続・ポップアップショップの正解

先日、対人マンさんとR6B広報のshioriさんの3人でスペースをやった内容の書き起こしです。繊研新聞の連載では下記きれなかった、SNS広告出稿の際の注意点と、EC側で実行する作業項目+計測方法についてです。それでは早速見ていきましょう。 ポップアップショップの正解 (繊研新聞の連載はこちらです。) ※今月末に対人マンの運用事例を掲載しました「月間対人マン」を会員様のみに配信予定です。会員登録はこちらから。 ■対人マン流広告設定の注意点  ◯エリアの選定 競合他社の多すぎるエリアで広告出稿する場合は注意が必要。例えば東京付近で出店が決まっている場合、東京を含む関東近隣で一度に広告出稿すると、人口の多い東京在住の方に広告出稿される割合が高くなります。東京は競合他社が多く、来店される確率もその分減ると考えると、広告出稿は分けて実行するのがベター。具体的には、東京だけで出稿するキャンペーン・千葉・神奈川だけで出稿するキャンペーン、など個別に設定。meta広告は、最初の50クリックまでの到達が一番早かった都道府県が優先される仕組みがあるので、そのような特性を考えると分けて出稿する方が高い効果が見込めます。 ◯興味関心の設定  自ブランド・競合ブランドのフォロワーをつぶさに観察。普段、何を投稿しているか?を確認し、身につけている衣料品やよく行くカフェ、購入している家具などからキーワードを選定。instagram上にあるキーワードであれば興味関心で絞り込みが可能です。競合ブランドの選定に関しては、ブランドの出自・規模感・スタイルなどから抽出。ターゲットの解像度を上げるには、普段マーケットでお客が身に付けているアイテムやお買い物している商品、マーケットに停められている自動車などを観察する癖を身につける事。慣れてくると、そのユーザーがinstagramの発見タブにはどのような投稿が表示されるか?が何となくイメージできるようになります。 ◯人口の少ないエリアでの集客方法について 集客しやすいエリアに広告出稿をする際、余裕があれば次の開催地に向けて広告を出しておく。出店候補の場所を先に決めておき、その地域からのフォロワーを徐々に獲得していくイメージ。エリア別にランク分けをしておき(集客しやすいエリアをAランク、人口少ない・instagramのユーザーが少ないと思われるエリアはCランク、などなど)、Aランクは出店の頻度をそれなりに高く設定。Cランクは地域別で効果が上がってきたと思われるタイミングで出店。という手法。 ◯その他の注意点 昨今、様々なSNSが乱立しており、各SNSの滞在時間が短くなっています。結果、SNSで投稿したものはユーザーに記憶されていない、という前提で計画を立てた方が良いでしょう。instagramのみを活用する場合、複数回発信しないと覚えてもらえないですが、似たような投稿ばかりしてもユーザーには見てもらえません。切り口を変えてユーザーに頻度高く発信しましょう。  ■EC施策&GA4計測方法  ◯EC側での作業項目 ・展開予定のアイテムを一覧ページにまとめておく ブログ機能を使った告知記事内でもOK。Shopifyなら告知記事の中にbuyボタンを簡単に設置可能。 ・(複数回にわたってポップアップの展開を予定する場合)固定ページにてスケジュールを網羅 「ブランド名 店舗」の検索対策になります。 ・トップページだけでなく下層ページでもポップアップ告知への導線を確保 お客様はトップページからだけでなく、下層ページからも流入します。その際、トップにしか情報が出ていないと見てもらえない可能性が高いです。(わざわざグローバルナビゲーションのブログ・NEWSをクリックしてくれるとは限りません。)商品一覧・詳細ページのフッター付近に、バナー等を設置してお知らせするか、ポップアップ機能で下層ページにてその情報をウインドウで表示させるか対策が必要になります。(チャネルトークでも対策可能です。)  ・パラメータ付きURLの準備 インフルエンサー(コラボするアーティストやスタイリストなど、起用する著名人なら誰でも。)からの拡散用URLをご準備ください。instagramのストーリーズやTwitterで拡散してもらえる契約内容の場合も多々あるでしょうし、そうでなくとく好意で拡散してもらえるケースもあります。Campaign URL Builderでパラメータ付きURLをあらかじめ作成しておきましょう。(Shopifyならストア分析でEC上で購買が発生した場合、パラメータ経由で誰が何を購入したのか?まで追えます。)  ※パラメータの設定方法 Campaign URL Builder campaign sourceとcampaign mediumを設定するとGA4の「セッションの参照元/メディア」に文字列が反映。日付等で差別化したい場合はcampaign nameに日付をつけておけばOK。 ■計測用GA4探索レポート作成...

