粗利益を深く考えてみよう!③

粗利益を深く考えてみよう!③

粗利益を深く考えてみよう!③

前回の記事の振り返り

前回の記事では、粗利益を多く獲得する方法を分解し、付加価値について考えていきました。

販売員の力量やプロモーションも付加価値になりますし、安い商品やセール商材も、商品1点あたりの付加価値は下がりますが、多く売れば、そのこと自体が付加価値にもなりうる。ということをお伝えしました。

改めて前回使用した図を以下確認してください。(この分解の仕方は、私の独断と偏見です)


粗利益を多く獲得するには??

① (より)売上をあげる
② (より)粗利率をあげる

2つの方法が考えられるということを、前回までの記事でお伝えしてます。今回は、②の(より)粗利率を上げる!ということにスポットをあてて考えていきましょう。

値入率を良くする際に考えなければならないこと

この②も、更に分解して考えてみると、以下のことが考えられます。

A (より)値入率を上げる(仕入原価率を下げる)
B セールを(なるべく)抑制して売る

まずは、Aの(より)値入率を上げる(仕入原価率を下げる)この手法を考えてみましょう。
このことは、以前の記事でもお伝えしましたが、粗利益を多く獲得する!ための、ある意味一番手っ取り早い手段といえます。
値入率が良ければ、仮にその商品が元売価(プロパー)で売れず、セールをして売ったとしても、多くの粗利益が確保できる可能性が高まります。
ですから、MDとしては、なるべく値入率を良くする!というのは、目的に準じた大切な仕事になりますし、その努力を怠ってはいけません。

しかしながら、アパレル・ファッション小売業界の場合は、この値入率を上げるということが、手段ではなく、目的として常態化している組織も多くあります。

値入率をよくするために、商品の出来や見栄えを妥協するようなことが常態化するれば、それはお客様に見破られ、セールしても売れず、粗利益を獲得することができない!なんてことも、この業界ではよく見られる光景です。

また、値入率を守ることが目的化すると、商品の価格が上がる可能性があります。そうなると、そのブランド・ショップの元の価格コンセプトは崩れ、客離れを起こす可能性も高まります。

あと、当然値入率が高い商品を、お客様に購入して頂くためには、商品そのものの付加価値が必要です。しかし、商品の付加価値のことは、のちに触れるとして、次はBのセールを(なるべく)抑制して売る。ということを考えていきます。

セールを抑制することを考えてみる

このことは、重要なことで、セールを抑制したある組織は、売上は前年割れながら、粗利率が2.8%改善したことで、前年の赤字から黒字に転換しました。(しかし、多くの在庫を残してしまったが(笑))

Bを、私の独断と偏見で更に分解して考えると、以下のようになります。

B-1 MD予算設計・期中運用の精度を上げる(売れる分だけ仕入れる体制)
B-2 お客様にあまりセールをしない店ということを認知してもらう

B-1に関しては、私の専門であるのですが、要は売れる分だけ仕入れるという体系作り。そのことと、事前の準備。とくにどれくらいセールをしてもいいの?ということと、明確な売上と粗利ターゲットを設定する!ということになります。

アパレル・ファッション小売業界の場合。このことが稚拙な組織が多く、在庫が多く残る。そして、セールを余儀なくされ、粗利益を喪失している組織が多いのも現状です。ですから、MDの数字的な運用の精度を上げる!このことも”付加価値”となりうるのです。(このことは、いつかこの連載の中でお伝えできればと考えています。)

最後にB-2。このことは、当然ブランド・ショップそのものの付加価値が必要になります。とくに、そういったセールをあまりしない!といったイメージを、お客様に認知してもらうには、当然商品の付加価値が大部分を占める!ということになります。

前回・今回の記事とありとあらゆる場面で、商品の付加価値が高いと、粗利益を多く獲得できる可能性が上がる!ということが出てきました。ということで✋次回は、商品の付加価値って、どんなんが考えられるの?ということを考えていきます。

では、皆さん。次回もお楽しみに。