MD講義の教科書の販売をスタートしました

Fashion Re:ducationにて、佐藤正臣氏が担当するMD講義の教科書基礎編を販売スタートしております。 算数で理解するマーチャンダイジングの教科書     今回の講義にて使用する教科書になりますので、既に受講のお申し込みをされている方は不要です。対象としては下記のような方になります。 ①既に現場のMDとしてご経験がしっかりあり、講義を受講するほどではないが復習に使いたい ②上記と同様の方で、自社では網羅されていない箇所がある ③これから受講を検討しているが内容を詳細に知ってから受講したい   ③の場合に関しては、教科書をご購入後に受講の申し込みをされた場合、受講料から教科書の費用を差し引きます。(教科書購入の際にメールにて教科書代をディスカウントするクーポンコードをお知らせいたします。) (MD講義の受講は下記から。) MD講義  

受講料の分割が可能になりました

Fashion Re:ducationの受講料に関して、分割をご希望される方は今まではカードの分割で対応して頂いておりましたが、ペイパルでの分割支払いを可能にいたしました。 分割を希望される方はカートでそのまま決済せず、お問合せフォームからご連絡ください。下書き注文で対応しますので、手順としては下記になります。 ①お問合せフォームから分割支払いについてのご希望をお伝えください。メッセージにて下記をお知らせください。 ・分割の金額(お支払い金額の下限を10,000円とさせて頂きますので、MDは11回・販売/ECコースは7回が分割の上限となります。) ・ご請求日 ②ご連絡後にお申し込みを確定します。 ③Eメールでお支払いについての詳細をお送りいたします。 上記の手順で分割でのお支払いについては対応いたします。分割にはペイパルを採用いたしますので、アカウントが無い方はお手数ですがお作りくださいませ。 ペイパルに新規登録

Fashion Re:ducation受講者特典③

ファッション教育事業「Fashion Re:ducation」の受講者特典③をお知らせします。 Fashion Re:ducation受講者特典①(決算note閲覧権限) Fashion Re:ducation受講者特典②(他分野講義の受講) (過去の特典はこちらをご確認くださいませ。) 特典第三弾は普通の事と言えば普通なのですが、「コミュニティへの参加」になります。 ■「コミュニティへの参加」とは? この特典はその名の通り、Fashion Re:ducation受講者同士のコミュニケーションを目的としたコミュニティの形成とそこへの参加になります。自然発生的にコミュニティが形成される可能性もあるかもしれませんが、主催側が能動的に働きかけ、講義終了後も関係性が続くようなものにしていきたいという思いから特典にしました。 もちろん社内の情報を漏洩するような場になってはいけませんので守秘義務は徹底した上で、受講者同士の課題解決に活用して頂ければと考えております。また、そこに今回の講師も参加いたしますので、簡単なQ&Aは対応するつもりです。 ■チャットサービスへご招待 具体的には、受講者の方々にはチャットサービスにご参加頂き、そこのグループでやり取りして頂く事になります。受講中は講師への質問や課題の提出に使いつつ、講義終了後に別のチャットグループへご招待します。 先述しましたような「Q&A」や交流会の開催などを予定しております。他の分野に参加された方のお話を聞きつつ、別の分野の講義をご検討する、というレビュー機能にもお使い頂けます。 また、受講者特典①の決算解説noteを閲覧した後、それらについて討論する場などもあって良いかと考えております。 ■企業側からの要望も このようなネットワーキングの場は、今回お問合せ頂きました企業様からもご要望がありました。受講者同士の交流があるなら、社内の方々に積極的に勧めたい、という思いは企業側のニーズとしてもあるようです。 第一期の募集にて、教育機関の方からのお申し込みも数名ございましたので、「普段教育の場にいるが現場のリアルビジネスをもっと聞きたい」という方にとってはうってつけな特典かもしれません。(教育機関の方は競合には該当しません。) ご興味ある方は是非一度ご検討頂ければ幸いでございます。 お問合せはこちら。https://style-picks.com/pages/fashion-reducation_contact