ブランド担当者が知っておくべきX(Twitter)活用方法

先日、ホットリンクの役員である鈴木脩平さんと対人マンさんの三人で、企業アカウントの「X(Twitter)活用方法」と題しスペースを開催しました。 ホットリンクという会社はご存知の方も多いかと思いますが、 株式会社ホットリンク SNSマーケティング、特にX(旧Twitter)に強い会社ですから、本業であるX活用方法について気になる点をいくつか聞いてみました。その際の内容をブログに書き留めておきますので、聞き逃した方はこちらで内容をご確認頂ければと思います。 ※当サイトにて会員登録された方にはinstagram運用事例を掲載している「月刊対人マン」をメルマガで送付いたします。   ■イーロン・マスクに買収されてからXのアルゴリズムに変化はあったのでしょうか? 表示されやすいポストの内容が変わると推測しています。「クリエイターエコノミー」を活性化させるべく、投稿はテキストより画像、そして更に動画の優先度が高くなるのでは?と予想されています。 また、X側としては、とにかく滞在時間増やしたいと考えているでしょうから、アカウント同士の関連性が高いものが更に表示されやすくなるかと。これらを踏まえますと、個人で見る分には、よりFBに近づいていくのではないかと。 先日Xのカンファレンスがあったのですが、そこでは「ビデオプラットフォーム化する」との宣言もありました。これにより、X上でビデオタブやTVアプリが追加される予定です。そして、TVアプリではXの独自コンテンツも作られるようになります。これらの宣言からもわかるように、よりビデオ・動画に注力していく事は既定路線になりつつあります。 しかし、Xが他のSNSより強みを持つのはやはりテキストのコミュニケーションなので、これを活用しつつ動画を推していくのか、突然動画コンテンツを推していくのかはまだ不明です。 一方で、meta社のThreadsは今後、広告機能を搭載する可能性が高いので、同じテキストコミュニケーションのThreadsにユーザーが移動していく可能性もあるのではないか?と考えております。 アルゴリズムとしては、以前から傾向として既にありますが外部リンクがついてるとインプレッションは弱くなります。X側としては、ユーザーを外部サイトに飛ばしたくないので、いかに自社のSNSにて滞在時間を長くするかの戦いが加速されるでしょう。meta社と違い、Xはまだまだユーザー数増加に伸びしろもあります。 企業アカウントとしては、フォロワーの伸びは苦戦傾向にありますね。ですが、ビジネス目的での活用方法は「認知してもらう・買ってもらう」がメインなので、フォロワーが最重要ではありありません。そして、先述しました通りフォロワーとのやり取り・接触回数は重視されます。 また、オーガニックの投稿だけで戦うのはちょっと厳しいです。仮にバズを生むコンテンツを生み出したとしても、関連がないユーザーには表示されにくい。つまり結果、現状サービスを知らない人には届かないのです。 では、ビジネス利用はどのようにするのか?ですが、まずUGCが出てる場合はすぐXを活用すべきですね。具体的には、アカウントを作ってなるべく絡みにいく・ライクやリツイートを積極的にする、という基本的な動きが必要です。 例外はありまして、UGCが既にめちゃくちゃ出てる場合はアカウントすらいらない可能性があります。それか、アカウント運用をリツイートだけにするか、ですね。それだけで潜在顧客に情報をリーチさせる事が可能なので。   ■X運用の際のKPIを教えてください。 オーガニックだとインプレッションをメインに見ますね。Xではエンゲージメントが付くから、よりインプレッションが増えますので。そもそもエンゲージしないツイートはインプレッションも伸びません。しかし、こちらも先述しました通りエンゲージする人はやはり似通ってくるので拡散は限定的です。コンテンツの改善だけで特定の領域を超えるのは非常に難しいですから、ある程度伸びるとその後、インプレッションは増えません。配信先が最適化され、頭打ちが来るからですね。(X側が領域を決めてしまう・) そこでX広告では、更に認知を広げ、指名買いを増やすために使います。だからこそ、Xでの広告配信でのKPIは指名検索の増加を狙います。また、X上でのUGC増加も合わせて狙いたいところですが、ど新規のブランドで口コミが0の場合は、広告でUGCを増やすのは非常に難しい。尖った商品・良い接客、などの要因が無い場合は無理に狙わなくても良いでしょう。  指名検索の増加はsearch consoleで日々チェックしますが、指名検索が発生してもそこでWEB広告を出稿して刈り取りはしません。オーガニックで購入に至る方が費用対効果が高いという判断です。   ■Xは他のSNSと連携しながら使った方が良いでしょうか? 連携する場合と、一つに絞る場合があります。まず、1つに絞るならUGCが多い方を優先してください。その方が効率が良いです。 <対人マン・ワンポイント> 最近のユーザーは、様々なSNSを日常的に使う分、1つのSNSでの滞在時間が短くなりがちです。そこで、併用して接触頻度を高め、大事なお知らせなどは何度も見せる事で投稿した内容を覚えてもらうという手法も必要になってくるでしょう。   ■Xでのプレゼントキャンペーンは有り?無し? こちらに関しては、2022年までは反対でしたが、今では商材と規模によってはありだと判断しています。例えば、コンビニのキャンペーンのように、規模感が大きく、ライトユーザー中心の業態であれば機能しやすいです。一方で、小規模なサービスはやめておいた方が良いでしょう。見極めるラインとしては、ポイ活・懸賞垢が興味関心を持ちそうであればOKでしょう。   ■インフルエンサー活用はまだ使えますか? これもジャンルによりけりですね。弊社の事例だと、キャンプ関連では成功事例があります。とあるキャンパーの料理風景がバズりやすかったのですが、そこからおすすめされる商品が販売促進されたという事例ですね。原因としましては、インフルエンサーが所属しているコミュニティにて、高い権威性があるかどうか?でしょうか。  ...

