・問題の解答~後編です~
前回の記事では、売価・原価・値入・粗利の章の総まとめとして、5問出した問題のうち、2問の答えを解説しました。今回の記事では、残り3問の解答をして、売価・原価・値入・粗利の章の最後の回となります。
では、残り3問の答えを以下発表致します。
問題③の答え
問題③
元売価1,000円。値入率60%で商品を100枚仕入れた。75枚はセールしないで売れた。残り25枚は40%オフしたら全部売れた。粗利率は何%になるでしょうか?
この問題は、さほど難しくはないでしょう。以下、説明すると。
*セールしないで売れた商品が75枚売れたということは?
→1,000円×75枚=75,000円
*残り25枚は40%オフして全部売ったということは?
→((1,000円×(1-40%))×25枚=15,000円
*売上は?
75,000円+15,000円=90,000円の売上になります。
問題は粗利率は何%になるという問題です。上記の計算で売上は確定しています。
この問題を解く方法は、無数にあるのですが、粗利益は?
→売上ー売上原価=粗利益
になりますので、売上原価がわかれば、粗利益がわかる!ということです。
*この商品1枚あたりの仕入原価は?
→1,000円×(1-60%)=400円になります。
ということは💡今回は、100枚全部売り切っているのですから、売上原価は?
400円(商品1枚あたりの原価)×100枚(売れた枚数)=40,000円が売上原価になります。
ということは💡
→90,000円(売上)-40,000円(売上原価)=50,000円が粗利益高です。
問題は、粗利率が何%?ということでしたから。
→50,000円(粗利益高)÷90,000(売上)=55.6%(粗利率)
答えは55.6%です。
問題④の答え
では、次は問題④の答えです。
問題④
元売価1,000円。値入率60%で商品を100枚仕入れた。75枚はセールしないで売れた。残り25枚を30%オフで売ったが10枚余った。残った10枚は廃棄処分にした。(通常、服は早々廃棄処分にはしないが、今回は便宜上)すると、粗利率は何%になりますか?
セールしないで売れた商品が75枚売れたということは?
→1,000円×75枚=75,000円
残り25枚は30%オフして10枚余った?ということですから、15枚が売れたということになります。
→((1,000円×(1-30%))×15枚=10,500円
売上は?
→75,000円+10,500円=85,500円の売上になります。
今回の問題は、商品が10枚余っていますから、売れた枚数は90枚です。ということは💡ロス前の売上原価がわかります。
→400円(商品1枚あたりの原価)×90枚(売れた枚数)=36,000円が、ロス前の売上原価になります。
ということは💡ロス前の荒利益高は?
→85,500円(売上)-36,000円(売上原価)=49,500円(荒利益高)
ロス前の荒利率は??
→49,500円(荒利益高)÷85,500円(売上)=57.8%が荒利率になります。
しかしながら、今回の問題は残った商品を廃棄処分にしているのですから、その分廃棄ロスが発生します。廃棄ロスの金額は?
→400円(商品1枚あたりの原価)×10枚(残った枚数)=4,000円が廃棄ロス原価です。
ロス原価分は、売上原価に計上しなければなりません。4,000円のロス原価分を売上原価に計上するということは?荒利高が4,000円減るということと同じです。
結果。
49,500円(荒利益高)-4,000円(廃棄ロス原価)=45,500円がロスを加味した、粗利益高になります。
この問題は、粗利率は何%か?ということですから。
45,500円(粗利益高)÷85,500円(売上)=53.2%(粗利率)
53.2%が問題④の正解です。
問題⑤の答え
最後に問題⑤の答えです。
問題⑤
問題③と問題④は同じ商品であったとすると、MD的思考では、どちらのケースが、よりベターな結果だと言えるでしょうか?
これ問題の出し方がよくないのですが💦そもそもロス前の段階で、粗利高が問題③の方が高いわけですから、問題③が正解です。m(__)m
粗利率のみの優劣で言うと、問題③の答え55.6%>問題④の答え53.2%
これも問題③の方が高くなります。
今回の問題では、途中から30%オフで多少在庫を残すよりも、途中から40%オフで全部売り切った方が、MD的思考ではベターの選択になるということです。
今回で、売価・原価・値入・粗利の章は最後になりますが、皆様いかがでしたでしょうか?
次回は、マーチャンダイザーにとっての重要な粗利益について、より深く考えていきたいと思います。
次回も、お楽しみに。