Fashion Re:ducation受講者特典②

ファッション教育事業「Fashion Re:ducation」の受講者特典②をお知らせします。 Fashion Re:ducation受講者特典① (特典①は上記記事をご覧ください。) ■特典②は他分野の講義が受講可能 特典②は、「他分野の講義の受講」です。Fashion Re:ducationではMD・販売・ECの3分野の講義を用意しておりますが、その中で1つ受講して頂きますと他の分野の講義を一部受講できる、という内容です。本来であれば4講義程度の講義を受講可能にする予定でした。 が、第一期の受講者のみに限り全講義受講可能にしようと思います。例えば、MD講義を受講した方は、ECや販売のどの講義にも参加可能、という事です。 ■講義に値段設定している意味が無くなる? このような対応をすると、 「ECや販売を受講しながらMD講義に参加すると本来の価格より安く受講できるのでは?」 とお思いの方もいらっしゃる事でしょう。なので、ある程度制約は設けます。それが下記になります。 ◯MD講義は受講者以外、テキストの配布は無し ◯受講・視聴は可能だが講義時間内に講師からのサポートは無し ◯受講していない講義と出席率が逆転する事はNG これらの中で、他の講義に参加可能とさせて頂きます。 ■なぜ他の分野も受講できるようにするのか? そもそも、なぜ一部とは言え他の分野の講義を受講可能にするという構想があったのか?ですが、これは実際実務に携わっている方ならよくおわかりでしょう。 例えばEC運用を日々生業にしておりますと、商品の品揃え・展開によって売上は大きく左右されますし、商品説明文やサイトコンテンツを企画しようとすると店頭経験の差が企画力に反映されます。MDも販売経験者の方が有利ですし、店長もMD視点が必要になるケースは往々にしてあります。 MD・販売・ECは違う分野ではありますが、それぞれが密接に結びついているのいるので、理解を深める為にはそれぞれの知識が必要なのです。 そのような思いからこの特典をご用意する運びとなりました。流石に全講義を開放するのは今回のみになりますので、是非この機会に受講をご検討くださいませ。 お問合せはこちら。https://style-picks.com/pages/fashion-reducation_contact

Fashion Re:ducation受講者特典①

先日公開しました、Fashion Re:ducationというファッション教育事業。事の発端は文化服装学院にてMDを主軸とした講義を実践し、それが形になってきた事からスタートした取り組みです。 Fashion Re:ducation 私が従事しているアパレル・ファッションEC界隈では、業界知識が無いままに「ECだけ」で売上対策を実行しようとしているケースが散見されますが、誤解を恐れず言いますとECという販路だけでアパレル・ファッション分野の売上対策は不可能です。理由は過去、様々書いてきておりますのでそちらをご確認頂けますと幸いです。 アパレルECの運用で現場経験が無いと起こりやすい事 現状の課題は本当にECなのか?を見極める方法 そんな訳で、MDと販売も合わせて受講できる取り組みになっております。もちろん、個別で知識・技術を補完したいという方でもぜひ受講をご検討頂ければ幸いです。アパレル企業の社内研修にもお使い頂けますので、企業の担当者様からのお問合せもお待ちしております。可能であれば企業様向けにカリキュラムの調整も検討します。 前置きが長くなりましたが、今回は受講者特典をいくつかご用意しておりますので、そちらについてご紹介しておきたいと思います。 ■特典①「決算解説note読み放題」 私とマサ佐藤氏が執筆しておりますアパレル上場企業の決算解説noteがあります。 アパレル決算書解説note こちら、現在有料で提供しているのですが、受講者の方はこちらを無料で開放します。(このサイト内でシークレットページを用意する予定です。)こちらの内容についての質問がありましたらチャットで返答もさせて頂きます。内容は下記のようなものです。 ◯深地のコンテンツ ・過去数年間のEC売上推移(自社・モール含む)※ブランド別があれば網羅 ・ECに影響を与える要因(店舗数推移・ブランド開発状況) ・ECが業績にどの程度影響を与えているか?の考察 ・企業のトピックス ・今後、ECを成長させる為の施策 ◯マサ佐藤氏 ・売上/粗利の推移 ・店舗状況確認/考察 ・企業の在庫/仕入れ/商品回転の状況 ・そこから導き出されるMDの考察 一度受講されますと先々の更新を全て開放します。(販売コースを受講した方でも閲覧可能です。) アパレルビジネスに従事しておりますと、どれだけ正しい打ち手を実践していても市況やトレンドによって業績が上がりにくい事もしばしばございます。そんな時、「何がその要因なのか?」を知るには上場企業の決算書から市況を知るのは一つの手段として機能しやすいでしょう。 という事で、普段からアパレル・ファッションビジネスに従事されている方々からすると必須の情報と言える反面、読み解くのに時間と集中力を要しますので、それを我々のコンテンツで時間短縮して頂けますと幸いです。 また、他にも特典はありますので随時公開してまいります。 (お問合せはこちら。)https://style-picks.com/pages/fashion-reducation_contact