アダストリアがEC売上を伸ばせている理由

アダストリアの直近の決算から、年商・利益・EC売上・店舗数の推移をまとめてみました。 ※2021年5月(2022年2月期)からドットエスティの実店舗が出店スタート。現在7店舗。 ※直近では実店舗が再び増加。 ※2020年2月期にEC不具合により1ヶ月超、運営停止。 ※2019年2月期 BUZZWITスタート。1年間で20億円程度の売上。(ZOZOメインのブランド) ※2018年2月期以降、出店抑制。2020年2月期までトップラインを維持しながら販管費削減を実現。 ※2015年2月期の店舗数はWEBストアを含む数字。 EC売上の報道が目立つ同社ですが、その中身はどうなっていたのか?気になる点についていくつか記載しておきます。 ◯ECによる販管費の削減は成功していた? 昨今の大手アパレルのECシフトの狙いはトップラインを伸ばすことではなく、利益率重視にあったかと思われます。販管費の嵩む店舗の出店を抑えながらECで売上を取っていく、という流れが傾向として見られ、アダストリアは2020年2月期まではお手本のようにそれらを実現させています。 全体では2018年2月期をピークに店舗数が減少に転じており、トップラインは維持しつつも販管費を圧縮しているのが数字から見て取れます。2018年2月期から2019年2月期にかけてはEC売上が70億円程度伸びており、店舗数は47店舗減少。WEBストアは11店舗増加という内容。コロナに入り2021年2月期以降は年商を落とす結果となっておりますが、EC売上に関しては以前伸び続けております。ここはオンワードと対照的な結果ですね。 ◯モールは直近で成長鈍化? そんな好調なEC売上ですが、内訳に関しては変化があります。2022年2月期のモール売上が3億円弱程度しか伸びておらず、自社ECの比率がどんどん伸びております。アダストリアはモール脱却を狙っている様子は見かけず、2019年2月期にはBUZZWITにてZOZOメインで運営するブランドを複数スタートさせております。(現在18ブランド。自社ECやSHOPLISTの展開も一部あります。)そんな中でモール売上がほぼ伸びていない状況(第3Qまでは前年割れ)ですので、天井を迎えたのか、それとも主要ECモールでの販売手法を変更したのか。モール内での広告やクーポン配信などを抑制すると売上は伸びにくいとは思いますので、そのあたりの取り組みが原因なのか。決算書には「EC好調」としか記載がありませんので詳細は不明です。 ◯ドットエスティ出店から会員・自社EC売上増加 2020年2月期にて自社ECにて不具合があり、1ヶ月超運営がストップしていたことから、一時期売上が伸びていないように見えるドットエスティですが、その後はしっかりと伸びが見られます。2021年2月期はコロナでECバブルがあった時期ですが、そこから33億円以上売上を伸ばしているのは凄いですね。多くの企業で前年割れしていたかと推測されますが、この時期にドットエスティの実店舗を複数出店し、TVCMにて大々的に告知。こちらも売上アップの要因の一つだったのではないでしょうか。 ドットエスティの店舗は出店前に店舗近隣で事前に会員登録を促進をしておりますので、これらの取り組みが21年から22年にかけての190万人会員増加に貢献していると思われます。   ◯ブランド別推移 最後にブランド別の推移ですが、店舗数は全体では2018年2月期がピークでしたが、ブランドごとにばらつきはありますね。ローリーズファーム・レイジブルーは2015年2月期以降に既に減少傾向。 その他の主要ブランドは2018年2月期から2020年2月期あたりをピークに減少傾向。グローバルワークですら2020年2月期には既に店舗を減らしにかかっています。こう見ますと、EC売上を伸ばしてブランドとしてのトップラインを伸ばす、もしくは維持という思惑は2020年2月期にはそうと上手くいっていたように思います。今も店舗数が増えているのはベイフローのみで、ここはまだブランドとしての伸び代が大きいという判断でしょうか。 以上がざっくりとした所感でしょうか。これだけの規模であるにも関わらず、しっかりとECを成長させるのは素晴らしいですね。M&Aや新ブランドも続々発表されておりますので、EC売上自体はまだまだ伸びていきそうな気配です。

オンワードのECは成長が鈍化している?

