今回は番外編
現在、”売価とは?原価とは?粗利益とは?値入とは?”という、記事を複数回にわたって記載しています。
前回の話は、商品をセール・割引・値引きして売れば、粗利益が下がる!という話でした。そこで今回は、前回までの話を受けた上で、番外編として、
なぜ、マーチャンダイザー(以下MD)にとって”粗利益”が大事なのか?
という話をさせて頂きます。
マーチャンダイザーの仕事の目的を改めて。
以前、この連載の中で、マーチャンダイザーの仕事の目的は、
”品揃え政策という仕事を通じて、組織の売上。そして粗利益をより獲得すること!”だとお伝えしました。
では、何故売上だけでなく、”粗利益”が大事なのか?を、今回は視点を変え説明できればと思います。
黒字?赤字?P/Lって何??
読者の皆さんは、よくニュースや新聞などで、
”ある企業(組織)が黒字で儲かっている。”または、”ある企業(組織)が赤字に陥った?”
等ということを聞いたことはありませんか?
おそらく、皆さんの今働いている職場でも、上記の言葉は、耳にしたことがある筈です。
これは、企業・組織の損益計算書(P/L)の利益の部分のことを指しています。

損益計算書には、以下のような項目があります。
・売上
・売上総利益(粗利益)*売上総利益と粗利益は同じ意味
・売上原価
・販売管理費及び一般管理費
・営業利益
本当のことを言うと、粗利益・営業利益以外にも、あと3つの利益の項目があるのですが、今回は、マーチャンダイジング(以下MD)に関することになりますから、営業利益以外は削除させて頂きます。
販管費?営業利益って何??
この項目の中で、売上・売上総利益(粗利益)・売上原価のことは、以前の記事に登場しています。登場していないのは、
・販売管理費及び一般管理費
・営業利益
になります。以下そのことを簡単に説明すると。
〇販売管理費及び一般管理費とは?
この言葉は、よく販管費や経費等という言葉で表現されます。
簡単に言えば、企業が事業を運営する際に、必要な費用のことです。
小売事業を運営する際には、人件費や店舗の家賃・光熱費などが必要になります。また、商品を運搬する際の物流費。店舗内装等の設備費用も必要です。そのような事業を運営する際にかかる、費用諸々のことを言います。
〇営業利益とは?
営業利益を以下数式で表すと??
営業利益=(売上ー売上原価)ー販売管理費及び一般管理費
となります。売上ー売上原価=粗利益のことになりますから。。。
営業利益=粗利益(売上総利益)ー販売管理費及び一般管理費
これがプラスになれば、その分だけ黒字。(粗利益高>販管費)
マイナスになれば、その分だけ赤字だということです。(粗利益高<販管費)
損益計算書とは、ある一定の期間で、企業や組織が、どのくらいの利益を上げたか?(儲かったか)もしくは、どのくらいの損を出したか?ということを表す、(企業・組織にとっての)成績表のようなものといえるでしょう。
粗利益を多く獲得する!ということは?
営業利益のプラス。つまり黒字が多ければ多いほど、その事業はうまくいっている!優秀とされます。逆に、営業利益がマイナス。赤字が続くと、場合によっては、その企業は倒産に追い込まれます。
よく、企業・組織内の経費を削減しよう!という声があがるのも、上記の数式を見れば、わかる通り、営業利益がプラスになる可能性が上がるからです。
ですが、この連載を長く読んでいただいている皆さんならば、上記の数式を読んで理解して頂けたと思います。それは、何か?
粗利益を多く獲得出来れば出来るほど、その組織(事業部)が黒字になりやすい!営業利益が多く出やすい!ということです。
例えば、売上1億円の組織で粗利率が40%。販管費が4,200万円の組織であれば、営業利益が▲200万円。200万円の赤字です。
ですが、売上9,000万円の組織で粗利率が50%。販管費が4,200万円の組織であれば、営業利益が300万円。300万円の黒字になります。
上記の例のように、売上が1億円満たなくとも、粗利率が高く、粗利益が多く出れば、黒字になります。
前回の記事に照らして考えれば、売上だけは良くても、セールのしすぎ等で、粗利益をより多く獲得することが出来なかったら、場合によっては、事業部が赤字になる可能性が高まるということです。
このことを理解して頂けたしょうか??だからこそ、MDの仕事の目的は、
”品揃え政策という仕事を通じて、組織の売上。そして粗利益をより獲得すること!”
になるのです。
このことを踏まえ、次回からは再び話を戻し✋
前回の記事でお伝えした、粗利率やOFF率の計算ができるようになるということは、マーチャンダイザーの仕事の目的を考えても重要なことです。
で✋次回以降は、そのことについての問題を何問か出します。是非、皆さんチャレンジしてみてください。
では皆様。次回をお楽しみに。