ブランド担当者が知っておくべきX(Twitter)活用方法

先日、ホットリンクの役員である鈴木脩平さんと対人マンさんの三人で、企業アカウントの「X(Twitter)活用方法」と題しスペースを開催しました。 ホットリンクという会社はご存知の方も多いかと思いますが、 株式会社ホットリンク SNSマーケティング、特にX(旧Twitter)に強い会社ですから、本業であるX活用方法について気になる点をいくつか聞いてみました。その際の内容をブログに書き留めておきますので、聞き逃した方はこちらで内容をご確認頂ければと思います。 ※当サイトにて会員登録された方にはinstagram運用事例を掲載している「月刊対人マン」をメルマガで送付いたします。   ■イーロン・マスクに買収されてからXのアルゴリズムに変化はあったのでしょうか? 表示されやすいポストの内容が変わると推測しています。「クリエイターエコノミー」を活性化させるべく、投稿はテキストより画像、そして更に動画の優先度が高くなるのでは?と予想されています。 また、X側としては、とにかく滞在時間増やしたいと考えているでしょうから、アカウント同士の関連性が高いものが更に表示されやすくなるかと。これらを踏まえますと、個人で見る分には、よりFBに近づいていくのではないかと。 先日Xのカンファレンスがあったのですが、そこでは「ビデオプラットフォーム化する」との宣言もありました。これにより、X上でビデオタブやTVアプリが追加される予定です。そして、TVアプリではXの独自コンテンツも作られるようになります。これらの宣言からもわかるように、よりビデオ・動画に注力していく事は既定路線になりつつあります。 しかし、Xが他のSNSより強みを持つのはやはりテキストのコミュニケーションなので、これを活用しつつ動画を推していくのか、突然動画コンテンツを推していくのかはまだ不明です。 一方で、meta社のThreadsは今後、広告機能を搭載する可能性が高いので、同じテキストコミュニケーションのThreadsにユーザーが移動していく可能性もあるのではないか?と考えております。 アルゴリズムとしては、以前から傾向として既にありますが外部リンクがついてるとインプレッションは弱くなります。X側としては、ユーザーを外部サイトに飛ばしたくないので、いかに自社のSNSにて滞在時間を長くするかの戦いが加速されるでしょう。meta社と違い、Xはまだまだユーザー数増加に伸びしろもあります。 企業アカウントとしては、フォロワーの伸びは苦戦傾向にありますね。ですが、ビジネス目的での活用方法は「認知してもらう・買ってもらう」がメインなので、フォロワーが最重要ではありありません。そして、先述しました通りフォロワーとのやり取り・接触回数は重視されます。 また、オーガニックの投稿だけで戦うのはちょっと厳しいです。仮にバズを生むコンテンツを生み出したとしても、関連がないユーザーには表示されにくい。つまり結果、現状サービスを知らない人には届かないのです。 では、ビジネス利用はどのようにするのか?