アパレル・ファッションECのSEO対策はどうしたら良い?

アパレル・ファッションECのSEO対策はどうしたら良い?

アパレル・ファッションECのSEO対策はどうしたら良い?

アパレル・ファッション関連のECサイトにおいて検索流入の対策は軽視されがちな印象があります。理由はいくつかあるのですが、

■ブランドは「指名検索」が発生していなければ売れにくい

■広告やSNSからの流入促進が優先されやすい

あたりでしょうか。筆者が現場で支援に入る際も「検索以外」のチャネルにて「課題がある」と思われているお客様は多いのですが、実はそんな中でも検索対策を施せば機会損失が回避できた、というケースは多々ございます。誰でもできる簡単な対策もあるのですが、意外と手を付けていない方々が多いのでこちらで簡単に記載しておきたいと思います。

 

アパレル・ファッションのECサイトにSEOは必要ない?

冒頭でも書きましたが、よくこのようなお話が出てきます。これ、言っている意味としてはおそらく、

「ビッグキーワードを狙うことに意味は無い」

という話かと。例えばとあるファッションブランドが「ブラウス」というキーワードで上位を狙ったとしましょう。その場合、様々な競合サイトが検索上位に並びます。その中には広告宣伝費を潤沢にかけている大手の有名ブランドも出てくれば、膨大なSKUを誇る大手のECモールが表示されたりします。雑に言いますと、「認知度が高い」「SKUが多い」ECサイトは検索で上位表示されやすいので、競合した際に大概は負けてしまいます。また、仮に上位表示されたとしても、ブランドとして大手より認知が低いものは購入まで至る可能性は低いでしょう。物と価格のバランスでも比較されますし、物を知らない場合は単純に安いものが選ばれやすいです。そんな理由でビッグキーワードを狙うことは非常に費用対効果が悪いのです。

上記のような事情がありますから、結局アパレル・ファッションECの検索対策は「いかに指名検索のボリュームを増やすか?」になりますし、その場合は雑誌掲載や出店等の施策の方が重要になります。また、リスティング広告でビッグキーワードに入札しても購入に至る可能性は低いでしょう。

※プチプラでSKUが多いサイトは少なからず勝機がありますし、筆者のお客様でもビッグキーワードで検索1ページ目に表示された結果、そのページ経由での売上が急増した、という事例はございます。対策を施すなら「ブランド属性」や「どのアイテムなら勝機があるか?」は事前に確認が必要でしょう。

指名検索が発生している場合は機会損失していないか要チェック

ではどういった際に検索対策が必要になるのでしょうか。それは自社ブランドにて既に「指名検索」が多く発生している場合です。

「指名検索が発生していれば、すぐ売れるのでは?」

と思われるかもしれませんが、これが上手く最適化できていないケースが多いのです。最大の理由は、

「指名検索の中でも検索ニーズは細かく分かれる」

からですね。search consoleのデータから一度、ブランド名だけを絞り込んでクエリを確認してみてください。下記のようなクエリが多く見られませんでしょうか。

search consoleにて、

検索パフォーマンス→「+新規」をクリック→「検索キーワード」にてブランド名を入力

※「平均CTR」「平均掲載順位」も表示させておいてください。

  

①「ブランド名 アイテムカテゴリー名」 

②「ブランド名 店舗」 

③「ブランド名 地域名」

④「ブランド名 取り扱い店舗名」

などが表示されるかと思います。これ、見ればお分かりかと思いますが、それぞれのユーザーによってニーズが違いますね。では細かく見ていきたいと思います。

クエリごとに実行する対策は異なる

ではまず、

①「ブランド名 アイテムカテゴリー名」

での検索ですが、これはユーザーがそのブランドのアイテム群を検索しようとしています。自社ブランドのアイテムなんだから当然効果は高い…、と思われがちですが、クリック率を確認してみてください。アイテムによってばらつきがありますし、中にはクリック率が10%を切っているものも珍しくありません。何故このようなことが発生するのでしょうか。主な理由は下記になるでしょう。

・カテゴリー一覧ページのタイトル/ディスクリプションが適切でない

・卸先の競合ショップが上位表示されている

・ZOZO/Amazon/楽天などの他社ECモールが上位表示されている

・メルカリなどの二次流通のモールが上位表示されている

・海外サイトが上位表示されている(インポートブランドの場合)