オンワード樫山の直近の年商の推移とEC売上をわかる範囲でまとめてみました。 ※21年4月からオンワードクローゼット出店スタート(現状、約40店舗)※2020年7月にZOZO再出店※2019年〜2020年にて1400店舗閉鎖※2019年1月にZOZO撤退 上記の注意点を踏まえ、少し気になった点をいくつか記載しておきます。 ◯年商は2015年度から右肩下がり オンワードは2015年2月期に2800億円以上あった売上が、現在1700億円弱まで減少しています。特に大量退店のあった2020年2月以降大幅に売上が減少しているのがわかります。また、2021年2月期はコロナによって店舗が閉まったタイミングでもありましたので、売上減少が顕著に出てしまったという経緯。営業利益もめちゃくちゃ下がってますね。直近の決算にて減少幅はやや改善されてはいますが、販管費率は昨年とほぼ横ばいの状況。 ◯EC売上が伸びていく中でも販管費率の改善は見られない これはコロナに入る前から特に大きな改善はなかった模様。コロナに入る前でもEC売上・EC費率は伸ばしていたものの、販管費率は悪化の傾向にありました。実店舗より販管費がかからないと言われるECですが、このあたりの運用がどうなっていたのかは気になるところですね。 ECの販管費で費用が嵩みやすいのは「荷造運賃」「広告宣伝(クーポン・WEB広告など)」あたりでしょうか。インフルエンサー活用が非常に多い同社でしたので、そのあたりの費用も相当かかっていたのかもしれません。また、EC支援会社に運用を振っている場合は、大手はレベニューシェアの契約が多いので、売上に対する料率にて支払いが発生します。売上に対して20〜30%のケースをよく見かけますが、オンワードがこのような契約をまいていたとしたら規模が大きい分、率はもっと低いと推測されますが。 ◯モール売上が思ったほど変動していない ZOZOからの撤退を決めた2019年初旬からモール売上は減少はしているものの、21年2月期には40億円を超える売上があります。また、再度ZOZOに出店し、22年2月期にて1年間で10数億円モール売上が伸びていることから、ZOZO出店に自社EC以外の売上が伸びたものと推測されます。2020年に店頭が閉まったことから、各社モール回帰が見られましたが、オンワードも例に漏れずモール回帰の動きが見られます。 ◯直近では自社ECは伸びていない 店舗撤退により、売り場面積が2019年2月期以降、大きく減少しているのがわかります。そして、ECは大量退店前に積極的に店頭顧客を送客したのか、2019年2月期〜2020年2月期にかけて大きく伸びが見られますね。売り場面積の減少とともにEC売上は大きく伸びたものの、2019年〜2021年の約2年間で国内EC売上はモール含め160億円程度の伸び。これに対し、年商は740億円減少という結果です。 コロナの影響もあり、全体の売上が大きく吹っ飛んでしまっていますが、当然ながらECで補完できる訳もなかった状況。一方、20年の4月以降は店頭が閉まったこともありECバブルが発生。その分、2022年2月期は昨対を取ることすら難しくなり、結果自社ECは3億5400万円売上が減少。2021年2月期に数字が上がりすぎたこともあり、EC売上がピークに到達したかどうかはまだ何とも言えませんね。今年度で成長しない場合はピークを迎えた可能性は多いに出てきますが…。 ◯オンワードクローゼットの貢献度が低い? オンワード樫山 OMO型店舗「オンワードクローゼットストア/セレクト」をららぽーと福岡に出店 21年4月からスタートしたオンワードクローゼットの出店ですが、現在既に40店舗程度出店していてます。EC売上を伸ばすためのOMO店舗という位置付けで、店内のあらゆる箇所にECへの導線を設置。貢献度も高い、という報道がありましたが今のところ自社ECのトップラインは伸びていない状況ですね。同様の取り組みをしているアダストリアは自社ECの売上をきっちりと伸ばしているので、ここはちょっと気になるところ。昨年が上がりすぎた、ということも要因なのでしょうが、40店舗出店するという肝入りの事業なので、貢献度は気になるところですね。 年度によって決算書に記載されいている数字が変わるので推測するしかない点も多々ありますが、オンワードのEC計画はやや懸念点があると感じてしまいます。D2Cの取り組みも非常に積極的な同社ですので、次年度は大きな成長を勝手に期待したいと思います。

しまむら業績好調は「アベイル」と「バースデイ」が原因か?

