定番品の仕入予算設計は”売れる分だけ仕入する!”でいいの?①

定番品の仕入予算設計は”売れる分だけ仕入する!”でいいの?①

定番品の仕入予算設計は”売れる分だけ仕入する!”でいいの?①

今回は、定番品の仕入予算設計に関してのお話をさせて頂きます。

以前、この連載で仕入予算設計の基本は、”売れる分だけ仕入する!”ことが大前提というお話をさせて頂きました。

しかしながら、定番品と言われる商品の場合。この”売れる分だけ仕入する!”という大前提が通用しないことがあります。

定番品の定義はどうなっていますか?

この読者の皆様方の組織において、”定番品”と言われる商品を展開しているブランド・ショップは多くあると思います。

ここで話を少し変えますが、定番品を多く品揃えしている組織は、はっきり申しまして在庫過多に陥っている組織が殆どです。これは、私がこの仕事始めて、多くの組織をみていきましたが、総じてそのような状況でした。
その理由の一つは。。。

商品管理ルールおける”定番品”という定義が曖昧だからです。

顧客に向けて、商品の定番性をアピールすることは、いくらでもしても構いませんが、定義が曖昧なまま商品の管理ルールに”定番品””ステイブル商品”等という概念を組み込むと、間違いなく在庫が増えます。
私は、アパレル小売り業界で商品管理ルールに、”定番品”という概念は、基本必要ないと思っています。以下、そのことを踏まえて、定番品の仕入予算設計を考えよう!ということでお伝えしていきます。

販売期間が決まっている商品は”売れる分だけ仕入する!”が成立する

まず、売れる分だけ仕入れるということを、今までと違う視点でお話しするために、以下の条件をご覧ください。

(あるアパレル小売組織のA)

・定番品の定義は1年中店頭で展開している商品
・更に言う定番品の定義は、数年来に渡って年中展開している商品
そして、その他のルールは以下の通りです。
・決算月は2月末(今回は2020年3月~2021年2月末)
・この組織の2020年度の春商品の販売期間は2019年12月~2020年4月末 

ということにします。
以下の図①をご覧くださいm(__)m

この図は縦軸は、決算期ベースになっています。横軸は商品ベースです。緑の棒が2020年春物商品で青の棒が定番品となっています。

この図の縦軸を見ると、2020年2月末時点での春物商品在庫と定番品在庫を足したのが、2021年2月期での期首在庫(2020年3月1日のオープン前在庫)ということになります。

この春物商品に絞ったケースの場合。仕入予算を設計するのが難しく感じると思いますが、横軸の商品軸で見れば、2020年春物商品の販売期間は明確に決まっているので(2019年12月~2020年4月まで)、この期間に対して、”売れる分だけ仕入れる!”という仕入予算設計をすれば良いわけです。(実際の仕入予算設計をするのは、少しややこしいが。。。)

上記の図を見てご理解頂けるように、2020年度春物商品は、区切られた販売期間での売上分を仕入予算設計すればいいわけでありますから、新規商品扱いの2020年春物商品は、2019年12月以前には、在庫は存在しない!ということになります。以下の図②は仕入予算設計イメージです。

しかしながら、図①の青色の定番品の棒をご覧くださいm(__)m

この定番品は、図をみても理解できるように、年がら年中売っているわけですから、基本的に常に在庫は存在します。
このような定番品の仕入予算設計は、2021年2月期の数字をベースで仕入予算設計するわけですから、2020年3月頭時点での期首在庫の金額がどれくらいあるのか?ということが重要になってきます。

定番品の仕入予算設計は、果たして”売れる分だけ仕入する!”で良いのか?ということを、次回述べていきます。

では、皆さん。次回もお楽しみに。