ですが、まずUGCが出てる場合はすぐXを活用すべきですね。具体的には、アカウントを作ってなるべく絡みにいく・ライクやリツイートを積極的にする、という基本的な動きが必要です。 例外はありまして、UGCが既にめちゃくちゃ出てる場合はアカウントすらいらない可能性があります。それか、アカウント運用をリツイートだけにするか、ですね。それだけで潜在顧客に情報をリーチさせる事が可能なので。   ■X運用の際のKPIを教えてください。 オーガニックだとインプレッションをメインに見ますね。Xではエンゲージメントが付くから、よりインプレッションが増えますので。そもそもエンゲージしないツイートはインプレッションも伸びません。しかし、こちらも先述しました通りエンゲージする人はやはり似通ってくるので拡散は限定的です。コンテンツの改善だけで特定の領域を超えるのは非常に難しいですから、ある程度伸びるとその後、インプレッションは増えません。配信先が最適化され、頭打ちが来るからですね。(X側が領域を決めてしまう・) そこでX広告では、更に認知を広げ、指名買いを増やすために使います。だからこそ、Xでの広告配信でのKPIは指名検索の増加を狙います。また、X上でのUGC増加も合わせて狙いたいところですが、ど新規のブランドで口コミが0の場合は、広告でUGCを増やすのは非常に難しい。尖った商品・良い接客、などの要因が無い場合は無理に狙わなくても良いでしょう。  指名検索の増加はsearch consoleで日々チェックしますが、指名検索が発生してもそこでWEB広告を出稿して刈り取りはしません。オーガニックで購入に至る方が費用対効果が高いという判断です。   ■Xは他のSNSと連携しながら使った方が良いでしょうか? 連携する場合と、一つに絞る場合があります。まず、1つに絞るならUGCが多い方を優先してください。その方が効率が良いです。 <対人マン・ワンポイント> 最近のユーザーは、様々なSNSを日常的に使う分、1つのSNSでの滞在時間が短くなりがちです。そこで、併用して接触頻度を高め、大事なお知らせなどは何度も見せる事で投稿した内容を覚えてもらうという手法も必要になってくるでしょう。   ■Xでのプレゼントキャンペーンは有り?無し? こちらに関しては、2022年までは反対でしたが、今では商材と規模によってはありだと判断しています。例えば、コンビニのキャンペーンのように、規模感が大きく、ライトユーザー中心の業態であれば機能しやすいです。一方で、小規模なサービスはやめておいた方が良いでしょう。見極めるラインとしては、ポイ活・懸賞垢が興味関心を持ちそうであればOKでしょう。   ■インフルエンサー活用はまだ使えますか? これもジャンルによりけりですね。弊社の事例だと、キャンプ関連では成功事例があります。とあるキャンパーの料理風景がバズりやすかったのですが、そこからおすすめされる商品が販売促進されたという事例ですね。原因としましては、インフルエンサーが所属しているコミュニティにて、高い権威性があるかどうか?でしょうか。  ...