コロナに入って他のアパレルとは逆に業績が好調に推移しているしまむらですが、直近の決算では過去最高の利益を叩き出したという報道。ECもスタートし、飛ぶ鳥を落とす勢いの同社ですが、決算書の中身を確認しましてその内訳を見てみることにしました。 売上・営業利益・販管費 2022年2月期は過去最高の売上と営業利益を記録。それまでの業績のピークと思われるのが2017年2月期でしたが、その時期と比較すると売上は181億円・営業利益6億円ほど増加。ここ数年、業績不振にあえいでいたこともあり、2017年と比較するとそこまで大きな伸びには見えませんが、アパレル全体の市場規模が大きく目減りする中ですから素晴らしいと思います。 同社の得意とするローコストオペレーションによる販管費の圧縮ですが、これもやや数字が戻ってきており、直近では販管費率は25.8%。2017年は24.8%でしたが、直近と比較すると大きな改善が見られます。低い時期は24%を切っている企業でしたが、1店舗あたりの売上高が大きく下がり続けていましたので店舗を増やすほど販管費率は改善しない傾向にありました。こちらも直近ではやや改善されているようですね。 昨年はしまむら単体にて1店舗あたり平均3.1億円程度の売上。2017年は3.3億円程度の売上があったので、こちらもまだピーク時に戻っていない状況です。 また、2020年から自社ECをスタートさせていますが、その恩恵があるかは今のところまだ見えない状況ですね。ECでの年間売上が28億円だとまだ年商に対して占める売上が少なすぎるので(0.5%程度)、業績にどう影響するかは当然ながらまだ見えません。完全な内製化なのか、レベニューシェアで料率での支払いなのかによっても販管費は変わってきそうです。インフルエンサーを積極的に活用していますが、これは仕入れ元の持ち込み企画との噂ですね。インフルエンサーへの支払いが固定なのか、売上に対する成功報酬なのかでも数字が変わってきそうです。 店舗数の推移 ここ数年、しまむらの販管費率が悪化していた要因として、先述しましたように店舗数を増やしているにも関わらず売上が一向に伸びない、という状況がありました。 特に業績が悪化した2018年〜2019年にかけて出店が顕著に見られますが、現状しまむら単体で見ると店舗数は減少傾向にありますね。大手アパレルの傾向として、出店店舗数を抑制しながらEC売上・EC比率を伸ばし、販管費を圧縮。利益率を向上させるという傾向にあります。 ブランド単体の売上を確認してみますと、ピーク時の2017年は店舗数が1365店舗で売上4,519億円37百万円に対し、2022年は店舗数1421店舗で売上4,401億18百万円。2020年から出店数を退店数が上回るようになっています。それでも1400店舗を超える店舗数は衣料品の単体ブランドではぶっちぎり1位でしょう。ユニクロは2014年から出店数を伸ばさず800店舗程度をスクラップ&ビルドで維持し、EC売上を大きく伸ばしておりますので、今後はしまむらもこのような動きになっていくのでしょうか。 店舗受け取りが9割は店舗網の恩恵?   これだけの店舗網があると、お客様からしたら「すぐ店舗に行ける」という状況になる訳なので、EC売上が急激には伸びにくいかと思います。その分、EC販売における「店舗受け取り」は利便性が高く、いまだ店舗受け取りの比率が9割を維持しているのは、これも原因でしょうか。 EC会員が109万人に到達とのことですが、店舗試着予約サービスである「しまコレ」のダウンロード数も100万程度だったことを考えますと、現状の会員は店舗試着から購入していた「しまコレ」ユーザーの比率も高いのかもしれません。自前の物流網から店間移動を日々繰り返しているしまむらからすると、店舗受け取りの比重が高いのは望ましいことですが、EC売上が伸びていくほどこの比率は下がっていくとは思います。 年商を押し上げたのはバースデイ・粗利の改善はアベイル しまむら単体での売上がまだ戻ってきていないのに年商が上がった、ということは別のブランドが伸びたということですが、その要因となったのはどのブランドなのでしょうか。 2017年2月 アベイル売上:503億77百万円・粗利率34.2%(粗利益高 172億29百万円) バースデイ売上:468億82百万円・粗利率 33.0%(粗利益高 154億71百万円) 2022年2月 アベイル アベイル売上:544億46百万円・粗利率38.3%(粗利益高 208億52百万円) バースデイ売上:695億5百万円・粗利率 34.6%(粗利益高 240億48百万円)   バースデイは売上で226億円増加。(粗利は85億円増加。)アベイルは粗利で36億円増加。アベイルは2017年から店舗数が301店舗→314店舗と、5年間で13店舗増加にとどまっており、2018年からほぼ店舗を増やしておりません。バースデイは240店舗→310店舗と70店舗増加。粗利率は維持している状況。1店舗あたりの売上も伸ばしてします。業績好調の要因はこちらですね。 ※シャンブルも粗利が大きく伸びており、2017年から35億45百万円増加。 在庫に関しては増えてはいるものの、キャッシュも大きく増加しており、キャッシュフローは全く問題なさそうですね。 今後はトータルでトップラインを伸ばしていくのか、もしくは販管費を下げていき利益率を高める方向にいくのか。来期の予測を見ますとしまむら・アベイルに関してはほぼ現状維持、シャンブル・バースデイはやや店舗増加という傾向なので、シャンブル・バースデイは前者、しまむら・アベイルは後者という方向性でしょうか。今年度は自社ECのアクセルを踏む年にするのか注目ですね。

