分野のマーチャンダイジング改善に従事。仕事依頼は上記弊社ウェブサイトリンクよりお願いします。唯一の趣味は古着収集。

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