残る在庫のことはどう考えたら良いの?③
前回の記事で残った在庫をどう考えるのか?ということをAさんのバッグ屋をモデルに考えていきました。
その結果は、以下のようになります
・売上予算 1億1千万円
・粗利率予算 50%
・仕入原価予算 5,500万円
・値入率設定 60%
・仕入元売価予算 1億3,750万円
・年間OFF率 20%
そして、過去の特売セールでの、前年の残り物(キャリー品)の消化実績は、調べると売上原価は、1年で約611万円!でした。
(Aさんのバッグ屋の1年での仕入可能原価金額)
→5,500万円+約611万円=約6,111万円
→6,111万円 ÷ 40% = 約1億5,278万円
となり、売上予算1億1千万円の約139%のもの仕入が可能になります。

消化率の目標未達の場合は、ペナルティを!
ここで、今回のAさんのバッグ屋のプロパー事業(通常店舗での営業活動)での、1年での消化率の計算をすると、以下のようになります。
→5,500万円+約6,111万円=90%
このようになります。これは、1年での売上原価5,500万円に対して、翌年在庫を余らせる前提で約6,111万円の原価分を仕入したわけですから、上記のようになります。因みにこのことを点数計算しても、基本的には答えは同じです。
上記のケースは言い方を変えれば。。。
Aさんのバッグ屋のプロパー事業は、消化率90%以上は死守してね!
という目標設定になる!と考えることもできます。
ですから、目標未達で90%以下の消化率だった場合は、(組織によっては)何かしらのペナルティを課した方が良いかもしれません。この話は、次回の記事で詳しくお話できればと思います。
アウトレットで売れるからといって、プロパー事業部の消化率を低く設定するのは本末転倒
ここで話を戻し、上記のような消化率の目標設定をどう考えるのか?ということが重要です。
これまでお話したように、次年度アウトレット(以下OL)や催事で売り切れる金額を目標にする!ということも大事なのですが、そうすると仮に異常なまでに、OLや催事ファミリーセールでの売上が大きかったとしたらどうでしょうか?
例えば、今回のAさんのバッグ屋の例で言うと。
過去の特売セールでの実績を調べると、前述した例の倍の金額約1,222万円の売上原価分の消化実績があったとします。すると、Aさんのバッグ屋のプロパー事業の消化率の目標は?
→5,500万円÷約6,722万円=約82%
となってしまいます。
本当にこれで良いのでしょうか?
いくらOLや催事でのキャリー品の消化点数が多くても、この消化率目標ではプロパー事業で大量に商品を残しても良い!という意識になってしまい、MDの精度が下がるばかりか、翌年、キャリー品を消化するには、より大きい値引き施策が必要になりますから、粗利率も低下し、組織全体の粗利を押し下げます。
ですから、いくらOLや催事でよく商品が売れるから大丈夫!だと言っても、プロパー事業の消化率の目標はある程度の高い目標を設定することをオススメします。
次回は、今回の記事のことを別の視点でお話したいと思います。
では、皆さん。次回もお楽しみに。