売上・粗利・仕入・在庫管理表に触れてみよう②
なぜ売上・粗利・仕入・在庫表を使用することがベターなのか?
前回の記事では、売上・粗利・仕入・在庫表(以下OTB表)の構造を知ってもらうために、問題を出し、その解答をしました。
今回の記事では、OTB表がうまく運用できれば、どのような効果が上がるのか?ということを話していきます。
以前もこの連載で記載しましたが、そもそもOTB表を使用することが、ベターとされている理由を以下申しますと。。。
①先を読むための管理会計の使い方
→先の売上予測や仕入実績・見込みを、表で表現することにより、過去を受けて、これからどのような施策を実践していけば、先の状況がよりよくなるのか?という、船にとっての羅針盤の役割を果たす!ということ。
②企業文化と指標を一気通貫で考えることのできる帳票の使い方。
→先の表現を、できるだけ自社ブランド・ショップの顧客心理・動向を具体的に表現できること。
そして、そのことが、売上だけでなく粗利・仕入・在庫と一気通貫で表現することで、より先の施策を具体的にする。ということ。
このことであります。
売上・粗利・仕入・在庫表で管理することで得られる効果とは?
そして、このOTB表の管理・運用がうまいこといけば、私の独断と偏見でしかありませんが、以下の効果が上がります。
A 粗利益の向上
B 在庫回転の向上
この2つです。例えば、年間100億円の売上の組織で、粗利率が1%改善されれば、粗利益が1億円増えます。販管費を1億円削減することと、ある意味同等の効果が上がる可能性が高まります。
販管費1億円を削減するのは、意外に大変であり、方法を間違えると社員のモチベーション低下にも繋がる恐れがあります。
であるならば💡経営的には、まずはOTB表の運用等で、MDの数字面の改善する方がよっぽど手っ取り早い方法!と言えるかもしれません。
また、平均在庫15億円の事業部の年間回転率が3から4に向上すれば、平均在庫15億円の金額回収期間が4か月から3か月に短縮でき、事業部のキャッシュフローが劇的に改善される。等の効果も得られます。
しかしながら、上記であげたA・Bの2つの項目は実は矛盾していることになります。
粗利益高を多く獲得するには、粗利率を向上させることが一番手っ取り早い方法です。
ですが、粗利率に拘るがあまり、セール等の在庫削減施策を怠ると、売上点数が減り、平均在庫が高まります。そうなると、在庫回転の向上は見込めません。
ですから、OTB表を運用する際は、粗利にも目を配りながら、在庫をコントロールする!ということを実践しなければなりません。
交差比率とは?
因みに、よく経営指標で使われる、交差比率というものがあります。交差比率は、以下のような数式で成り立っています。
粗利率×在庫回転率
例えば、年間の粗利率が50%で在庫回転率が3ならば。。。
50%×3=150
という表現をされます。粗利率が30%と低めの数字でも、在庫回転率は6ならば180となります。
この交差比率は、高ければ高いほど優秀とされますが、UNIQLOの交差比率より、しまむらが高いと推測されるように、あくまで目安でしかありません。
ですから、この交差比率は、自分たちにとってのベターと言える目標を掲げるべきでしょう。次回は、今回この記事でも触れた”在庫回転率”のことを、もっと詳しく述べていきます。
では、皆さん。次回も楽しみに。