仕入予算は適当に考えたらダメ⑤
今回もAさんのバッグ屋をモデルに仕入予算について考えていきます。
Aさんのバッグ屋の目標数字は以下の通りです。
・売上予算 1億1千万円
・粗利率予算 50%
・仕入原価予算 5,500万円
・値入率設定 60%
・仕入元売価予算 1億3,750万円
・年間OFF率 20%
前回の記事では、値入率と粗利率の設定をする!ということが、ある意味運営上のブランドコンセプトを決めることに繋がります。ということをお伝えしました。今回は、値入率と粗利率の設定が、何を意味しているのか?ということを詳しく説明していきます。
値入率と粗利率の差が大きい場合
今回のAさんのバッグ屋のケースでは、粗利率が50%設定になっていますが、仮に、値入率が75%に設定し、値入率と粗利率の差が25%と大きい差があった場合。どのようなことになるでしょうか?
このケースを仕入元売価予算として置き換えると、以下のようになります。
5,500万円÷(1-75%)=2億2千万円(仕入元売価予算)
このケースですと、売上予算の2倍もの元売価金額が仕入可能になります。
言い換えれば。。。
1億1千万円(売価変更可能額)÷2億2千万(仕入元売価予算)=50%(年間OFF率)
となり、セールを前提としたような運営上のブランドコンセプトになり、仕入必要数量が大幅に増えます。
・このケースのメリットとしては?
→商品が顧客支持されセールせずとも売れた場合、マックス売上2.2億円。粗利率75%で多くの利益が出る。
→仕入点数が多いので、比較的売上・粗利率予算達成することが容易である。
→仕入点数が多いので、ミニマムロットをこなしやすい場合がある。
このようなところでしょうか?
・デメリットは?
→仕入点数が多いので、在庫過多に陥りやすい。
→過度なセールをしないと在庫はなくならないので、顧客に不信を招きやすい。
このようなことでしょうか。
では、このケースの場合。MDはどう判断したら良いのか?というと。
(基本的には)値入率が75%確保できるのであれば、粗利率の目標を上げるべきです!
値入率と粗利率の差が大きすぎると過度なセール施策を強いられるのですから、ブランド・ショップコンセプトに基づいたセール施策を設定(OFF率の設定)をすべきです。
仮に今回、Aさんが年間2度のセールを基本に考え、それ以外はプロパー商売をする!ということが、ショップコンセプトであるならば、最低でも65%以上の粗利率に設定すべきでしょう。(このケースで年間約30%OFF)
次回は、値入率と粗利率の設定が殆どない場合のケースと、仕入原価予算管理の弱点についてお話していきます。
では、皆さん次回もお楽しみに。