アパレル小売りにおける”ロス”と”粗利益”の関係

アパレル小売りにおける”ロス”と”粗利益”の関係

アパレル小売りにおける”ロス”と”粗利益”の関係

”ロス”って何??

今回は、アパレル小売業における”ロス”の話をします。

”ロス”の言葉の意味は?
→失う。喪失する。損失。無駄。等の意味があります。
アパレル小売業における、”ロス”とは、どういうケースが考えられるのか?というと。

・販売員の方には、一番身近な?”盗難”。
・商品の管理が悪く”B品(不良品)化し、売り物として成立しない商品

その他にも要因がありますが、上記のようなケースでロスは発生します。
また、商品が売れ残り、どうしようもない場合、商品を廃棄する場合があるかもしれません。そのことも廃棄ロスなどと言われます。

小売業におけるロスは、実地棚卸の際に判明します。このことを簡単に説明すると。

オープン在庫が1,000点。1か月の間入荷した商品が500点。そして、その1か月の間に売れた商品が1,300点だとしたら、1か月営業終了後の商品は、絶対に200点なければなりません。
しかし、実地棚卸で在庫を数えてみたら、190点しかなかった。理論上は、絶対に在庫は
200点なければなりませんから、その商品10点が、なんらかの理由でロスした!ということになります。

 

ロスが粗利益に与える影響とは?

上記のことを踏まえ、あるケースを基に“ロス”を考えてみましょう。

”バイヤーBさんが1点1000円の元売価。仕入原価400円で仕入れたバッグが、1か月で1,000点が元売価で売れ、100万円の売上になった。しかし1か月後。棚卸をしたら、バッグは100点無くなっていることが判明した。”

上記のケースの場合。
売上は100万円。荒利高は60万円。荒利率は60%になります。
しかし、棚卸をしたら、ある筈のバッグが100個なくなっていますから、当然ですが、その分を荒利益から引かなければならない!ということになります。

このことを、会計学で言うと、ロスしたバッグの原価は、売上原価に計上しなければならない!ということになります。逆に言えば、粗利益からロス原価分を引かなければならない!ということです。

このことを、図にすると以下のようになります。

 

 

40,000円(なくなったバッグのロス原価)+売上原価40万円=44万円(ロス計上後の売上原価)
100万円(売上)-44万(ロス計上後売上原価)=56万円(ロス後の粗利益)
56万円(ロス後の粗利益)÷100万円(売上)=56%(粗利率)

上記のケースの場合。ロス前には、60万円あった荒利益が、なんらかの理由でバッグがロスしたことで、56万円に粗利益が減った!ということになります。

ロス率は?
40,000円(ロス原価)÷100万円(売上)=4%(ロス率)
になります。

因みに上記のケースでは、ロス前は”荒”。ロス後は”粗”と漢字を使いわけていますが、マーチャンダイザー(以下MD)が使うのは、ロス後の”粗利益”になります。このことを覚えておいてください。

 

粗利を何故ロス前とロス後で管理するの??

では、なぜ上記のように私はロス前・ロス後と、粗利をわけて管理しているのでしょうか?
それは、MDだけでなく組織にとってロスを削減する!ということは、大事なことだからです。

例えば、売上100億円の組織が、ロス率を1%削減しただけで、1億円の粗利益が増えます。たかが、1%かもしれませんが、1億円の粗利益が増えれば、コピー用紙削減等の下手な販管費削減よりも、よっぽどインパクトが大きい!ということです。

ロスの要因は、前述したように、盗難。B品等が要因となります。

特に、B品の要因は、商品を作る側にも問題があるのですが、ほとんどの組織が検品という検査をクリアした商品です。
ということは💡物流倉庫や店舗。店舗のバックヤード等でも、B品ロスが増える要因がある!ということになります。

整理整頓の行き届いていない、物流倉庫や店舗のバックヤードは、B品ロスが増える要因と言えます。だからこそ、事前に、商品をストックできる量や、実務者の作業スペース等などに配慮した内装を考えることは、事業責任者にとっては、必須のことです。

また、管理者の常日頃の意識も、ロス率がアップする要因ともなります。よく、「店長にロス率は付いてくる!」とも言われ、ロス率の結果は、店長評価の基準の一つともなりえるので、このことを読者の皆さんは、ぜひ覚えておいてください。(要は、店長によってバックヤードの整理整頓に差が出るということ。)

では、次回は少し違う目線で、商品を値引き・割引して売るということを考えてみたいと思います。

では皆様。次回をお楽しみに。