アパレル・ファッションECのSEO対策はどうしたら良い?

アパレル・ファッション関連のECサイトにおいて検索流入の対策は軽視されがちな印象があります。理由はいくつかあるのですが、 ■ブランドは「指名検索」が発生していなければ売れにくい ■広告やSNSからの流入促進が優先されやすい あたりでしょうか。筆者が現場で支援に入る際も「検索以外」のチャネルにて「課題がある」と思われているお客様は多いのですが、実はそんな中でも検索対策を施せば機会損失が回避できた、というケースは多々ございます。誰でもできる簡単な対策もあるのですが、意外と手を付けていない方々が多いのでこちらで簡単に記載しておきたいと思います。   アパレル・ファッションのECサイトにSEOは必要ない? 冒頭でも書きましたが、よくこのようなお話が出てきます。これ、言っている意味としてはおそらく、 「ビッグキーワードを狙うことに意味は無い」 という話かと。例えばとあるファッションブランドが「ブラウス」というキーワードで上位を狙ったとしましょう。その場合、様々な競合サイトが検索上位に並びます。その中には広告宣伝費を潤沢にかけている大手の有名ブランドも出てくれば、膨大なSKUを誇る大手のECモールが表示されたりします。雑に言いますと、「認知度が高い」「SKUが多い」ECサイトは検索で上位表示されやすいので、競合した際に大概は負けてしまいます。また、仮に上位表示されたとしても、ブランドとして大手より認知が低いものは購入まで至る可能性は低いでしょう。物と価格のバランスでも比較されますし、物を知らない場合は単純に安いものが選ばれやすいです。そんな理由でビッグキーワードを狙うことは非常に費用対効果が悪いのです。 上記のような事情がありますから、結局アパレル・ファッションECの検索対策は「いかに指名検索のボリュームを増やすか?」になりますし、その場合は雑誌掲載や出店等の施策の方が重要になります。また、リスティング広告でビッグキーワードに入札しても購入に至る可能性は低いでしょう。 ※プチプラでSKUが多いサイトは少なからず勝機がありますし、筆者のお客様でもビッグキーワードで検索1ページ目に表示された結果、そのページ経由での売上が急増した、という事例はございます。対策を施すなら「ブランド属性」や「どのアイテムなら勝機があるか?」は事前に確認が必要でしょう。 指名検索が発生している場合は機会損失していないか要チェック ではどういった際に検索対策が必要になるのでしょうか。それは自社ブランドにて既に「指名検索」が多く発生している場合です。 「指名検索が発生していれば、すぐ売れるのでは?」 と思われるかもしれませんが、これが上手く最適化できていないケースが多いのです。最大の理由は、 「指名検索の中でも検索ニーズは細かく分かれる」 からですね。search consoleのデータから一度、ブランド名だけを絞り込んでクエリを確認してみてください。下記のようなクエリが多く見られませんでしょうか。 search consoleにて、 検索パフォーマンス→「+新規」をクリック→「検索キーワード」にてブランド名を入力 ※「平均CTR」「平均掲載順位」も表示させておいてください。    ①「ブランド名 アイテムカテゴリー名」  ②「ブランド名 店舗」  ③「ブランド名 地域名」 ④「ブランド名 取り扱い店舗名」 などが表示されるかと思います。これ、見ればお分かりかと思いますが、それぞれのユーザーによってニーズが違いますね。では細かく見ていきたいと思います。 クエリごとに実行する対策は異なる ではまず、 ①「ブランド名 アイテムカテゴリー名」 での検索ですが、これはユーザーがそのブランドのアイテム群を検索しようとしています。自社ブランドのアイテムなんだから当然効果は高い…、と思われがちですが、クリック率を確認してみてください。アイテムによってばらつきがありますし、中にはクリック率が10%を切っているものも珍しくありません。何故このようなことが発生するのでしょうか。主な理由は下記になるでしょう。 ・カテゴリー一覧ページのタイトル/ディスクリプションが適切でない ・卸先の競合ショップが上位表示されている ・ZOZO/Amazon/楽天などの他社ECモールが上位表示されている...