アダストリアがEC売上を伸ばせている理由

アダストリアの直近の決算から、年商・利益・EC売上・店舗数の推移をまとめてみました。 ※2021年5月(2022年2月期)からドットエスティの実店舗が出店スタート。現在7店舗。 ※直近では実店舗が再び増加。 ※2020年2月期にEC不具合により1ヶ月超、運営停止。 ※2019年2月期 BUZZWITスタート。1年間で20億円程度の売上。(ZOZOメインのブランド) ※2018年2月期以降、出店抑制。2020年2月期までトップラインを維持しながら販管費削減を実現。 ※2015年2月期の店舗数はWEBストアを含む数字。 EC売上の報道が目立つ同社ですが、その中身はどうなっていたのか?気になる点についていくつか記載しておきます。 ◯ECによる販管費の削減は成功していた? 昨今の大手アパレルのECシフトの狙いはトップラインを伸ばすことではなく、利益率重視にあったかと思われます。販管費の嵩む店舗の出店を抑えながらECで売上を取っていく、という流れが傾向として見られ、アダストリアは2020年2月期まではお手本のようにそれらを実現させています。 全体では2018年2月期をピークに店舗数が減少に転じており、トップラインは維持しつつも販管費を圧縮しているのが数字から見て取れます。2018年2月期から2019年2月期にかけてはEC売上が70億円程度伸びており、店舗数は47店舗減少。WEBストアは11店舗増加という内容。コロナに入り2021年2月期以降は年商を落とす結果となっておりますが、EC売上に関しては以前伸び続けております。ここはオンワードと対照的な結果ですね。 ◯モールは直近で成長鈍化? そんな好調なEC売上ですが、内訳に関しては変化があります。2022年2月期のモール売上が3億円弱程度しか伸びておらず、自社ECの比率がどんどん伸びております。アダストリアはモール脱却を狙っている様子は見かけず、2019年2月期にはBUZZWITにてZOZOメインで運営するブランドを複数スタートさせております。(現在18ブランド。自社ECやSHOPLISTの展開も一部あります。)そんな中でモール売上がほぼ伸びていない状況(第3Qまでは前年割れ)ですので、天井を迎えたのか、それとも主要ECモールでの販売手法を変更したのか。モール内での広告やクーポン配信などを抑制すると売上は伸びにくいとは思いますので、そのあたりの取り組みが原因なのか。決算書には「EC好調」としか記載がありませんので詳細は不明です。 ◯ドットエスティ出店から会員・自社EC売上増加 2020年2月期にて自社ECにて不具合があり、1ヶ月超運営がストップしていたことから、一時期売上が伸びていないように見えるドットエスティですが、その後はしっかりと伸びが見られます。2021年2月期はコロナでECバブルがあった時期ですが、そこから33億円以上売上を伸ばしているのは凄いですね。多くの企業で前年割れしていたかと推測されますが、この時期にドットエスティの実店舗を複数出店し、TVCMにて大々的に告知。こちらも売上アップの要因の一つだったのではないでしょうか。 ドットエスティの店舗は出店前に店舗近隣で事前に会員登録を促進をしておりますので、これらの取り組みが21年から22年にかけての190万人会員増加に貢献していると思われます。   ◯ブランド別推移 最後にブランド別の推移ですが、店舗数は全体では2018年2月期がピークでしたが、ブランドごとにばらつきはありますね。ローリーズファーム・レイジブルーは2015年2月期以降に既に減少傾向。 その他の主要ブランドは2018年2月期から2020年2月期あたりをピークに減少傾向。グローバルワークですら2020年2月期には既に店舗を減らしにかかっています。こう見ますと、EC売上を伸ばしてブランドとしてのトップラインを伸ばす、もしくは維持という思惑は2020年2月期にはそうと上手くいっていたように思います。今も店舗数が増えているのはベイフローのみで、ここはまだブランドとしての伸び代が大きいという判断でしょうか。 以上がざっくりとした所感でしょうか。これだけの規模であるにも関わらず、しっかりとECを成長させるのは素晴らしいですね。M&Aや新ブランドも続々発表されておりますので、EC売上自体はまだまだ伸びていきそうな気配です。

オンワードのECは成長が鈍化している?

