普段皆様がブランドを認知するきっかけは、どのようなものがあるでしょうか?筆者も過去、様々な人にこの質問を投げかけてきましたが、大抵は下記項目が挙がります。
◯店舗・商業施設
◯家族・友人からの紹介
◯ソーシャルメディア
◯ECモール
最も多いのはやはりリアルでの店舗展開でしょうか。自分の生活圏内やよくお買い物に行く商業施設内にあるブランドは認知しやすいようです。
近年の特徴としてはソーシャルメディア・ECモールでブランドを認知するといったケースが多く見られる事でしょうか。ZOZO・楽天・Amazon上で絞込みをかけた際、もしくはクーポン・タイムセール対象商品、広告によって露出が増えて認知する、といった事が挙げられるでしょう。
そして何と言っても特に増えたのがソーシャルメディアからの認知。お気に入りのインフルエンサーや友人が着用していた、ハッシュタグで検索した際に出てきた、SNS広告で表示された、などなど。ソーシャル上でのユーザーの滞在時間が長いのですから、このような現象も当然の事ではあります。
UGCは購買に直結しやすい?
ソーシャルメディアのユーザーが自らブランドについて投稿する事を「UGC(ユーザージェネレイテッドコンテンツ」と言います。ソーシャル上の投稿だけに関わらず、ブログでの投稿やEC上でのレビューなんかもこれに当てはまるでしょう。
UGC…一般ユーザーによって作れられたコンテンツ。
UGC発生からすぐ購買に結びつくケースばかりでは無いのですが、ポジティブなUGCが発生すると、当然ブランドにとってポジティブな効果が生まれやすい。その投稿を見て指名検索からサイトに流入するケース、Instagramで検索してフォロワーになるケースなどなど、ファン獲得に繋がるアクションが発生しやすいからですね。リアルだと「家族・友人からの紹介」での口コミが、デジタルで拡張されたケースでしょうか。家族・友人よりも信用力は落ちるものの、拡散される範囲が広くなったという側面はあります。そういった事から、ブランド側も何とかしてUGCを増やそうと試みている訳です。
効果的な製品戦略
Web・ソーシャルに弱い人が陥りがちなのは、「自分たちが知らない拡散方法があって、それを実行すると容易に集客が可能なのでは?」と考えるケースですね。はっきり言いますが、そんな都合の良い技術など存在しません。デジタルは、リアルでの施策を広範囲に伝えるものなので、リアルがダメな場合は何をやってもダメです。そのような特性を考えると、やるべき事は自ずと紐解かれます。筆者が過去経験したUGC発生のケーススタディは下記になります。
ロゴ・アイコン
ブランドを象徴するロゴマークやアイコンアイテムは、「そのブランドを使用している」という事をわかりやすく伝えてくれますので、ユーザーが自らソーシャルで投稿してくれる確率が高い。ブランドロイヤリティが高ければ高いほどUGCが多く発生しますので、製品にはロゴの付いたものは必須です。一般的に多いのはロゴTシャツでしょうか。定番で毎シーズン出しているブランドもあるでしょうし、売れる枚数がロイヤリティのバロメーターとも言えます。
アイコンアイテムも同様ですね。有名ブランドのバッグなどが顕著ですが、同じ理由でUGCが発生しやすい。つまり、ブランドのコアなファンからのシェアを生み出す事は、製品を使えば今からでも可能なのです。アイコンが設計されていない場合はすぐ取り掛かりましょう。
エントリーしやすいもの
どのブランドにも「エントリーライン」と呼ばれるアイテムがあったりするものですが、比較的安価であったり汎用性の高いものがそれに当たりますね。

ルイヴィトンのネヴァーフルなんてわかりやすい例ですね。このようにラグジュアリーでもエントリーラインが用意されている事例はあるのです。
そしてエントリーしやすいものって、普段から店頭で認識されているようなアイテムでなければならないという訳でもなく、エコバッグなんかでも良いんです。使ってもらえるとブランド認知は確実に広がります。

ブランド力があって、他の製品と比較すると安価で使い勝手が良い場合に特に広がりやすい傾向にあります。

ブランドがカフェを展開するケースもUGCは発生します。服を買うよりカフェに入る方が格段にエントリーしやすいのは言うまでもないですね。
認知しやすいデザイン
デザインが個性的であり、ソーシャルで認知されやすくブランドの知名度が広がったケースもあります。
上記はリトルスージーというブランドですが、タンクトップのデザインがキャッチーで、とにかくInstagramでのUGCが増え、認知が高まったブランドの好例です。
これらを見て頂ければわかる通り、全てが製品に関わるものです。つまりUGCを発生させる手段の一つは製品戦略だったりします。ここではWebのスキルなんて全く関係無いのです。
インフルエンサーブランドはUGC生成のお手本?
製品戦略の要素以外でUGCが発生するケースももちろんあります。特にインフルエンサーブランドによく見られる手法が下記になります。
商品が完売した時
売上好調なインフルエンサーブランドではまず売り切れる分しか仕入れしません。しかも売り切る時間も「100点を3時間」と非常に高いハードルを設定しています。それが原因なのか早々に完売した場合、買えなかった顧客はその残念さをソーシャルに投稿します。Instagramのストーリーズが多いですね。それがユーザー間で広まり、「あのブランドは早めに買わないとすぐ無くなる」という認知に繋がります。結果、ブランド力が高くなっていく、という好循環。商品の完売はMD的な視点だけでなく、ソーシャル上でブランドの付加価値を高める効果も持ち合わせているのです。これ、偶然の産物ではなく「売り切る事」でポジティブな拡散があるのをわかってやってるんです。
サンキューレター
憧れのインフルエンサーが手書きでサンキューレターを届けてくれたとしたら顧客はどう思うでしょうか?当然、感極まってソーシャルに投稿します。これもInstagramのストーリーズ中心ですね。サンキューレター自体は、リアルショップがある頃からの文化ですが、インフルエンサーが実行する事でより効果が大きくなります。形だけ真似するのではなく、心が籠もっているかどうかは重要です。熱量の無い物ってすぐばれますから、「これやっておけばいいんでしょ」といった気持ちならやらない方がいいでしょう。
どちらも顧客と接点を持った時に、どういう行動を起こすかですね。常に顧客の事を考え、真摯に向き合う事で施策は生まれます。テクニック論的なお話をしましたが、大事なのは当事者の熱量です。それが担保されない施策なら、どれだけ正攻法でもUGCは発生しづらいのでご注意ください。