アパレル企業の自社ECモール売上もまとめてみた!

先週はモールが専業のファッションECモールを中心に流通総額をまとめましたが、今回はアパレル企業が自社ブランドを複数展開している「自社ECモール」に焦点を当ててみました。マルチブランド戦略を取っているアパレル企業は自社内に複数ブランドを保有していて、ブランド毎にECサイトを作っていたら管理もめちゃくちゃ大変です。それを一括でモールにしてしまったのが自社ECモールですね。 ブランド横断で顧客を回遊させる事も可能なので、顧客のLTVを伸ばしやすく、またブランドが複数集まれば全体のコンテンツ・SKU数が増えやすいので検索にも強くなるでしょう。企業名とモール名がリンクしていない場合もありますので、そういったところも要チェックですね。 .st(ドットエスティ) (2020年2月期) 年商:2223.76億円自社EC売上:200億円 アダストリアが運営する自社モール「ドットエスティ」は単体で200億円。他社モール含めたEC売上は400億円を超えており、EC比率は20%近い数字。国内アパレル企業でトップクラスのEC売上といっていい数字です。昨年は1ヶ月程度、新システムの切り替えで不具合を起こし販売停止していたのですが、それでもこの数字は企業の底力を感じます。 ファッションECモールの弱点として、複数ブランドを展開するからこそ各ブランドの色が出しにくいという点があるのですが、アダストリアの場合、ベーシックなブランドが多いのでモール展開は非常に合理的ですね。今も積極的に新ブランド開発をしている同社ですが、まずはこちらのモールで販売しながら当たりを見て、そこから実店舗を出店という形も取れますね。 早い段階から、アダストリアは自社公式サイトを無くしてFacebookページで代用するなどの施策を取っていましたが、今は全てドットエスティに集約しているようです。会員数の伸びも大きく、まだまだ成長を感じさせるモールです。 BAYCREW'S STORE (2019年8月期)年商:1335億円自社EC売上:195億円(2018年?) 「ECモール依存」を脱し自社EC比率6割超え、ベイクルーズ成功の軌跡 EC売上335億円のうち、195億円が自社EC売上のベイクルーズ。上記は2019年4月の記事なので、恐らく2018年度の数字と推測されます。2019年の数字はもうちょっと伸びてそうですね。EC比率30%と、この規模では非常に高く、自社EC比率は60%程度でモール依存度も低め。上記記事の通り、モール脱却の最有力候補と言われていたのですが、一転してAmazonへの出店を決めたのがつい先日の事。コロナの影響もあり、過去出店していなかったモールへ出店を決めたブランドはちらほらありますが、ベイクルーズも例外では無かったという事でしょうか。 ベイクルーズは過去、ブランド公式サイトもしっかり作り込んでいてコンテンツが充実していたのですが、最近は公式サイトが全ブランド、同じテンプレートを使っているような情報設計になっています。こちらもサイトコンテンツをモールに集約しているといった形に見えますね。運用面を考えると、全てモールで一元管理していくのが合理的ではあります。 ONWARD CROSSET (2020年2月期) 年商:2482.33億円自社EC売上:253億円? グループ全体のEC売上は333億円。今期は何故か自社ECの比率は公開せず。昨年は76%が自社比率だったので、同じ水準だと仮定するなら約253億円になり、ベイクルーズやアダストリアを超える規模ですね。この2社より年商が大きいので当然と言えば当然なのですが、百貨店アパレルは出店場所とブランド属性から、ECを伸ばすのが難しいジャンルです。百貨店は消化仕入れでの契約の場合、ブランドの売上に応じて百貨店に入ってくる金額が変わります。掛け率30%なら1000万円の売上があるブランドは、300万円が百貨店側の取り分になりますが、売上が800万円なら百貨店の取り分は240万円になる、といった具合ですね。 ECに送客されると百貨店は自社の売上が下がってしまう事から、EC送客がNGである事、また顧客の年齢層を考えるとWebだけでお買い物が完結しにくい、という事が挙げられるのです。これらの課題を抱えながら自社ECをここまで伸ばしたのは驚くべき事だと思います。2019年がスタートした頃にはZOZO離脱で話題になっていましたが、ここに来て再度出店を決めるなど戦略にややブレがあるようにも見えます。ECの統括が変わったからなのか、コロナの影響でWebで取れる売上は取っておきたいと思ったのか定かではありませんが、変化が早いモールとブランドの動きは今後も注目ですね。 Mix.Tokyo (2020年2月期) 年商:1700億円自社EC売上:100億円?(2019年) 自社ECモールの売上は公開していないTSIホールディングスですが、以前に別のメディアが予測として出していたのが2019年度で100億円という売上。ECトータルでは363億円と規模感は大きいものの、モール依存度は高めですね。百貨店アパレルと認識されている同社ですがその販路は相当変化しており、今や百貨店の売上構成比より非百貨店の売上構成比の方が大きく、50.6%と全体の半数を占めております。やはり百貨店からのEC送客はハードルが高いとふんだのか、販路を切り替えているのではないかと。同社はEC化率50%を目指しているようですが、ここから更に比重をあげようとすると恐らく店舗を閉鎖し、売上規模を落としながら比率を高めていくしかないのではないかと思います。利益率は高くなるでしょうけど、店舗を失う事による機会損失が心配ですね。EC偏重になるとプロパー消化率は下がる恐れもあります。ECが強くて有名なナノユニバースの存在が大きいですが、実は毎年粗利率が2ポイントずつ下落しており、直近の決算では43.7%。ZOZOでのクーポン施策も目立ちますので本末転倒にならなければいいのですが。 前進の東京スタイルがM&Aに先見の明があったのか、StussyもナノユニバースもROSE BUDも全て、東京スタイルが買収していた会社ですね。会社名は消失してしまいましたが、今のTSIを支えているのはキャッシュ面でもブランド面でも東京スタイルの存在が大きいと言えるでしょう。 PAL CLOSET (2020年2月期) 年商:1377億円自社EC売上:41.68億円 年商1377億円で売上規模としてはベイクルーズ(1335億円)と変わらない規模ですが、ECだけ見るとグループ全体で176億円と半分程度の数字。更に自社ECの比率は低く、モール依存度が高い状態です。自社ECの成長率は非常に高いので、徐々にモール依存から脱却は図っているようにも捉える事ができますね。パルの特徴としては保有しているブランドの属性がとにかく多様であり、様々なジャンルのブランドが混在しているからこそアダストリアと真逆でモールでの運用は難しそう。 個人的にはサザビーリーグ同様、自社モールではなく各ブランドで運用する方が伸びそうな気はしています。ただ、多様なブランドを取り扱っているおかげか業績の安定感は業界でもトップクラス。キャッシュフローも在庫も問題無く、健全な経営を継続出来ているので急なECシフトをしないで良さそうです。 SANYO iStore (2020年2月期)...

