前回の記事では、残しても良い消化率の設定をどうするべきか?ということを考えていきました。また、消化率以外にも残在庫ロス率という目標設定の仕方があるということもお伝えしました。
今回は、この”残る在庫のことはどう考えたら良いの?”というシリーズの纏めをお伝えします。
今回もAさんのバッグ屋の例で説明していきます。
・売上予算 1億1千万円
・粗利率予算 50%
・仕入原価予算 5,500万円
・値入率設定 60%
・仕入元売価予算 1億3,750万円
・年間OFF率 20%
・消化率設定 90%
・残してもよい在庫原価611万円
このようになっています。
そして、残ったキャリー品は、次年度アウトレット(以下OL)や催事やファミリーセール等で売り切れる金額を目標にする!
ということで、下記催事の各予算目標を立てます。
・売上予算 約764万円
・粗利率予算 20%
・年間OFF率 50%
以上のように目標設定を立てました。
この目標を見ると、催事はかなりのOFF想定をしています。今回のAさんのバッグ屋のケースでは、別会場で短期間で売り切りたいものです(笑)
プロパー店舗と催事の数字を合計すると?
因みにプロパー店舗と催事の数字を合算すると。。。
・売上予算 約1億1,764万円
・粗利率予算 約48%
・粗利益高予算 約5,653万円
・売上原価高 約6,111万円
以上にようになります。
この数字が、Aさんの会社の1年単位での損益計算書と見ることもできるでしょう。
当初の販管費5,000万円よりも、催事を実践することで多少の販管費増はあるでしょうが、損益的におそらく黒字にはなる筈です。
では、上記の数字を見て皆さん。何かお気づきになることはないでしょうかそうです。Aさんの会社の損益計算書の売上原価が6,111万円になっています。
今回のケースでは、Aさんのバッグ屋のプロパー店は、消化率90%で約611万円の在庫を残しても良いということになっていました。ということは。。。
プロパー店で仕入可能な原価金額は約6,111万円になる!
とこれまでの記事でお伝えしました。
すると、Aさんの会社の損益計算書の売上原価と、Aさんのプロパー店の仕入原価の金額は一致し、損益上の売上原価高÷仕入原価は?
6,111万円(売上原価)÷6,111万円(仕入原価)=100%
となり、Aさんの会社の決算期ベースでの、1年での消化率は100%となります。
何故ならば、催事店に用意したバッグは前年の残り物ですから、催事店用のバッグの仕入はしていない!ということになるからです。
今回のケースでは、バッグは1年目に消化を90%して、2年目でセールで完全消化する!という2年償却で考えた計画ということになります。
このような在庫消化計画を事前に計画しておく!ということが、在庫の消化に繋がります。また、このことは”売れる分だけ仕入れる”という仕入の原則にも繋がりますので、今回の記事を是非参考にして頂ければ幸いです。
次回は、定番品の仕入予算の設定は”売れる分だけ仕入れる!”ではいけない?ということを記事にしていきます。
では、皆さん。次回もお楽しみに。