リスティング広告を含め、上記のように指名検索で上位を取れていないケースはこちらが多いでしょう。簡易にできる対策としては一番上の「カテゴリー一覧ページのタイトル/ディスクリプション」の整備ですが、これが意外としっかりできていないブランドが多いです。よくあるのは「トップス」のようにざっくりと一覧ページが作られていると、「パーカー(フーディー)」や「ニット」などの細かい分類に対応していないケースですね。また、パーカー・フーディーのように、呼称が複数ある場合も対策していないケースが多いです。ですからまず見直すべきは自社の「アイテム構成比」です。

どのカテゴリーがどの程度のSKUがあるかを確認・全アイテムカテゴリーを洗い出す

カテゴリーページを作成・「親カテゴリー」「子カテゴリー」を設定

それぞれのページを作成・ページごとのタイトル/ディスクリプションを整備する

という流れが良いでしょう。これだけで随分、効果が変わります。タイトル/ディスクリプションの整備はGoogle検索のランキング要因ではありませんが、一覧ページが整備されていない場合、商品詳細ページがヒットすることが多いです。一覧ページにそのキーワードを設定していないのですから、ヒットするようになれば当然ながら平均掲載順位は上がります。「ブランド名 アイテムカテゴリー名」の検索ニーズに対して、一覧ページの方がユーザーのニーズを満たしているからだと思われます。

単体ブランドとは事情が少し違う「セレクトショップ」の場合、取り扱いブランド数が多く、またそのブランドごとにニーズがあったりします。ですから、ブランドごとに一覧ページを作成し、ヘッダー付近にはブランドの説明文等を載せておきましょう。一覧ページでも説明文を掲載するのはGoogle側も推奨しています。(アイテムカテゴリー一覧ページでも同様です。)余談ですが、ブランド数が多いとユーザーが流入した際に「特定ブランドの特定アイテム」を絞り込みたくなるでしょう。その場合、ECサイト上のフィルター機能が弱いとページの評価が上がりにくくなります。ですから、複数条件でAND検索による絞り込みが可能なように事前に整備しておきましょう。並べ替えの条件も合わせて見直しておくのもおすすめです。(在庫なし・高評価順・人気順などなど)

続いて、

②「ブランド名 店舗」

ですが、これはまずは「Googleビジネスプロフィール(旧Googleマイビジネス」のオーナー確認、確認が取れているのでしたら店舗への来店動機になるよう最新情報の更新をしっかりしておきましょう。

Googleビジネスプロフィール

Google側が勝手に作ってしまっているケースもありますし、違う方が勝手に作っているケースもあります。まずはオーナー確認をして自分で整備できる状態にしてください。整備する項目としては、

■最寄駅から店舗への行き方(ショートムービーが投稿できます。)

■最新の内観/外観写真

■直近で展開しているサービス内容やイベント(店頭フェアからリペア・カスタムオーダーサービスなど)

■営業時間/定休日

■レビューに対する回答

このあたりでしょうか。特にコロナによって営業時間が変動するケースが非常に多かったので、こまめに更新することをおすすめいたします。低評価のレビューに対して、本当に自店の不備等によるものであれば対応する旨を回答しておくことで信頼回復につとめます。高評価レビューなら、直近のイベント開催等をご案内しましょう。Googleビジネスプロフィールをきっかけに来店→店頭にてファン獲得、という流れを作り、最終的にECサイトでも購入頂けるようになるのがベストですね。しかしこのケースですと、ECサイトにクリックが発生していませんので、「ゼロクリック」によりクリック率が下がっている可能性はあります。

では実際に「ブランド名 店舗」にてECサイトへのクリックが発生する場合はどうしたら良いでしょうか。こちらも同様に、最新の情報を「店舗ページ」にて対策しましょう。よくある店舗ページは「地図・住所」「営業時間・定休日」「SNSアカウントのリンク」程度が多いのですがこちらでも、

「直近で展開しているサービス内容やイベント(店頭フェアからリペア・カスタムオーダーサービスなど)」 

は必要ですし、内観・外観写真を更新しても良いでしょう。店舗数が少ない場合はinstagramのフィード連携にて、それらの情報を投稿しながらEC側でも見てもらう、という対策も良いですね。

 

M.M.LaFleur

(mmlafleurはこのあたりの整備がしっかり出来ています。) 

「ブランド名 地域名/取り扱い店舗名」は似たようなニーズですが、直営店ではなくセレクトショップへ卸をしている場合、これらがECサイト上でしっかりご案内されているかを確認してください。メンズ・レディース共に展開している場合、レディースのみの取り扱いのショップもあるでしょう。セレクトショップによっては取り扱いのアイテムが大きく違ったりもしますから、手間をかけるならどのアイテムがどのショップで展開されているかも合わせて表示しておくと非常に便利です。(他社に売上を取られる可能性もあるのでブランドの方針次第ですが) 

digawel

店舗展開が無い場合、ポップアップショップ等の計画があれば記事コンテンツにて予定の一覧を作成しておいてください。地域名や店舗検索でヒットします。記事コンテンツのタイトル/ディスクリプションに「店舗」や「地域名」を記載しておき、ヒットしやすくしておきましょう。