オンワード樫山の直近の年商の推移とEC売上をわかる範囲でまとめてみました。 ※21年4月からオンワードクローゼット出店スタート(現状、約40店舗)※2020年7月にZOZO再出店※2019年〜2020年にて1400店舗閉鎖※2019年1月にZOZO撤退 上記の注意点を踏まえ、少し気になった点をいくつか記載しておきます。 ◯年商は2015年度から右肩下がり オンワードは2015年2月期に2800億円以上あった売上が、現在1700億円弱まで減少しています。特に大量退店のあった2020年2月以降大幅に売上が減少しているのがわかります。また、2021年2月期はコロナによって店舗が閉まったタイミングでもありましたので、売上減少が顕著に出てしまったという経緯。営業利益もめちゃくちゃ下がってますね。直近の決算にて減少幅はやや改善されてはいますが、販管費率は昨年とほぼ横ばいの状況。 ◯EC売上が伸びていく中でも販管費率の改善は見られない これはコロナに入る前から特に大きな改善はなかった模様。コロナに入る前でもEC売上・EC費率は伸ばしていたものの、販管費率は悪化の傾向にありました。実店舗より販管費がかからないと言われるECですが、このあたりの運用がどうなっていたのかは気になるところですね。 ECの販管費で費用が嵩みやすいのは「荷造運賃」「広告宣伝(クーポン・WEB広告など)」あたりでしょうか。インフルエンサー活用が非常に多い同社でしたので、そのあたりの費用も相当かかっていたのかもしれません。また、EC支援会社に運用を振っている場合は、大手はレベニューシェアの契約が多いので、売上に対する料率にて支払いが発生します。売上に対して20〜30%のケースをよく見かけますが、オンワードがこのような契約をまいていたとしたら規模が大きい分、率はもっと低いと推測されますが。 ◯モール売上が思ったほど変動していない ZOZOからの撤退を決めた2019年初旬からモール売上は減少はしているものの、21年2月期には40億円を超える売上があります。また、再度ZOZOに出店し、22年2月期にて1年間で10数億円モール売上が伸びていることから、ZOZO出店に自社EC以外の売上が伸びたものと推測されます。2020年に店頭が閉まったことから、各社モール回帰が見られましたが、オンワードも例に漏れずモール回帰の動きが見られます。 ◯直近では自社ECは伸びていない 店舗撤退により、売り場面積が2019年2月期以降、大きく減少しているのがわかります。そして、ECは大量退店前に積極的に店頭顧客を送客したのか、2019年2月期〜2020年2月期にかけて大きく伸びが見られますね。売り場面積の減少とともにEC売上は大きく伸びたものの、2019年〜2021年の約2年間で国内EC売上はモール含め160億円程度の伸び。これに対し、年商は740億円減少という結果です。 コロナの影響もあり、全体の売上が大きく吹っ飛んでしまっていますが、当然ながらECで補完できる訳もなかった状況。一方、20年の4月以降は店頭が閉まったこともありECバブルが発生。その分、2022年2月期は昨対を取ることすら難しくなり、結果自社ECは3億5400万円売上が減少。2021年2月期に数字が上がりすぎたこともあり、EC売上がピークに到達したかどうかはまだ何とも言えませんね。今年度で成長しない場合はピークを迎えた可能性は多いに出てきますが…。 ◯オンワードクローゼットの貢献度が低い? オンワード樫山 OMO型店舗「オンワードクローゼットストア/セレクト」をららぽーと福岡に出店 21年4月からスタートしたオンワードクローゼットの出店ですが、現在既に40店舗程度出店していてます。EC売上を伸ばすためのOMO店舗という位置付けで、店内のあらゆる箇所にECへの導線を設置。貢献度も高い、という報道がありましたが今のところ自社ECのトップラインは伸びていない状況ですね。同様の取り組みをしているアダストリアは自社ECの売上をきっちりと伸ばしているので、ここはちょっと気になるところ。昨年が上がりすぎた、ということも要因なのでしょうが、40店舗出店するという肝入りの事業なので、貢献度は気になるところですね。 年度によって決算書に記載されいている数字が変わるので推測するしかない点も多々ありますが、オンワードのEC計画はやや懸念点があると感じてしまいます。D2Cの取り組みも非常に積極的な同社ですので、次年度は大きな成長を勝手に期待したいと思います。

しまむら業績好調は「アベイル」と「バースデイ」が原因か?

