ECディレクターにとって重要な決断は、「決められた予算」の中で「優先順位」を決めて施策を実行する事で、言葉にしてみると簡単に聞こえますが、経験則が無いと意外と判断が難しいものです。
既に潤沢に売れているECサイトであれば予算に余裕があり打ち手も豊富でしょう。しかし、大して売れてもいないECサイトの場合は当然ながら大きく投資なんて出来ません。故に、優先順位の付け方としては、
「低コストで売上のインパクトが大きいものから順番に」
が鉄則です。但し、ちょっとした施策で売上が大きく上がるケースというのは非常に限定的で、「需要はあったが機会損失していた場合」に限ります。例えば、
○指名検索で流入があるのにSKU・導線設計・クリエイティブに難あり
○会員やソーシャルのフォロワーが多いのに告知が不十分
のようなケースですね。既に顕在化した需要があるにも関わらず、それをちゃんと売上に変えれていないという事です。このような事態を放置しておりますと、卸先の他社モールやセレクトにサクッと潜在顧客を持っていかれる事でしょう。そうならない為にも現在のデータを検証し、今どこに問題があるのか?を読み取る事が重要です。リニューアルしたら売上が伸びると思っている人も多くいらっしゃいますが、デザインが変わったところで売上に対するインパクトは小さいので無駄にお金を使う前にデータと向き合いましょう。(むしろ既存サイトで慣れていたユーザーの離脱を招くと売上が下がります。)
ブランドにとって新規獲得って成長性に関わってくるのでめちゃくちゃ大事なんですが、そこには当然ながら新規獲得の為の時間的・金銭的コストがかかってきます。しかし、その割りに短期的な売上のインパクトは小さく時間をかけなければならないケースが多く、特にECはその特性上、新規獲得に向かないツールである事からも優先度は下げた方が良いでしょう。店舗があるなら店舗で新規獲得した方が早いですし、大手ならその後に店頭在庫連携すると大概売上は伸びます。
それよりも、今目の前にある売上をしっかり取る事で、次の新規獲得に向けた資金源にしていく事が重要です。要は「売れてきたら上層部も財布の紐が緩くなるよ」って事ですね。結果出ない時にぶつくさ文句言っても意味無いので、さっさと結果出してお金出るような環境にしていきましょう。
一方で、新規獲得の為のツールとしてはソーシャルメディアが活用しやすいというお話は前回でもしておりましたが、何も広告やインフルエンサーマーケティングの実行が必須な訳ではありません。オーガニックの投稿でも十分新規は拾えますので、社内リソースがある場合は並行してソーシャル運用を強化するのも良いでしょう。プラスの費用が発生せず、社内リソースの活用で売上が伸びるのであればそれに越した事はありませんので。