コードを触らずとも簡単にできる対策だけでもこれだけあるのですが、見落としがちなのでまずはこちらから手をつけていきましょう。

MDが細かく設計されていれば先に対策が取れる

上記の内容、特にアイテムカテゴリーの対策を見ておわかりの通り、検索対策にはMD設計の確認が不可欠です。既に発生しているクエリの対策は先述した通りですが、先々発生しそうなキーワードの対策をあらかじめしておきたい場合、「展開予定のアイテムを洗い出し」ておいてください。一覧ページがある場合、タイトル/ディスクリプションは適切かを確認し、ページが無い場合は作成しても良いでしょう。

アパレル・ファッションの場合、アイテムによっては季節性の強いものとオールシーズン発生するものがあります。オールシーズン発生しやすい「ワンピース」や「ボトムス関連」「グッズ関連」に関しては常に対策が必要な一方、季節性の強いものは期間限定で一覧ページを作っておいても良いです。2月ごろから需要が強くなる「オケージョン」や、3月の「春アウター」のようなものそうですし、より細かく分類したもの(「ティアードドスカート」や「ネルシャツ」など)でも型数が多いなら一覧ページを作成しておくのも良いでしょう。細かすぎてページを作るまでもない、というのであればタグを付けておき、簡単に一覧が確認できるようにしておくのが得策です。検索でヒットはしませんが、回遊を促進することは可能です。

また、先ほどからアイテム名の検索対策には一覧ページの整備ばかりをプッシュしてきましたが、これにも理由があります。それは、ECサイトの検索ニーズは大体が「BUY」ニーズであり、記事コンテンツ等で検索対策するのは効果が弱いからです。しかしごく稀に、細かいアイテム検索に関しては記事コンテンツ(レコメンド記事が多いです。)が検索上位に出てくるケースがあります。その場合、この検索キーワードを入力するユーザーはレコメンド記事も探している、とGoogleが判断した訳ですから、記事コンテンツでも対策は可能でしょう。大概は効率が悪いのですが、回遊促進とCVRアップのために記事を書いておき、一応細かいアイテムカテゴリー対策をタイトル/ディスクリプションで整備しておく、という流れが良さげです。

インパクトは小さいがやっておいた方が良いこと

その他、売上や流入に対し数字のインパクトは小さいですが、やっておいた方が良いことは下記でしょうか。

■画像検索対策

画像検索はGoogleでキーワードを打ち込んだ検索結果でも上位に出てきますので一応やっておきましょう。どの程度の効果があったかはsearch consoleでも確認可能です。

 

対策には「alt属性」をしっかり入力することです。

忘れられがちな作業ですから、商品アップロード作業のルーティンにしっかり組み込んでおきましょう。また、「画像ファイル名」も内容を反映した物が推奨されています。その方がクローラーが理解しやすいそうなので、こちらもルーティン作業の中に入れておくのが良いでしょう。ちなみに商品ページや記事コンテンツのパーマリンクを設定する際も、ページの内容が反映されたものにしてくのが良いとされています。

■Googleマーチャントセンターの登録

ショッピング広告を既に出稿している場合は既に登録されていますが、まだ広告出稿していない場合はGoogleマーチャントセンターにてアカウントを作成し、商品情報を登録しておきましょう。ショッピング広告の無料枠に出稿されます。

(こちらですね。)

これ、shopifyなら「販売チャネル」にGoogleを追加し、マーチャントセンターのアカウント作成しておくだけで、商品アップロードの際に勝手に登録されます。めちゃくちゃ便利なので是非使っておきましょう。

■掲載順位が低くとも「ディスクリプション」でなるべくアピール

検索順位で1位が取れず2位や3位くらいでもディスクリプションで可能な限りアピールし、クリック率は高めるようにしましょう。お得な会員特典やキャンペーン等のプッシュなど、書けることはたくさんあります。リスティング広告でスニペットを調整できますので、そちらで対策を取っても良いのですが、オーガニックでなるべく対策したいい場合、こちらで対策しましょう。

細かい部分は実際に運用を回していく際に出てくるのですが、ざっくりとはこのあたりが対策になりやすいでしょうか。簡単にできるものばかりですし、機会損失していることも多いので是非まずはこちらから手を付けて頂ければと思います。ご不明点がございましたら是非、お問い合わせください。