コロナに入って他のアパレルとは逆に業績が好調に推移しているしまむらですが、直近の決算では過去最高の利益を叩き出したという報道。ECもスタートし、飛ぶ鳥を落とす勢いの同社ですが、決算書の中身を確認しましてその内訳を見てみることにしました。 売上・営業利益・販管費 2022年2月期は過去最高の売上と営業利益を記録。それまでの業績のピークと思われるのが2017年2月期でしたが、その時期と比較すると売上は181億円・営業利益6億円ほど増加。ここ数年、業績不振にあえいでいたこともあり、2017年と比較するとそこまで大きな伸びには見えませんが、アパレル全体の市場規模が大きく目減りする中ですから素晴らしいと思います。 同社の得意とするローコストオペレーションによる販管費の圧縮ですが、これもやや数字が戻ってきており、直近では販管費率は25.8%。2017年は24.8%でしたが、直近と比較すると大きな改善が見られます。低い時期は24%を切っている企業でしたが、1店舗あたりの売上高が大きく下がり続けていましたので店舗を増やすほど販管費率は改善しない傾向にありました。こちらも直近ではやや改善されているようですね。 昨年はしまむら単体にて1店舗あたり平均3.1億円程度の売上。2017年は3.3億円程度の売上があったので、こちらもまだピーク時に戻っていない状況です。 また、2020年から自社ECをスタートさせていますが、その恩恵があるかは今のところまだ見えない状況ですね。ECでの年間売上が28億円だとまだ年商に対して占める売上が少なすぎるので(0.5%程度)、業績にどう影響するかは当然ながらまだ見えません。完全な内製化なのか、レベニューシェアで料率での支払いなのかによっても販管費は変わってきそうです。インフルエンサーを積極的に活用していますが、これは仕入れ元の持ち込み企画との噂ですね。インフルエンサーへの支払いが固定なのか、売上に対する成功報酬なのかでも数字が変わってきそうです。 店舗数の推移 ここ数年、しまむらの販管費率が悪化していた要因として、先述しましたように店舗数を増やしているにも関わらず売上が一向に伸びない、という状況がありました。 特に業績が悪化した2018年〜2019年にかけて出店が顕著に見られますが、現状しまむら単体で見ると店舗数は減少傾向にありますね。大手アパレルの傾向として、出店店舗数を抑制しながらEC売上・EC比率を伸ばし、販管費を圧縮。利益率を向上させるという傾向にあります。 ブランド単体の売上を確認してみますと、ピーク時の2017年は店舗数が1365店舗で売上4,519億円37百万円に対し、2022年は店舗数1421店舗で売上4,401億18百万円。2020年から出店数を退店数が上回るようになっています。それでも1400店舗を超える店舗数は衣料品の単体ブランドではぶっちぎり1位でしょう。ユニクロは2014年から出店数を伸ばさず800店舗程度をスクラップ&ビルドで維持し、EC売上を大きく伸ばしておりますので、今後はしまむらもこのような動きになっていくのでしょうか。 店舗受け取りが9割は店舗網の恩恵?   これだけの店舗網があると、お客様からしたら「すぐ店舗に行ける」という状況になる訳なので、EC売上が急激には伸びにくいかと思います。その分、EC販売における「店舗受け取り」は利便性が高く、いまだ店舗受け取りの比率が9割を維持しているのは、これも原因でしょうか。 EC会員が109万人に到達とのことですが、店舗試着予約サービスである「しまコレ」のダウンロード数も100万程度だったことを考えますと、現状の会員は店舗試着から購入していた「しまコレ」ユーザーの比率も高いのかもしれません。自前の物流網から店間移動を日々繰り返しているしまむらからすると、店舗受け取りの比重が高いのは望ましいことですが、EC売上が伸びていくほどこの比率は下がっていくとは思います。 年商を押し上げたのはバースデイ・粗利の改善はアベイル しまむら単体での売上がまだ戻ってきていないのに年商が上がった、ということは別のブランドが伸びたということですが、その要因となったのはどのブランドなのでしょうか。 2017年2月 アベイル売上:503億77百万円・粗利率34.2%(粗利益高 172億29百万円) バースデイ売上:468億82百万円・粗利率 33.0%(粗利益高 154億71百万円) 2022年2月 アベイル アベイル売上:544億46百万円・粗利率38.3%(粗利益高 208億52百万円) バースデイ売上:695億5百万円・粗利率 34.6%(粗利益高 240億48百万円)   バースデイは売上で226億円増加。(粗利は85億円増加。)アベイルは粗利で36億円増加。アベイルは2017年から店舗数が301店舗→314店舗と、5年間で13店舗増加にとどまっており、2018年からほぼ店舗を増やしておりません。バースデイは240店舗→310店舗と70店舗増加。粗利率は維持している状況。1店舗あたりの売上も伸ばしてします。業績好調の要因はこちらですね。 ※シャンブルも粗利が大きく伸びており、2017年から35億45百万円増加。 在庫に関しては増えてはいるものの、キャッシュも大きく増加しており、キャッシュフローは全く問題なさそうですね。 今後はトータルでトップラインを伸ばしていくのか、もしくは販管費を下げていき利益率を高める方向にいくのか。来期の予測を見ますとしまむら・アベイルに関してはほぼ現状維持、シャンブル・バースデイはやや店舗増加という傾向なので、シャンブル・バースデイは前者、しまむら・アベイルは後者という方向性でしょうか。今年度は自社ECのアクセルを踏む年にするのか注目ですね。