ファッションECモール売上比較表

ECを生業にしておりますと必ずといっていいほど付き纏う「モール運用」。自社ECを一番伸ばしていきたいのが企業・ブランドの本音ではありますが、モールはモールでそこでしか取れない売上を獲得できるという事で、ECによる売上の最大化を狙う際には欠かせない販路です。 しかし出店の際に気をつけておかなければならないのがECモールの規模感、つまり流通総額でしょうか。この流通総額の中でブランドは売上を奪い合う訳なので、自社がどの程度売上を獲得できるかは流通総額によって変動するでしょう。また、ファッションECモールはZOZO1強ではありますが、ブランド属性によっては出店する事で大きな売上を獲得できる可能性があるモールもあります。今回はそんなファッションECモールの流通総額と特性について筆者の見解を交えながら記載していきたいと思います。 ZOZO 流通総額:3248億円(2020年3月期) 2020年3月期のZOZO全体の売上は3450億円。ZOZO単体での流通総額は3248億円という結果。特徴としては平均出荷単価と平均商品単価は下落が続き、出店ブランドの低価格化とタイムセール・クーポンの横行が原因でしょうか。直近ではロエベの出店があったりと、前社長の前澤氏が退いてから方針の転換が見られる感じはありますね。 PBの失敗で一時大きく業績を下げていましたが現在はそこから撤退し、手堅いビジネス中心に展開しているといった印象を受けます。ユーザー属性は7割程度が女性で平均年齢は33.6歳。20代前半が突出して多く、今も若者の利用頻度が高いファッションECモールと言えそうです。出店の為の初期コストや販売手数料が高いと言われ一時、大手アパレルの撤退も目立っていましたが今はもう落ち着いているようで、良くも悪くもニュースに出てこなくなった感はありますね。 Yahooショッピング(Zホールディングス) 流通総額:2兆5936億円(2020年3月期) ファッションの数字は不明。eコマース革命と銘打ってからの成長が著しく、その原動力となっていたのがヤフープレミアム会員に向けてのポイント施策。PayPayの利用者数増やす時もそうでしたが、とにかく札束の殴り合いが好きなヤフー。その潤沢なキャッシュフローがZOZO買収を実現させていますから、キャッシュの力って凄いですね。 他のECモールとの一番の違いは外部リンクを許しているところでしょうか。ECモールって顧客の囲い込みがすごくて、ソーシャルはそのモール専用のアカウントでなければなりませんし、明確に自社ECへの送客を禁止しています。ヤフーの場合はそれがOKなので、ヤフーで認知度上げて、その後自社へ送客を強化するブランドもちらほら見かけますね。ポイント等によるモールのお得感には中々勝つ事が難しいのでそう簡単に送客出来ないケースも多々あるのでしょうけど…。 楽天 流通総額:3.9兆円(2019年12月期) 楽天の国内流通総額は直近で3.9兆円。ファッション単体での売上は公表しておりませんが、昨年WWDの取材では7500億円との報道なので、現在は8000億円前後ではないかと推測されます。ZOZOの倍以上の規模間ですね。ファッション以外の商材と楽天ポイントによる経済圏の強みでしょうか。楽天カード会員は直近で1900万人と増加の一途を辿っており、ポイントでの囲い込みは年々存在感を増してきていますね。 一時期楽天離れがトレンドになっていたファッション関連ですが、スタイライフ買収後の楽天ファッションが盛り上がってきており、以前の楽天離れはどこ吹く風状態。大手セレクトの報道でも楽天の伸び率が大きい事は周知の事実であり、ビームスやライトオンなどでは店頭でも楽天ペイが使用可能と、アパレルのリアル店舗でも楽天経済圏の広がりを見せつけています。 Amazon 流通総額:1兆7442億円(2019年12月期) アマゾン日本事業の売上高は約1.7兆円【Amazonの2019年実績まとめ】 Amazonの国内流通総額は直近で1兆7442億円。マーケットプレスも含むと3兆円と、楽天と変わらない規模感にまで成長しています。こちらもファッション単体での数字は公表しておりませんが、アメリカでは全体の10〜20%がファッション分野の売上と言われていますので、それで換算すると1700億円からマックス6000億円と推測。日本はAmazonが出品している他の国と比較してファッションで特に苦戦しているようなので1500〜2000億円くらいが妥当な線かな?と推測しております。 他のマーケットと違い異質なのは、レビュアーの力が強い事。インフルエンサーレビュアーが書く内容次第で物が売れたり、またレビューの質と量が検索に反映するのも面白い点でしょうか。まだファッションではZOZO・楽天には及ばない規模感かと思われますが成長が著しく、新規セッション率は驚異の90%と言われております。常にめちゃくちゃ新規が流入していますので、まだまだ成長の予知はありそう。そのうちファッションECとしてもトップを取るのでしょうか? マガシーク 流通総額:290億円(2020年3月期) 【マガシークの井上社長に聞く】 ファッションECの差別化戦略とは? 2020年3月期の取扱高は暖冬などの影響があったものの、前年比10%近い伸びとなる290億円程度で着地する見通しだ。 こちらも売上は公表しておりませんが、上記記事では2020年3月期で290億円程度との予測。ファッションECモールとしては2位の同社ですが、1位のZOZOの10分の1以下の数字。ファッションECモール黎明期はスタイライフ・マガシーク ・セレクトスクエアが先行者であり、ZOZOは後発だったのですが今では大きな差が付いております。 スタイライフは楽天が、マガシークはNTTドコモが、セレクトスクエアは高島屋が買収して今に至るので、運営元にも変化があるのが特徴ですね。ロコンドとの提携により、どちらのショップでも出品している商品が購入できるなどの取り組みを見せてはいますが急成長には至っていません。結局、ECモールの売上はブランド数とそれに連動するSKU数に相関するので、モールとしてのパワーバランスが決してしまっている今、ブランド側がSKU数を大幅に増やしてくれる事もなく、モールによって優劣がつけられている状態ですね。 SHOPLIST(クルーズ) 流通総額:245億円(2020年3月期) プチプラ・ファストファッションの取り扱いと言えばSHOPLISTでしょう。テレビCMも過去何度か放映しており、若年層に対する認知度も比較的高め。流通総額も245億円とマガシークと変わらない規模にまで成長しています。料率に関しては40%と言われており、ZOZOが高いと言われている中、これが真実ならSHOPLISTが一番高いです。 取り扱いブランドの属性がはっきりしている分、顧客も絞りやすいですが、取り扱いブランドが限られてくるのでその分拡大がしにくいのでは?とも思います。プチプラの取り扱いと言えど、ZARAやH&M、GUが取り扱える訳でもありませんので、流通総額1000億円到達の為の秘策はあるのでしょうか。 ロコンド 流通総額:182億円(2020年2月期) 2020年2月期で流通総額が182億円。特損出して最終赤字といった決算ですね。決算書からは、買収したモバコレの在庫の減損処理との事で本業自体は黒字との事。何かと社長が物議を醸す同社で、前澤さんとのソーシャル上でのやり取りが話題にもなっていましたが、前澤さんがZOZO離脱でやや注目度が下がったのでは?とも思います。 ロコンドが“対ゾゾ同盟” 田中社長が「圧倒的な2位グループを作る」 圧倒的2位グループを作る、といった声明もありましたがECモールとの取り組みはマガシークとの提携以外に報道は特に無し。積極的なM&Aは実施していて、三鈴を買収してPB強化、EC事業ではモバコレやファッションウォーカーの買収など精力的。また直近ではYouTuberヒカルのブランド「ReZARD」が1週間で6億円の売上と、インフルエンサーを絡めた施策も実行しています。規模感は徐々に大きくなっているものの、まだまだZOZOの背中は遠そうです。...